Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    yuno

    @inblue_info

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 39

    yuno

    ☆quiet follow

    【いちおう无風のつもり】むしろ風息と虚淮のお月見に无限がおじゃま虫しにきた感じの。

    #无風
    noWind
    #虚淮
    xuHuai.

    【无風】中秋節「今夜の月は格別だな。白く皓々と光ってる。すごくきれいだ」
    「そうだね」

    返事をしつつ、満足げに自分を見上げている風息を見下ろす。

    虚淮はそこに座って。立っててもいいけど、座っている方が楽だろう?

    そう言って岩の上に私を座らせて、自分は少し下の段に腰を下ろすと、風息は杯を片手に月見酒を始めた。見上げる視線の先には私の顔と満月がある。

    「これじゃ私が月を見られない」

    風息は満足そうだが、私は月を背にしている。見えるのは月ではなく、満足そうな風息の顔だけ。これはこれで悪くはないけれど。せっかくだから共に月を眺めたい。

    「ああ、ごめん。もう少し横向きに座れば見えるか?」
    「そうだね」

    少し斜めにずれて座り直す。そうすれば斜め上に月が見えた。これなら月も風息の顔も両方見える。己の視界に満足し、手を伸ばして私にも杯を寄越せと促せば、笑って手渡された。

    それからしばらくは黙って観月に興じた。
    秋の夜空に皓々と光る満月。人の世では中秋節と呼ぶらしい。
    龍游の街ではなく、離島まで来たのは夜空がきれいだからだ。余計な灯りはないほうがいい。澄んだ空のほうが月明かりは美しく映える。

    「いい夜だ。月はきれいだし、空気も澄んでいて、虚淮の霊質も冴え渡ってる。絶景だ」
    「私と場所を変わる気はないか?」
    「嫌だよ、せっかく月と虚淮、両方並べて見ているのに」
    「それを私もやりたいんだよ」
    「俺より虚淮のほうがずっと月に似合う」

    風息は笑って取り合わない。だから、それはお前の好みの話だ。私には私の好みがある。
    月を背にしたお前の顔を見ながら酒を飲みたいんだ。その贅沢を私にもさせろと睨んだが、後でなとはぐらかされた。まったく、誰に似たのだろう。

    「虚淮のほうがずっときれいだろ」
    「お前は私の顔が好きだね」
    「顔だけじゃないさ」

    髪も目も、指先だって。全部きれいだ。満足そうに目を細め、杯に口をつける。酒に酔うはずのない風息だが、今日は随分と饒舌だ。こんなに口の上手い子だったろうか。

    「誰の影響なんだか」
    「うん?」
    「別に。そういえば、あの男はいいのか?」

    問えば、一瞬不思議そうに目を瞬かせ、ああ、と呟いた。

    「一緒に月を見ようって言われたな」
    「言われたのか」
    「ああ。中秋節は家族と見るものだからとか何とか。それなら俺は虚淮と見るって言ったら黙り込んでたけど」
    「……」

    そうか、袖にしたのか。あの男は、おそらくは婉曲的に家族になろうとかそういうことを言いたかったのだろうが、あいにくとそんな言い方をしてもこの子には伝わらない。ざまあみろ。

    どこか胸のすく思いを覚えながら、私もまた杯を呷った。

    こうして二人で月を眺めるのはいつまでだろう。
    洛竹は共に眺める相手を見つけたし、天虎は友達の動物たちと共に宴会をしている。
    あの男はしつこいし、めげないたちのようだから、今頃は来年こそはと算段をつけているのかもしれない。この子もいつまでも気づかないままではいられないだろう。

    「……」

    癪だなとは思うが、それでも、そうなったらなっただと思うくらいには受け入れてはいた。決めるのはこの子だ。

    「どうしたんだ? 虚淮。眉間に皺なんか寄せて」
    「別に。少し不愉快な先を想像しただけ」
    「うん?」

    やめよう。せっかくの月夜だ。美しいものは素直に愛でるべきだ。

    「風息。私と場所を変われ」
    「ええ? もうか」
    「もうも何も」
    「わかったよ」

    仕方ないなというように苦笑して風息が立ち上がる。だが、それは私のセリフだ。自分ばかりがいい思いはずるいだろう。

    ふと、背後にカサリと落ち葉を踏む足音が聞こえた。招かれざる客の、予想よりも早い来訪に眉根が寄ったが、あの男はしつこく、めげない上に図々しいことを思い出し、私はため息をついた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖🌕✨
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    sgm

    DONE猫の日の曦澄。
    ひょんなことからイマジナリー(霊力)猫耳と尻尾が生えて猫になった江澄。
    何かとご都合。
    他作リアクションありがとうございます!!
    「魏公子。これは、一体……?」
     藍曦臣は目の前のことが信じられず思わず隣に立つ魏無羨に訊ねた。
    「見ての通りです」
    「見ての、通り」
    「ですね。見ての通り、江澄の奴、猫になりました」
    「……猫」
    「猫、ですね」
     笑いを含んだ魏無羨の言葉に藍曦臣は改めて日の当たる場所で丸くなっている江澄を眺めた。薄っすらと透けた黒い三角の獣の耳が頭に。やはり薄っすらと透けた黒く細長い尻尾が尾てい骨の当たりから生えている。猫と言われれば確かに猫だ。
     藍曦臣はさらなる説明を魏無羨に求めた。

     昨日から藍忘機が雲深不知処に不在だからと蓮花塢に行っていた魏無羨から急ぎの伝令符が来たのが、卯の刻の正刻あたりだった。
     藍曦臣は起きていたが魏無羨がその時間に起きていることなど珍しく、受け取ったときは驚いた。よほどのことが蓮花塢であったのだろうと慌てて急務の仕事を片付け、蓮花塢に到着したのが午の刻になったばかりの頃。案内をされるままにまっすぐに江澄の私室に向かい、開けなれた扉を開けた藍曦臣の目に飛び込んできたのは魏無羨の赤い髪紐にじゃれて猫のように遊ぶ江澄の姿だった。
    3340

    sgm

    DONE曦澄ワンドロお題「失敗」
    Twitterにあげていたものを微修正版。
    内容は変わりません。
    「なぁ江澄。お前たまに失敗してるよな」
     軽く塩を振って炒った豆を口に放り込みながら向かいに座る魏無羨の言葉に、江澄は片眉を小さく跳ね上げさせた。
    「なんの話だ」
     江澄は山のように積まれた枇杷に手を伸ばした。艶やかな枇杷の尻から皮をむいてかぶりつく。ジワリと口の中に甘味が広がる。
    「いや、澤蕪君の抹額結ぶの」
     話題にしていたからか、ちょうど窓から見える渡り廊下のその先に藍曦臣と藍忘機の姿が見えた。彼らが歩くたびに、長さのある抹額は風に揺れて、ふわりひらりと端を泳がせている。示し合わせたわけでは無いが、魏無羨は藍忘機を。そして江澄は藍曦臣の姿をぼんやりと見つめた。
     江澄が雲夢に帰るのは明日なのをいいことに、朝方まで人の身体を散々弄んでいた男は、背筋を伸ばし、前を向いて穏やかな笑みを湛えて颯爽と歩いている。情欲など知りません、と言ったような聖人面だった。まったくもって腹立たしい。口の中に含んだ枇杷の種をもごもごと存分に咀嚼した後、視線は窓の外に向けたまま懐紙に吐き出す。
     丸い窓枠から二人の姿が見えなくなるまで見送って、江澄は出そうになる欠伸をかみ殺した。ふと魏無羨を見ると、魏無羨も 2744