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    🍞けい🍞

    @keikeikei3600
    アニメ、漫画、ゲーム好き。現在ほぼダイ大中心。推しは竜の勇者様。右側ネタ大好きです。ネタバレ・腐あり。ご注意を。最近腐要素多め、ポプダイ多めで垂れ流しております。

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    🍞けい🍞

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    7/17-18Webオンリーイベント『最高の友達!!』展示作品その3。
    ダイとポップのシリアス話。
    バラン戦以降の話ですが、その時からどのくらい経った時期かはご想像にお任せします。

    藍色の祈り 目を覚ますと、そこは知らない土地だった。
    (なんで、おれはここにいるんだ?)
     知らないやつらがおれを囲み、何やら話しかけてくる。
    「おまえら……誰だ? どうしておれは……」
     おれがそう言うと、周りのやつら──特におれよりも多分少し年下だろう少年は、ひどくショックを受けているようだった。けれど、おれ自身、自分が何者なのかも、どうしてここにいるのかも分かっていないのだ。
     
     いつの間にか、場所はどこかの小屋に変わっていた。おれの知り合いらしきやつらは、おれのことで大層深刻に話をしている。そのうち、先程の少年──大分背の小さなやつだから小っちぇえやつとでも呼んでおこう──が、ベッドに座るおれに近づいてきて、話しかける。そいつが言うには、おれはどうやら勇者の仲間の魔法使いらしく。
    (冗談だろう? おれが、勇者様の仲間だって?)
     頭が猛烈に痛み、おれは頭を抱えて顔をしかめた。
     すると、小っちぇえやつが、手に持っていた布をおれの額に巻いた。黄色いバンダナだ。見たことがあるような、ないような。
    「……ありがとよ。いいのか? おまえの大事なもんじゃねえのかよ」
     何となくそんな気がして、おれがそう礼を言った。なのにそいつは、その途端物凄い顔をしておれの胸倉を掴み、外へとおれを連れ出した。
     雨が降り、ぬかるんだ地面へとおれは放り出される。
    (こいつ、おれより小っちぇえくせに、なんて力だよ!)
     地面に尻を着いて驚くおれに、そいつは杖を突き出した。
    「この杖をとれよ! そして……思い出すんだ!! おまえの必殺技を……!!!」
    (必殺技……? こいつは、一体何を言ってるんだ?)
     おれは、酷く困惑した。
    「出来ないはずないだろ!? おまえは、おれにも使えない呪文、メラゾーマだって使えるじゃないかっ!! メラでもヒャドでもいいから……やってみせろよーーーッ!!!!」
     小っちぇえやつは、そう目一杯に叫ぶ。けれど、おれはいたたまれず、そこから一目散に逃げ出した。
     メラ? ヒャド? そんな呪文、おれには使えない。おれはただの臆病で弱い人間だ。そんな大それたことが……出来る訳ねえ。
     
     気がつけば、また場所が変わっていた。
     そこは、戦場だった。戦場など見たことはないが、地面があちこち抉れ、人々が倒れ伏しているのだから、きっと戦場という言い方で間違ってはいないのだろう。
     おれは、城らしき建物の前に立っていた。少し離れた場所に、恐ろしい怪物のような男が立ち、こちらを睨み付けている。
    (ああ……多分おれは殺される)
     本能的にそう思った。
     けれど、そんな中で一人だけ地面に足を付けて立ち、おれを庇おうとする者がいた。あの、小っちぇえやつだった。
     そいつは既に全身傷だらけで、あちこちから血を流していた。立っているのもやっと、そういう状態だ。
     怪物の男は、おれを狙っている。そんなおれを庇えば、こいつもタダじゃ済まない。そう悟ったおれは、小っちぇえやつにそこをどくように言った。
     本当はおれだって恐ろしい。死ぬのは嫌だ。ガタガタと身体が震えだす。逃げ出したいのに、余りの恐怖に脚は鉄の塊にでもなったかの様に動かない。
     小っちぇえやつは、そんなおれを安心させるように笑った。
    「心配するなよ。すぐに終わらせてやるからさ……」
     そいつはおれが額に巻いたままの黄色いバンダナに気づき、さらに言った。
    「その、バンダナ。ちゃんと持ってろよ。おまえのトレードマークなんだから さ……」
    (え? おまえの大事な物じゃ、なかったのか?)
     驚くおれを突き飛ばし、そいつは怪物に向かっていった。
     武器も持たずに、素手で一体どうしようというのか。
     小っちぇえやつは、怪物の攻撃をひらりと身軽に躱し、そして……怪物の肩に飛び乗った。両手の指先を怪物のこめかみに当て、そこに全神経を注いでいる。
     おれは……この光景を見たことがある。覚えていないけれど、酷く悲しい光景で。
     おれがそのことを必死で思い出そうとしている間、小っちぇえやつは仲間達と言葉を交わしていた。そして、最後におれの方を振り返る。
     あいつは笑っていた。まあるい瞳からぼろぼろと涙を流しながら。
    「……おれが死ぬところを見ても、まだおかしな顔してたら……うらむからな……」
    (ダメだ……! おれが、何かをしなくちゃいけないのに……! おれが! 何とかしなくちゃいけないのに……!!!)
     怪物男の叫び声。目が眩むほどの眩しい光。そして……。
     
    「    !!!!」
     あいつの……ダイの声が、聴こえた。
     
     
    「ーーーーっっっっ!?!?!?」
     ぱちりと、目が覚めた。そこは、先程眠りについた部屋だった。
     おれは全身に汗をびっしょりとかき、ベッドの上で硬直する。叫び声を上げずに済んだのは、幸いだった。
    「ハァ……ッ……ハァ、ハァ……ハァ……」
     夢だ、と頭で理解が出来ても、動くことが出来なかった。荒い息のままおれは天井を暫く見つめ続け、ようやく身体を起こす。
    (ひっでえ夢……)
     あの光景には覚えがある。テランでの出来事だ。但し、あの時記憶を失ったのはおれではなく……。
     
