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    sayutaba18

    @sayutaba18
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    いずレオ短文「めずらしい」
    頭痛で疲れたなぁってなる泉。

    #いずレオ
    izuLeo

    めずらしい「ああ、もう。ほんと最悪」
     どんより曇っている空と同じように、頭も胸の奥も今一つスッキリしない。昨日は三十度以上あった気温も、今日は途端に最高気温が二十度になるとテレビが発表していた。冗談じゃない。気温の変化が激しいので、体調管理には気をつけて。なんて天気予報士が言っていたけれど、何をどう気をつけろという話だ。気休めに額に手を当ててみても、ズキズキと痛む症状は一向に症状は収まらなかった。気圧のせいにはしたくないのだけれども、梅雨入りしてめまぐるしく変わる天気のせいにせずにはいられなかった。
     頭が痛いくらいで一日寝込んでいる場合でもないし、やらなければいけない家事もある。同居人のご飯も作ってあげなければ、また彼は食事を抜いてしまうだろう。自分は簡単なサラダでも良いけれど、肉食獣のレオには物足りないはずだ。
     そもそも、彼だってご飯の一つや二つ作れるのだから、こんな食欲のない日は作ってくれても良くない? と思ったところで、納期が迫っているからと部屋に籠りきりなのを思い出した。だからしばらく家事とかできそうにないからごめん。と先に謝られたところだ。ごめんと言えば済むと思ってる? と悪態を吐いたけれど、結局のところ家事のほとんどを泉がやっている。
     この天気はしばらく続くとテレビから聞こえたところで、リモコンで電源を落とした。それにしても頭が重い。薬でも飲んでもうひと踏ん張りしようと口に含み、水と共に押し込めた。
     それにしても、今日はお皿を落としたりコーヒーをこぼしたり、包丁で手を切ったりと散々な日でもあった。注意力がまるでない。悪いことはなぜか重なって自分にのしかかってくるものだけど、今はまだ潰れるわけにはいかなかった。
     薬が効いたらご飯を作ってレオの部屋に届けよう。山積みの家事を片付けよう。そう思って少しだけ横になり、未だ痛む頭に手を当てながら瞳を閉じた。


    「よし! できた! やっぱりおれは天才だな!」
     バサッと勢いよく楽譜を空へと舞いあげて、大きく深呼吸をして腕を伸ばす。座り続けていたので色んな筋肉が固まってしまっていた。悲鳴をあげているところを伸ばして解していく。
     苦しかった納期よさらば! 明日からおれは健康的に生きるぞ~!
     ということで、勢い良く自室の扉を開けて、同居人へと報告に向かった。泉は今何をしているのだろうか。いつもなら、お疲れ様。という言葉と共にレオの好物が食卓に並んでいたりするのだけれども……と、リビングに行った所でソファで横になって眠っている泉を見つけた。
    「珍しいな、セナが昼寝なんて……?」
     額に手を当てて、静かに呼吸を繰り返している泉。テーブルの上には頭痛薬。外からはけたたましくアスファルトに跳ね返る雨音が聞こえてくる。そういえば、天気の悪い日に頭が痛いと言って休んでいる泉を見かけたことがある。今日はそういう日だったのだろう。未だシンクには洗われていない食器が置きっぱなしだったし、晩御飯が用意されているような気配もない。自分も徹夜明けで疲れてはいるものの、納品が終わったという解放感からさして眠くもなく、まだまだ活動できそうではあったのでひとまず食器を洗ってカゴに立てかけていった。泉は何を作ろうとしていたのだろうかと冷蔵庫を開けて見たけれど、よくわからない。洗濯機を覗くと、乾燥まで終えて人肌になりつつも、もうすぐ皺になりそうな衣服が入っていたので、畳みながら献立を試案する。自分のシャツが皺になっていてもあまり気にはならないので、この作業は泉のためだ。自分にも作れそうなものと言えば、切って挟むだけのサンドイッチくらいだろうか。チーズとハムとトマトならあったず。あとはレタスでもちぎっておけば充分だろう。よし、決めた。最近は家事を泉に任せっぱなしだった負い目もあるので、キッチンに戻って冷蔵庫から材料を取り出して行く。ふんふふ~ん♪ などと鼻歌交じりに料理をするのは嫌いではない。普段と違うことをしていると、脳が活性化されて新しい曲が湧いてくる。今書き出してしまうと、泉の驚いた顔が見れなくなってしまうかもしれないから……その方が自分の損失なので、脳内だけに留めておいた。
     あとは軽く焼くだけ。というところまで来たので、一旦作業を中断する。一通りの家事を終えたので、ほっと気を抜いた瞬間に猛烈な眠気がやってきた。徹夜をする体力はまだあるものの、いよいよ電池切れとなったので、うとうととしながら眠り場所を探す。
    「寝るなら、セナの傍がいい……」
     泉の体調も気がかりだけど、自分も徹夜明けですこぶる好調とは言えない。飛んで火に入る夏の虫のようにフラフラと泉の傍へ寄って、ソファの前に座り込む。隣で一緒に寝れるほどソファは広くないので、頭だけ……と額を布に乗せ、身体を寄りかからせた。横たわっている泉の顔が目の前にあったので、額に手を当てている泉の手に自分の手を重ねる。泉の頭痛が早く治りますようにと思いながら、レオも瞳を瞑った。

