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    wave_sumi

    いろいろなげすてる。最近の推しはなんかそういったかんじ
    性癖が特殊。性転換が性癖

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    wave_sumi

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    休憩 アオイが人魚と再び相まみえたとき、人魚はヒトの形であった。一度拍子抜けしたが、しのぶから説明されて納得した。というよりも、自分を無理やり納得させた。人魚としのぶからお墨付きをもらって(なんと、人魚に至ってはいつのまにか三つもぺろりと平らげていた。頬に餡のつぶをつけながら「好きだ」といったあの顔は忘れられない)アオイは改めて、おはぎを十二個・重箱へ入れた。指先がかじかむ。真っ赤になって、感覚のない指先を堪えながら、アオイは産屋敷の神社へと向かった。
     森の神社はひっそりとしている。朱塗りの鳥居ではなく、石造りの鳥居は木々に囲まれ、目立つことはない。ちいさく、しっかりとした社殿の入り口に、そっとおはぎを置く。はらはらと落ちる霧のような雨が、気温の峠を過ぎて雪になっている。
    「不死川様」
     ちいさな声を出す。しんしんと落ちる雪がびょうと巻き上がって、鶴翼を携えた人間が降り立った。山伏のようないでたちと、ねめつける様な三白眼。それに、傷だらけの身体。
    「来るな、つっただろォ」
     額に手を当てて、あきれたように鶴が言う。初めて出会ったときは、その翼がなかった。翼はいま、どうなっているのか。一体、カナエは何をしているのか。
     アオイは何度か口を開いて、白い息を吐いた。ほう、ほう。ぼんやりと消える息が、泡沫のようだ。
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