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    sayutaba18

    @sayutaba18
    ライハを愛してる女。

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    sayutaba18

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    大正浪漫時代のいずレオ妄想。
    妹の代わりにお見合いに行くレオくんです。

    #いずレオ
    izuLeo

    「ルカがお見合い!?」
     今日一番の声が出た。すごく驚いてしまった。だって妹はまだ十六歳になったばかりだ。結婚なんて早すぎる。
    「ルカだって、早く結婚して、いいお婿さんの所に行くのが幸せに決まっているじゃない」
     母が言った。それが女の子の幸せなのか? 全員結婚して同じレールの上を歩いて行かなきゃいけないのか? そこに本人の意思はないのか? なんだかそれは、ひどくつまらない。と思った。
    「あなただって早くお見合いして、お嫁さんをこの家に連れてきてくれない? こないだもお見合いをすっぽかして、先方はかなりお怒りだったのよ」
     そんなこと知ったことではない。おれはまだ二十歳そこそこで結婚なんてしたくないし、好きな子とちゃんと恋愛して、結婚して幸せになりたいのだ。月永家を継ぐ覚悟は出来ているけれど、それはまだその時じゃない。
    「ルカはそれでいいのか…?」
     ルカを見ると、はにかんだ顔で笑っていた。きっと嫌なんだろうなと思った。どこの誰かともわからないやつと急に生涯を誓って無理矢理結婚させられるなんて、自分だったら絶対ごめんだ。そうだ、いいこと考えた。ようはお見合いを台無しにしてしまえばいいんだ☆



     「うあ〜〜時間があるからって、ウロウロしてたら迷ったぞ〜〜! ここはどこだーーー!」
     叫んだところで意味はないけれど、叫ばずにはいられなかった。角を何回曲がっても元来た道に帰れない。お見合いの時間は迫っているというのに、これでは遅刻してしまう。いっそ遅刻してしまえば自分の心象も悪くなるだろうし、好都合かも知れないけれど! 
    「おまけに歩きづら過ぎる! 女の子は大変だなぁ…」
     自分の容姿が、不本意ながらもちょっと華奢で、髪の毛もセミロングくらいの長さなので、袴を着てしまえば女の子に間違われることも少なくなかった。ブーツを履いてみたものの、ヒールが歩きづらすぎる。十歩くらい歩いてはカクンと膝が折れそうになって、くるぶしが擦れて痛い。絶対靴擦れしている気がする。
    「うわっ」
    「おっと……大丈夫、あんた? こんな所、女の子が一人でうろつく場所じゃないんだけど……迷子にでもなったのぉ?」
     またもやこけかけた所で、誰かがおれの肘を掴んだ。こんな所……というのがよくわからなかったけれど、お陰で転ぶことはなかった。しかし、この姿であまり他人に会いたくないところでもあった。
    「……綺麗……」
    「はぁ?」
     振り向いて開口一番、口が勝手に喋っていた。だって、こんな綺麗な人間見たことがない! ふわふわの銀色の髪、長いまつ毛、澄んだ水色の瞳。袴の上にコートを羽織っているのが最高に似合っている。容姿端麗とはこいつのような人間のために作られたに違いない。というくらい、美しい男性だった。
    「ねぇ……どこか痛いの? 大丈夫?」
    「あ、ああ! 大丈夫! この通り! ……ッ」
     顔を覗き込まれて、咄嗟に回避しようとしたのだが、ツキンと足が痛んで、思わず目を細めて男の腕をぎゅっと掴んでしまった。
    「何? 足? どこか行く途中だったら、運んであげるけどぉ?」
    「いや、いい! ……えっと、大通りに出たいんだけど……そこまで肩貸して貰えると嬉しい」
    「確かにね、初対面でいきなり抱っこするのも失礼な話だったよね。ごめん……これでいい?」
    「あ、うん……ありがとう」
     男が身体を支えてくれる。美人な上に優しいだなんて、天には二物を与えられてるやつもいるんだなぁと思った。
    「っていうか、あんたなんでこんな所にいたの?」
    「あ〜……今日、お見合いがあるんだけど、時間があったから散歩してて……そしたら迷ってさ。お前は?」
    「俺も似たようなもんかなぁ。今日お見合いがあるんだけど、気が進まなくてねぇ。時間までブラブラしてたらあんたに会ったってわけ」
    「お前、結婚するのか!?」
    「さっきからお前って……あんた口悪すぎ。納屋で育ったのぉ?」
    「そんなわけないだろ! おれはちゃんと学校を出たし、ピアノだって弾ける。曲も作れるんだぞ〜?」
    「ピアノ弾けるのはすごいけど……『おれ』って言うの、あんまり良くないんじゃない? あんた可愛い顔してるんだし、台無しでしょ~。お見合い相手もがっかりするからやめときな?」
    「そう、今日おれは相手をがっかりさせに来たんだ! わはは!」
    「変なやつ……」
     そう言いながら、男がおれの髪をさらっと撫でた。
    「わっ! な、なにすんだよ!」
     咄嗟に男の手を払い除けると、手を挙げて降参のポーズを取る。
    「顔は可愛いのにねぇ」
    「二回も言うな!」
    「あんたみたいなのがお見合い相手だったら、俺もちょっとは考えるかもねぇ? じゃじゃ馬を躾けるの、楽しそうだし」
     ふふっと男が笑う。どうしよう、笑った顔も綺麗だ。って見惚れてる場合じゃなかった。
    「おれも、こんなおれを受け入れてくれるならお見合いに出てやってもいいけどな! ちゃんと恋して結婚したいし!」
    「恋ねぇ。あんた結構ロマンチストなんだ。家教えてくれたら、俺からお見合い申し込んであげるけど?」
    「い、いらん! あっ、大通りに着いた! ありがとな。すごい助かった! お前のこと結構好きになったから、どこかで幸せに暮らせよな! じゃあな!」
    「あっ、ちょっと、名前……」
     足がものすごく痛かったけど、男の声も無視して走って逃げた。名前なんて教えられるわけがないだろ! すっごい綺麗だったからまた会いたいけど、もう会うことないだろうな。

     それからお見合いの席に行くと、さっきの男が座っているのが見えてぎょっとして、逃げようと思ったのに、とうとう限界に来た足がもつれて転んでしまい、男にお姫様抱っこなんて屈辱的な行為をされながらあわや求婚をされ、実は男で妹の代わりに来たと説明したのにも関わらず聞き入れて貰えなくて、男なんだったら尚更いいよね。とかわけ分かんないことを言われながら男の家へ連れ帰られる始末……もう、ほんっと意味わからん!
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    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978

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     気持ちがいっぱいになって、涙が溢れそうになる。泣いちゃだめ。泣いてもママは見つからない。お店の人に聞いたらママを探してくれるのかな。でも、誰がお店の人かわからない。

    「ねぇ、もしかしてお母さんを探してるの……?」
    「……っ」
     突然声を掛けられてビックリして振り替えると、真っ黒の髪の毛のお兄ちゃんが、わたしの背と同じくらいまでしゃがんで話しかけてきていた。
     眠そうなとろんとした赤い目が、いい人なのか、悪い人 2870