    「ん……」
     軽く目を閉じただけであったのに、些か深い睡眠に入ってしまったらしく泉の意識はふわふわしていた。何故か視界が暗くて瞼が物理的に重い。何かが泉の顔の上に乗っているのだ。それを退かすべく手を添える。暖かくて少しゴツゴツしているそれは、撫でると指を捕まえられて強く握られた。
    「んうぅ……」
     明るくなった視界を見渡せば、それは数日部屋に篭もりっぱなしの同居人の指であった。まるで看病に疲れた母親のように、ソファに顔を伏せて眠っている。
    「れおくん、こんな所で寝てないでベッドに行きなよ」
     繋がっている手を揺らして見ても顔をあげる様子はなく、声にもならない音が喉から聞こえる。まだ意識は寝ているのだろう。ならばと自分だけとりあえず起きようと手を離したのに、手が離れてくれない。
    「セナは……だいじょうぶ、か~……?」
     あんまり音になっていなかったので聞き取り辛かったけれど、多分そんなことを言ったのだと思う。
    「ん? 俺? 大丈夫だけど。あんたこそ大丈夫なの? 仕事終わった?」
    「眠い……」
    「また徹夜したの? 尚更ベッドいきなよ」
    「連れてってくれたら寝る……」
    「ちょっと、れおくん? れおくんってば」
     凛月みたいなことを言いながら再度眠ってしまったようで、それ以上声を掛けても返事はなかった。こんな体勢で寝ていては疲れも取れないだろうに。仕方が無いので無理矢理手を引き剥がし、ベッドに運ぶことにしたけれど、問題は運び方である。レオだってこの歳にしては軽い方とはいえ、重いのは事実だ。毎度凛月をおんぶしている真緒や、意外に力のある嵐ならともなく、眠っている男子をひょいと運べるほどに自分は力持ちでもない。とりあえず体勢だけでも変えようと、ソファにうつ伏せになっているところを背中から抱えたところで、身体の力が入っていないレオがこちら側へ倒れ込んで来た。嘘でしょ。驚く間もなく、結果的に泉は絨毯に背中を打ちつけた。痛い。更にレオが自分を敷布団だと思っているかのごとく、泉の身体の上で寝ている。正直に言ってすごく重い。
    「んん……」
    「こっからどうすればいいわけぇ……?」
     このまま身を起こすのは無理だ。レオを床に落としたいけれど、目の前で赤ちゃんみたいな顔をしている人間を叩き落とすのも気が引ける。だいたいなんでこんな所で寝ていたのだろう。考えてみたけれど、答えは出ない。しばらくどうしようかと純新無垢な寝顔を眺めたけれど、このままの体勢が辛いうえに、レオも風邪など引いてしまうかもしれないので、早くなんとかしなければと思った。
     どうせ今起こしたところで再度寝るだろうという結論に達したので、レオを床に転がしたけれど、起きる気配はなかった。こんな硬い床で寝かせるわけにもいかないので、レオの身体の下に腕を入れて、頑張って持ち上げる。なんとか持ち上がったのでそのまま抱え込んで、寝室のベッドに降ろして布団をかけてやった。全く世話が焼ける。ぎっくり腰にでもなったら介護させてやるんだからねぇ。なんて悪態を心の中で吐いてドアを閉めた。

     やりかけの家事を片付けようとキッチンに向かったところでお皿が洗われていることに気づいた。レオが気を利かして洗ってくれたのか、作りかけのサンドイッチまで置いてある。へぇ、たまにはやるじゃん。と感心しながら放り込んだままの洗濯機を覗きに行くと、中身が空になっていた。ここもレオが片付けたらしい。どういう風の吹き回しなのだろうか、と言ったら失礼な話だけれども、それくらい驚いていた。
     自分の不調時に、やらねばならないことを後回しにすることだってある。それを片付けてくれていたことに、少なからずレオのことを好きだと思ってしまった。単純なやつと揶揄われてしまうかもしれないけれど、そういう積み重ねが恋とか愛に繋がるのだろう。
    「れおくん。起きたら一緒にサンドイッチ食べてあげてもいいよ」
     頭痛の種であった台風のような雨は、そのなりを潜めて静かな雨音に変わっていた。快調と言うほど良くなったわけではないけれど、徹夜明けで家事までしてくれた同居人が居る手前、ここは残りの掃除だとかを頑張らざるを得ない。勿論いつでも自分のために頑張ってはいるけれど、その内の何パーセントかはレオの存在が自分の頑張りの原動力でもある。
     彼が起きたら、中々言えない「ありがとう」を言ってみようか。どうせあんたは揶揄うか作曲を始めるかのどちらかなんだろうけど。
     休む前は沈んでいた気分も、外の天気に反してスッキリとしている。レオが起きるまで何時間とかかるだろうけれど、彼の好きなコーヒーの豆でも煎りながら待ってみるのも、たまには悪くない。
     ふふ。俺の気が変わらないうちに、早く起きなよねぇ? れおくん。

    ──おしまい。

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    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978