夢のその後「満足した?」
「…はい。ありがとうございます」
「お礼なんていいよ。僕と七海の仲じゃん?僕も見たかったし。美味しいケーキは食べれたし」
そう言われた男は車椅子に乗り、仕立ての良い上品な中折れ帽を被り、濃い色のサングラスを掛けていた。帽子から覗く髪は海外にルーツを思わせるくすんだ金色であった。
見る人が見たらわかるだろうが、左側の顔半分から首にかけて皮膚が一部ケロイド状になっていた。
この陽気であっても左手のみ手袋をしており、おそらくは自由に動かせないのだろう。
全体には高身長のその人はかなり痩せており、介護をしている大きな男との体格の差が際立っていた。2人の関係は何なのだろうか?車椅子の男より、介護をしている男は白髪であるにも関わらず、声の張りと身につけているもので30歳の前半と思われた。介護されている男性の年齢はわからず、白髪の男の父親とも思われたが、右手の肌から推測するともしかして白髪の男と同じくらいの年代かもしれなかった。
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