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    sgm

    @sgm_md
    相模。思いついたネタ書き散らかし。
    ネタバレに配慮はしてません。
    シブ:https://www.pixiv.net/users/3264629
    マシュマロ:https://marshmallow-qa.com/sgm_md

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    sgm

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    曦澄ワンドロお題「秘密」
    Twitter投稿していたものから誤字と句点修正版。
    内容は同じです。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #曦澄

     冷泉へ向かう道の途中に注意しないと見逃してしまうような細い道があることに、ある日江澄は気が付いた。
     魏無羨が金子軒を殴って雲夢に戻りひと月ほどたった頃だったろうか。
     魏無羨が帰ってからというもの、江澄は一人で行動することが多くなった。
     時折は聶懐桑と一緒に行動することもあるが、半分かそれ以上は一人だった。
     藍氏の内弟子以外は立ち入りを禁止されているところも多くあるが、蓮花塢と違って、この雲深不知処は一人で静かに過ごせる場所に事欠かない。誰も来ない、自分だけの場所。かつ、仮に藍氏の内弟子に見つかったとしても咎められないような場所。そうして見つけたのが、この細い道を進んだ先にある場所だった。おそらく冷泉に合流するだろう湧き水が小川とも呼べないような小さな水の道筋を作り、その水を飲もうと兎や鳥がやってくる。チロチロと流れる水音は雲夢の荷花池を思い出させた。腰を掛けるのにちょうど良い岩があり、そこに座って少しの間ぼんやりとするのが気に入っていた。ともすれば、父のこと、母のこと、魏無羨のこと、五大世家の次期宗主、公子としては凡庸である己のことを考えてしまい、唇を噛み締めたくなることが多いが、この場所にいる間は余計なことを忘れることができた。
     今日も今日とて座学が終わった後に、江澄はいつものごとくこの場所にやって来た。だが、ひたりと足を止める。江澄の特等席であるいつもの岩に人影が見えた。自分だけの場所であったはずなのに、と江澄は誰も見ていないことを良いことに幼い頃のように頬を小さく膨らませた。着ているものから察するに藍氏の人間だろう。黒く長い髪と抹額の端がふわりと風に揺れているのが見えた。踵を返して自分の房に戻ろうかとも思ったが、好奇心が沸き上がった。こんなところでさぼっている藍氏の人間の顔を拝んでみたくなったのだ。雲深不知処内におり、抹額を付けているのだから少なくとも内弟子だろう。そっと気配を殺して足音を立てないように、呼吸の音すら落としてゆっくりと江澄は近づいた。途中でこちらを振り向くのではないかと期待したが、五歩ほどの距離まで近づいても相手は江澄に気が付かない。
     もう一歩近づいて、江澄はひたりと足を止めた。岩に背を預けるようにして座っている相手の顔が見えた。
    (え?)
     思わず足を止めてまじまじとその場で相手の顔を見る。見覚えのあるその顔は藍曦臣だった。瞳を閉じているため藍忘機かとも思ったが、藍忘機は先ほどまで蘭室で共に藍啓仁の座学を受けていたし、抹額に前髪の一部が被せられていない。前髪をすべ抑えるような抹額の結び方をするのは藍曦臣の方だった。思ってもみない人物の存在に江澄は瞬きを繰り返した。どうして藍の公子がこんな人目を避けるようにして眠っているのだろうか。まさか怪我でもしたのだろうか。確かどこぞの町の怪異を治めに行っていると聶懐桑が言っていたが、戻って来たのだろうか。
     怪我をしているのならばこんなところで寝ていることもないだろうし、治療をするだろう。雲深不知処の入り口から離れたこの場所に来るよりも蘭室も寒室も静室のほうが近いはずだ。
     そっとしておくべきか。はたまた風邪をひくと起こした方が良いのだろうか。江澄は逡巡したのち、一歩足を前に出した。
     極力起こさないようにそっと、そっと今まで以上に気配を殺して近づく。手を伸ばせば届く一歩分の距離まで近づくと、眠っている藍曦臣に顔の位置をあわせるようにしゃがみこんだ。まじまじとその顔を観察する。男の自分でも見惚れそうになる容姿だ。それに加えて性格温厚、品性高潔、霊力も高く、知識も厚い。同じ五大世家の公子の自分とは大違いだと溜め息をこぼしそうになる。一瞬母の顔が脳裏に浮かび掛けて、江澄は小さく首を振った。羨んだところで自分は魏無羨にも藍忘機にも、そして藍曦臣にもなれやしないのだ。霊力は修行である程度高めることはできるけれど、それでもやはり持って生まれた素質が物を言う。素質を補う努力を惜しむつもりはないが、たとえどれだけ修行をしても藍曦臣に勝てるとは思えなかった。
     江澄は音もたてずに立ち上がり、そっと藍曦臣の肩に手を伸ばしす。このまま立ち去ってもいいが、これでもしも藍曦臣が後々風邪を引いただとか、藍啓仁に不在を咎められたりなどしたら気の毒なので起こすことに決めた。手が肩に触れる直前で、ふと、江澄は藍曦臣の頭に巻かれた抹額の結び目が緩んでいることに気が付いた。岩に頭を預けていたのだろうか。手の方向を肩から緩んで今こそ解けそうな抹額へと向けた。指先が触れると、引っ張ってもいないのにはらりと抹額の結び目が解けた。
    「あ……」
     思わず声が漏れる。慌てて口を押えた。それと同時に、藍氏にとっての抹額はただの飾りなどではなく、規束自我の象徴であり、他人が触れてはいけないものだと聶懐桑が言っていたことを思い出した。
     まずい、と胸中で舌打ちをする。藍氏双璧の次期藍宗主である澤蕪君の抹額に触れてしまったのだ。しかも、事故とはいえ抹額がほどけてしまった。金子軒を殴った魏無羨と藍曦臣の抹額に触れてしまった自分と、どちらが問題になるのだろうか。ここでばれて自分も雲夢に座学の途中で返されてしまうのは避けたかった。それに、何より自分が問題を起こしたとしても、父は迎えに来ないだろう現実を見せつけられるのは耐えられない。
     じっと藍曦臣を見るが、まだ起きる様子はない。江澄は安堵の吐息を口元で抑えた手の中でこぼし、近づいた時以上の慎重さで藍曦臣から距離を取った。十歩の距離まで離れると踵を返して駆け出した。
     これは、誰にも言えない。



