愛は好きだよ
好き
愛してる
君のことが大切なんだ
君がすきだよ
数えられないほど類から聞いた。
「司くんは?」
オレ?
オレは、お前を――好きだと思う。
ふふ、と類が笑う。
いいのだろうか。これでいいのだろうか。
オレは本当に好きなのだろうか。
オレは類をちゃんと好きなんだろうか。
「どうして?」
オレはわからないんだ、類。
類が沢山好きをくれるから、だからオレはお前が好きなんじゃないかと思ってしまう。
「どうして?」
類はオレのことが好きだろう?
もし、類がオレのことを好きじゃなくてもオレはお前に好きと言っただろうか。言えただろうか。
「どうして?」
オレは狡いよ。オレはきっと言えなかった。
オレは類の好きに安心して、だから類に好きだと言えるんだ。
ふふふ、と類が笑う。
「なら、良かったよ。僕の思い切りには、意味があったということだから」
ああ、オレのことを好きな類の顔だ。
オレが好きな、類の顔だ。
お前は大事だからな
類の演出は最高だ
お前の代わりになる奴はいない
類が全力を出してくれなくては困る
好きだ
数えられないほど司くんから聞いた。
「類は?」
僕?
僕は、司くんを愛しているよ。
そうか、と司くんがはにかむ。
司くんに僕の想いはちゃんと届いているだろうか。
「なぜだ?」
司くんはなんでもやってくれるから、つい無茶をお願いしてしまう。もちろん、無茶と言っても安全管理はしっかりしているけれど。
僕は狡い。
「なぜだ?」
司くんは僕のことが好きだろう?
その想いにつけ込んでいるんじゃないかと、時々不安になるよ。
「なぜだ?」
僕は君が好きで好きで大切で仕方がないから、君にどう思われているのか、気になってしまったんだよ。
あはは、と司が笑う。
「ならば心配することはないぞ。お前の演出は最高だ。そうだな、例えこの先別れることになったとして――そんな顔をするな」
想像だけでも苦しくなった。
「そんなことがあったとしても、だ。類の演出が最高であったことに変わりはない」
ああ、僕のことを好きな司くんの顔だ。
僕が好きな、司くんの顔だ。
ねぇ司くん――僕が演出をやめたら、司くんはどうする?
「はあ? それは類に呼吸をやめろと言うのと同じことだろう?」
違いない、とバカな質問を二人で笑い飛ばした。