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    HQ_kazu613

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    きらきらではなくて、どろどろ


    恋ってきらきたしているものかと思っていたのに、どろどろしているなと思った日向の話。匂わせ程度ですが事後です

    #侑日
    urgeDay

    恋に落ちるのは一瞬だと言う。その恋が永遠に続くかどうかは、その人次第だと思う。俺も、いつかよく街中で聞くラブソングのような恋をするのだろうと思っていた。きっとその恋はきらきらと輝いているのだろうと。
    「なんか、想像よりもきらきらしてないですね」
     ベッドに寝転びながら、お風呂から帰ってきた侑さんの顔を見つめ、思わずそんなことを言ってしまった。髪をタオルでごしごし拭いている彼は「はぁ?」とまるでヤンキーのように言いながら首を傾げる。
    「何がきらきらしとるん」
     彼がベッドに座ったことで、少し軋む。
    「恋が?」
    「なんで疑問形やねん」
    「ふっとそう思ったんです」
     もっときらきらとしていて、砂糖のように甘くて、ぽかぽかと暖かい気持ちになるのだと思っていたのに、今はそんな理想とが違う気持ちだ。
    「もしかして翔陽くん、少女漫画みたいな恋とか憧れとるん?」
    「それは侑さんでしょ」
    「否定できひんなーいいやん、性欲のないただ『好き!』っていう関係って、清くていいやん」
     言葉とは裏腹に、するすると指先で体を撫でられる。ちゃんと服着ぃやと言われていたが面倒で着ていなかった俺も悪いが、今そんな手つきで触る彼のせいにしておく。
    「じゃあ、明日からそうしますか?」
    「えー無理やろ。一瞬で終わるで」
    「すぐキスしたくなるから?」
    「おぉ、すぐえっちしたなるから」
     じゃあ俺達には無理だなとどこか他人事のように考えていると、侑さんが布団に潜り込んできた。
    「ちゃんと髪乾かしてくださいよ、禿げますよ」
    「禿げへんわ! 翔陽くんがやって」
    「えードライヤーは」
    「洗面所」
    「持ってきてください」
    「いやや、めんどい」
     子どものような言い方にため息を吐き、仕方がないな起き上がりベッドから降りる。床に広がっていたトレーナーに腕を通すと視線を感じた。
    「なんですか」
    「いや、絶景やなおもて」
     意味が分からず首を傾げるが、答えは教えてくれないようだ。少し俺には大きいトレーナーは侑さんのもので、下はパンツしか履いていない状態なのに、何故絶景なのか。
    「俺もシャワー浴びてきます。枕に髪付けないでくださいね」
    「はよ帰ってきてな、寝そうやわ」
     くわっと侑さんがあくびをするので俺もつられる。中々いい時間なので、眠たくなるのも仕方がない。
    「寝てたらベッドから落としますね」
    「そこは優しいキスで起こしてや」
    「……気が向いたら」
    「じゃあ気が向くように祈っとくわ」
     ひらひらと手を振られたので、床に飛ばされたジャージを手に、寝室から出る。
    「きらきらというより、どろどろだな」
     恋というのは輝いているように見えて、その正体はどろどろになるまで煮詰めたジャムのようだと思いながら、風呂へと向かった。
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