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    ltochiri

    二次創作いろいろ

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    ltochiri

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    2019年夏以下同文

    ##斑あん
    ##小説

     追いかけられることに恐怖はなかった。全力は出さなくていい。かけっこの遊びみたいにかわいいものだ。
     けれど少しだけ、期待もしていた。振り向けばいつもそこに君が居てくれることを。いつでも見つけられるその場所で待っていてくれることを。
    「今度はどこまで行ってたんですか」
    「頼まれごとがあってなあ、ちょっと西の国まで」
    「そのわりに装備が軽いですね」
    「必要なものは現地で手に入るからなあ!」
     ふうん、と年季の入ったボストンバッグを見つめる視線がやけにおとなしかった。離れている時間が長くなればなるほど知らない表情を見つけることが増える。
     それは嬉しいことだ。俺の手の届かないところでも生きてくれていることの証だから。
    窓から夕陽が射し込んでいっそう濃い影が壁まで伸びる。ベランダに植えた苗は今年も花を咲かせなかったらしい。
     顔を見に来ただけだった。料理くらいご馳走してやりたかったが、すぐ次の渡航先へ出発する時間がくる。
     見送る彼女に「じゃあ、またなあ」と間延びした行ってきますを伝えて背中を向けた。
     廊下に出て歩き出す。罪悪感を押し殺すように足音を立ててずんずんと進む。寂しい思いをさせているのかもなんて、柄にもないことを考えながら。
     横断歩道の赤信号で立ち止まる。ふと帰る場所を覚えておこうと視線を上げた時だった。
     ドンと鈍い音。通り魔に刺されたのかと思うほどの衝撃。背後からしがみ付かれ何かが腕に絡んでくる。手指がよじ登ってきて片手ずつ手の甲から掴まれた。
    「もう絶対に逃がしませんから」
     その背の高さはよく知っている。肩甲骨の辺りからくぐもったあんずさんの声が聴こえる。もしかして泣いてるのかあ?
     離してほしい。強引に引っ張らないでくれ。そう拒むのに振り解けない。君の手が柔らかくて気持ち良いから。
     背中にあたる温かみに足元がぬかるんで身動きが取れない。
     どこにも行かないなんて優しくて滑稽な言葉は必要ないんだろう。君を守るとか、呼んだらすぐに駆けつけるとか、格好つけた言葉すら。
     せめて心だけは抱き締められたままでいいと、静かに頷いた。
     それでもまだぐすぐすと幼子のように甘えてくる。期待していたことがあった。振り向いた場所にいる君が、俺を引き止めてくれること。
     温もりを与えてくれた小さな手を繋ぎ直す。もしこのまま離さないでいられたら。掌から幸せが溶け出していく。次に信号が青に変わる時には跡形もないだろう。この瞬間を月に笑われてもよかった。
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    ろじーにゃ

    MOURNINGけっこう前の英あん。続き書かないけどなんかもったいないから供養
    英智くん長期戦のチェスみたいにじわじわあんずちゃんを絡めとる感じがすきだな〜ってのと、あんずちゃん何気にちゃんと気づいてるよね〜っていう。英智くん絶対ズ!の時から権力行使してお茶会してるよね!英あんの不思議な距離感すき
    「あんずちゃん」



    ESビルの廊下を歩いていると、ふいに背後から”あの人”の声がした。反射で振り返れば、天祥院先輩がいつものように品のある柔らかい笑みをうかべてこちらへと近寄ってきた。気のせいか、かすかに穏やかな春の匂いがして、久しぶりに会う先輩の顔色が良さそうだった。...うん、すこし安心した。

    「こんにちは、天祥院先輩。何かご用でしょうか?」
    「こんにちは、あんずちゃん。今は急ぎの用事はあるかい?もし時間があれば、お茶に付き合ってくれないかな」

    小首をかしげて私に尋ねる先輩は、少しいたずらっぽくてあどけない。以前は学院でよく見せてくれていた表情だけれど、今ではあまり見ることがない気がする。生徒会長よりも大きな立場に就いているからだと思う。

    「春の紅茶と苺のミルフィーユを用意したんだ。マカロンもあるよ」

    私を誘うように先輩が告げたラインナップに心がときめいた。先輩が用意してくれる紅茶とスイーツは感動するほど美味しくて大好きだから、ついつい頬がゆるんでしまう。そんな私の様子を見て、先輩がくすりと微笑んだ。...すこし恥ずかしい。

    「ちょうど1時間ほど余裕があるので、ぜひお 1931