合コンクラッシャーな白赤の話※小説ではありません
共通の友人から飲み会に誘われた白石と赤也。
『久しぶりに飲もう』というLINEになんの疑いを持つこともなく指定された場所へ向かうと、そこには友人の他に挨拶を交わしたことがある程度の男と見知らぬ女性が4人。
よく見ると女性陣は随分と気合いが入った服装とメイクで武装……じゃなくて着飾っている。
(なんやろ、物凄く嫌な予感がする……)
白石が隣にいた友人に問いただすと、「悪い!お前らの話したら女の子達が会いたいって言うから……」と申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。
そう、これはただの飲み会ではなく合コン。
白石と赤也は騙されてこの場に招集されたのだった。
友人─── とは言ったが彼との関係性は浅く、そこまで親しい間柄でもない。
当然、白石と赤也は交際していることを隠しているため体よく断る理由が思いつかなかった。
「金は俺が出すから!」と必死に頼み込む友人を哀れに思った二人は今更帰るわけにもいかず仕方なく参加することにした。
しかしそれもすぐに後悔することになる。
「白石君すごいかっこいいね!芸能人かと思った!」
「あはは……おおきに」
「体も引き締まってるしスタイルいいよね!何かスポーツやってるの?」
合コンが始まるなり目をギラつかせた女性陣から質問攻めに遭い、白石は早くもウンザリしていた。
(はぁ、もう帰りたい。こういうのほんまに苦手やのに……)
飲めないビールをちびちびと飲みながらぎこちなく笑みを浮かべるだけで女子達はキャーキャー騒ぎ出す。
なんや、小さい頃に行った動物園を思い出すなぁ。
赤也一筋の白石にとって彼女達は猿にしか見えなかった。
一時間が過ぎただろうか。友人の提案によって男女が隣同士に座ることになった。
正面に赤也がやって来てホッとしたのも束の間、赤也の隣に座る女子が彼に必要に話しかける様子が目についた。
どうやら彼女は赤也を狙っているようだ。
「赤也君は彼女どれくらいいないの〜?」
「あ、えっと……どれくらいだっけ……」
「えー、忘れちゃったの?意外と天然なんだね!」
露出度の高い服を着た彼女は「赤也君」なんて気安く呼んで先程からボディタッチを繰り返している。
赤也がさりげなく振り払っても構わず距離を詰めるのだから相当自分に自信があるのだろう。
そんなこととは知らない周りは密着する二人を見て、「なんかそこの二人いい感じじゃん!」だなんて茶化し出した。
(何がいい感じやねん!どう見ても赤也は鬱陶しがってるやろ!)
白々しくも恥ずかしそうな反応を見せる女に白石の苛立ちはピークに達していた。
今すぐにでも二人を引き剥がしてやりたい。だけど当の赤也が適当にあしらってやり過ごそうとしている手前、自分が場の空気を壊すわけにもいかない。
(それに赤也もさっきからこっちを睨んでるし、考えてることはお互い様よな。はぁ……はよ帰って赤也とイチャイチャしたい……)
しかし彼女のアピールは更にヒートアップしていく。
「ねぇ。私、赤也君のこともっと知りたいなぁ……二人で抜け出しちゃおうよ」
甘く囁かれたその言葉に白石の中で何かがプツンと切れた。
「君、赤也のこと知りたいん? ほな俺がとっておきの秘密教えたろか?」
突然会話に入ってきた白石に女は驚き、赤也は何やら慌てているが白石は構わず続ける。
「せやなぁ。例えば、太ももの付け根に黒子が2つ並んでることは俺以外誰も知らんやろな」
「えっ……」
「それと赤也はキスに弱くてな。腰が砕けて立てんようになる姿なんて想像つかんやろ?
そういうのでよければ俺がいくらでも教えたるで」
場の空気が完全に凍りついた。
一瞬フリーズした赤也だったがすぐに意識を取り戻すと顔を真っ赤にして白石に詰め寄る。
「〜〜!!なんでそう言うこと言うんだよ!白石さんの馬鹿!」
その言葉は二人の関係を認めることになるのだが本人だけが気づいていない。
「ほんまのことやん。なんや、もしかしてこの子にくっ付かれて嬉しかったんか?」
「んなわけねーじゃん!!興味ねぇよ、こんな女!」
「えっ、赤也君それはひど」
「どうやろな?赤也、昔より嘘つくの上手くなったしな」
「っ、白石さん酷いっすよ!」
「……」
「俺は、白石さんしか好きじゃない……俺だってアンタがベタベタされるの見てて嫌だったよ……」
「赤也……」
「白石さんが取られたらどうしようって……そう思ったらすげぇ怖かった……」
「赤也、ごめん。俺、嫉妬してた……赤也の隣に女の子が居るだけで耐えれんくて気が狂いそうやった……酷いこと言って、ほんまにごめんな」
「白石さんっ、」
「赤也が大好きや。俺は赤也しか興味ないねん」
「俺も、白石さんが大好きっ!」
涙を浮かべた二人はそっと抱きしめ合い無事に仲直り。
合コンは地獄と化すのだった。