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    wave_sumi

    いろいろなげすてる。最近の推しはなんかそういったかんじ
    性癖が特殊。性転換が性癖

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    wave_sumi

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    休憩 アオイが人魚と再び相まみえたとき、人魚はヒトの形であった。一度拍子抜けしたが、しのぶから説明されて納得した。というよりも、自分を無理やり納得させた。人魚としのぶからお墨付きをもらって(なんと、人魚に至ってはいつのまにか三つもぺろりと平らげていた。頬に餡のつぶをつけながら「好きだ」といったあの顔は忘れられない)アオイは改めて、おはぎを十二個・重箱へ入れた。指先がかじかむ。真っ赤になって、感覚のない指先を堪えながら、アオイは産屋敷の神社へと向かった。
     森の神社はひっそりとしている。朱塗りの鳥居ではなく、石造りの鳥居は木々に囲まれ、目立つことはない。ちいさく、しっかりとした社殿の入り口に、そっとおはぎを置く。はらはらと落ちる霧のような雨が、気温の峠を過ぎて雪になっている。
    「不死川様」
     ちいさな声を出す。しんしんと落ちる雪がびょうと巻き上がって、鶴翼を携えた人間が降り立った。山伏のようないでたちと、ねめつける様な三白眼。それに、傷だらけの身体。
    「来るな、つっただろォ」
     額に手を当てて、あきれたように鶴が言う。初めて出会ったときは、その翼がなかった。翼はいま、どうなっているのか。一体、カナエは何をしているのか。
     アオイは何度か口を開いて、白い息を吐いた。ほう、ほう。ぼんやりと消える息が、泡沫のようだ。
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    recommended works

    tknk_bl

    DONE猗窩煉/現パロ
    実家から出て2人で同棲してます。
    ライトな「価値基準が違うようだ!」が書きたくて書いたお話です。
    喧嘩したり家飛び出したりしてるけど内容は甘々。
    「君とは価値基準が違うようだ!!実家に帰らせてもらう!」

    近所中に響き渡る声と共に、騒々しく杏寿郎は出ていった。
    またか、と勢い良く閉められた玄関のドアをぼうっと見つめること10分。リビングの方から間の抜けた通知音が響く。重たい足取りで通知を確認すると、それはまさしくさっき出ていった杏寿郎からのメッセージだった。

    『今日は実家に泊まる』

    …律儀と言うか何と言うか。喧嘩して出ていったにも関わらず、ちゃんとこういう事は連絡をしてくるのだ、杏寿郎は。

    先程までどうしても譲れないことがあって口論していたのに、もう既にそのメッセージだけで許してしまいそうになる。

    駄目だ、と頭を振って我に返る。この流れもいつものことだった。実際、今までは俺の方から折れている。

    杏寿郎と一緒に住むようになったのは一昨年の12月。あれから1年と少し経っているが、住み始めた頃も今も、些細なことで言い合いになって杏寿郎が家を飛び出すという事がたまにある。

    その度に「価値基準が違う!」とか何とか言って出ていくものだから、正直なところ、デジャブの様なものを感じてかなり傷ついていた。

    だが毎回、言い争いの原因は 3534

    tknk_bl

    MOURNING年末に書いたこたつでまったりする現パロ猗窩煉です。完結の予定がないけどみかん食う猗窩煉見て欲しいのでアップします。めちゃめちゃ中途半端に終わってます。年の暮れ、午後3時頃。ストーブで十分に温まった居間の中央に置かれたこたつに、2人は向かい合って座っていた。

    年末の特番をぼんやりと眺めながら、特に内容の無い会話を繰り返して時が過ぎて行く。時折微睡んでは意識を取り戻して、またテレビを眺める。

    そんな穏やかで何気ない日常が何よりの非日常だった。だからこそ、こうして時間を消費してしまうことがどこか惜しくも感じる。

    何か仕掛けてやりたくて、猗窩座は突然こたつから這い出て立ち上がった。
    杏寿郎は相変わらずテレビで流れているお笑い番組に時々ふふ、と笑い声を漏らしながら眠そうに目をこすっていた。

    動かないとわかると、この場で仕掛けてやるしかなくなる。杏寿郎が座って潜り込んでいる横にわざわざ並んで座った。

    「……何をしてるんだ」

    「何がだ」

    欠伸をひとつしながら、狭い、と身を寄せるが、それを好機とばかりに体をねじ込んで居座る。

    「……なんでこっちに来るんだ」

    「この方が温い」

    そう言いながら、ぴたりと身を寄せ合う形で同じ位置に納まる。足元だけでなく、密着したところから広がるお互いの温もりで全身が温かくなってくる。

    しばらくはそう 1817