     手の中で抹額の端を弄びながら、江澄はふと昔のことを思い出した。魏無羨が藍忘機の抹額に触れ落とす前に、自分が藍曦臣の抹額に触れていたのだ。藍氏の抹額がいかほどに大事なものかと藍忘機の抹額を落とした魏無羨に呆れた様子で伝えながらも、内心ひやひやしていた。ずいぶんと昔の懐かしい記憶だった。
    「こら。悪戯は駄目ですよ」
     行儀悪く横臥していた江澄の頭を藍曦臣が猫でも撫でるかのように撫でて来た。江澄はふん、と小さく鼻を鳴らす。少し藍曦臣を抱えていた己の秘密でもって揶揄ってやろう。
    「俺は貴方に一つ、秘密にしていたことがあってな。実は、座学で雲深不知処にいた時、ある藍氏の内弟子の抹額に触れ解いてしまったことがある」
     嘘は言っていない。藍曦臣も藍氏の内弟子か、外弟子かの二択で行けば、内弟子に当たる。
     さて、どう反応をするだろうか。驚いてくれるか、妬心が出るか、それとも?
     見上げて藍曦臣の顔を見ると驚いた顔をした後、藍曦臣はなぜか楽しそうに綺麗な弧を口元に描いた。江澄が予想していなかった反応だ。
    「私もあなたに秘密にしていたことがあるんです。実は、昔、まだ十代のころ、座学に参加していたある世家の公子に、抹額を落とされたことがあってね。それ以来、ずっとその公子のことが気になって仕方がなかったんだ」
     小さく笑いながら、伸びて来た手が、江澄の顎をくすぐり、頬をくすぐる。やはり猫扱いをされている気がするな、と思いながら、藍曦臣の言葉を反芻し江澄は眉根を寄せた。
    「……なんだ、貴方はあの時、起きていたのか?」
     藍曦臣から答えはない。
     その代わり、江澄の上に覆いかぶさるように影が出来た。手の中の抹額の端を軽く引っ張ると、あの時のように簡単に抹額は藍曦臣の頭から解けてしまう。鼻を鳴らして江澄は瞳を閉じた。
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    sgm

    DONE去年の交流会でP4P予定してるよーなんて言ってて全然終わってなかったなれそめ曦澄。
    Pixivにも上げてる前半部分です。
    後半は此方:https://poipiku.com/1863633/6085288.html
    読みにくければシブでもどうぞ。
    https://www.pixiv.net/novel/series/7892519
    追憶相相 前編

    「何をぼんやりしていたんだ!」
     じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
     眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
     怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
     胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
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    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
    5198

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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

    takami180

    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

    takami180

    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337