     そこまで考え、同室のダイを起こさなかっただろうかと、窓際の隣の寝台を見やり。おれは息を呑んだ。
     ダイは眠りについていた。けれど、その閉じられた両瞼の際に光る物を見つけたからだ。
     窓から射し込む月明かりに照らされた雨粒の様に輝くそれは、ダイのまろい頬をゆっくりと伝い落ちていく。
    「ポッ……プ、ごめん……よ……おれが……」
     悲痛なうわ言。
     ああ、そうだったのか、とおれは理解した。
    (さっきの夢は、おまえのもんだったんだな……)
     ダイを守りたくて、おれたちのダイを失いたくなくて、おれが生命を落としたあの時のことを、おまえは今でも夢に見るほど悔やんでいるのか、と。
     誰よりも強いおまえが、そうやって未だに罪悪感に囚われる悪夢。その小さな身体で背負い込んで、でも今夜はその背中からぽろりと落としてしまったのを、おれが拾ったのだ、と。
     
     もしかしたら、先程の悪夢は一生こいつに付き纏うのかもしれない。けれどダイは、それを甘んじて受け入れるんだろう。『おれのせいで、ポップが生命を落としたから』と。その優しい心に出来た深い傷口から、血を流して。
    (当のおれは、そんなことちっとも思ってやしねえのにな)
     それならば。おまえが、それを罪だと背負って生きていくのならば、おれも同じ様に。
     おまえは、『自分のせいでおれを死なせた』という罪を。そしておれは、『そんなおまえの心を傷つけた』という罰を。まだ柔らかな、透明なおまえの心に、直ぐには治せない程の深い傷をつけたことへの。
     
     あの光景を未だに夢に見るのだと、ダイが口にすることはきっとない。そういう奴だ。一人で背負い込んで、傷ついて、それでも前を向いて進んでいくんだろう。
     でももし、おまえがまたその痛みに人知れず泣いているのなら、おれにも寄越しちまえばいい。それは決して、おまえの本意ではないかもしれないけれど。おまえの膿んだ傷口がそれで癒えるのなら、おれの傷もまた癒えていくだろうから。
     
     瞼の際に残された雫を、そっと指で拭う。いつの間にか涙は止まり、ダイはすうすうと規則正しい寝息を立てていた。
     寝具の外に出たままのダイの小さな手を、そっと両手で包み、その手に己の額を押し当てる。
    (どうかいつか、その傷口が塞がりますように。せめて今夜は、もうこいつが悪夢に魘されることがありませんように。どうか、どうか)
     闇夜が去り、暁の空が訪れるその時を、おれはただひたすらに待ちつづけた。
     
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    🍞けい🍞

    DONE7/1~2開催「デルパリバリバ!」の展示。
    現パロポプダイシリーズ『オレの知らないあいつの事情』のリバver.の話。
    【相手が望むなら逆の立場もあり】と匂わせたまま結局ポプダイで終わった本編を、実際にリバにしてみました!!
    リバ(ダイポプ)を書くのは初!となります。書けてるといいな……!!
    前半ポプダイ、後半ダイポプ です。
    あいつの知らないオレの事情【ここまでのあらすじ&キャラ設定】
     
     ポップとダイは幼馴染。なんやかんや遠回りしつつも、半年前の夏に二人は恋人となった。
     秋には初めて身体を重ねた二人は、現在遠距離恋愛中。人並みに性欲も持ち合わせている彼らは、中々会えないそのもどかしさをテレセクで解消することもあった。
     そして季節は巡り春を迎え。両親が遠方に泊りがけで外出するのを利用し、ダイはポップに自宅へ来ないかと提案したのだが……。


     【ポップ】
     都会で一人暮らしをする大学生。二十歳。ダイのことはずっと昔から密かに好きだった。
     頭が良く、特にスケベに関しては更に頭の回転が早い。ダイとダイのおっぱいをこよなく愛している。
     初夜では抱く側だった。そのことに満足はしているものの、実は内心である心配事を抱えている。
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    recommended works

    ムーンストーン

    DONEメガンテを巡るポップとダイの攻防戦。(ダイは籠城戦です。外から友軍が来ないと敗ける…)R-18は念の為。
    ほぼ会話オンリーです。ダイが弱々で、アニメ58話冒頭の戦意喪失ダイにキュンとなって衝動的に(略)
    別の話になる予定だったので後で統合するかもしれません。
    魔法契約設定も含めて捏造だらけですが、ダイ大の「メガンテは魔法が使える人ならだれでも使用可能」設定だと契約なしで使えるかも?と妄想しました。
    The Point of No Return 回帰不能点〜ダイ酒場兼宿屋は夜になってもざわめきが消えない。
    人里離れたデルムリン島育ちのダイが人の気配の濃厚さに気疲れしているのを悟ったポップはダイに先に風呂へ入れと促した。
    カラスの行水ですぐ部屋に戻ったダイと入れ替わりにポップが一階の風呂に行くと、ダイは寝る前の準備として二人の荷物をすぐ持ち出せるようにそれぞれのベット上の足元に置いた。
    それは二人がデルムリン島から冒険の旅にでたときからの習慣だった。

    不思議なことに魔王軍に夜襲をかけられたことはほとんどないが、野生動物や凶暴化したモンスターに襲われたことは何度もある。

    ダイが相手を剣で切り払えば返り血で服や荷物が汚れるし、ポップがうっかり最近出力が上がり続けているメラを放とうものなら山火事になりかねない。
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