恋人できたの?「……彼女できたの?」
指で摘んで見せたのは、未開封のコンドームであった。
滝川が勝手知ったる渋谷サイキックリサーチのオフィスに訪れたところ、そこにいたのは事務のバイトを務める安原修だけだった。
所長のナルや調査員のリンの姿が見えないことは特に珍しくもないが、麻衣は学校が終わっている時間ならば大抵はいる。もちろん、バイト代のために。
「こんにちは、滝川さん」
「よう少年。1人か」
「所長とリンさんはいつも通りです」
言って、安原は所長室と資料室に視線を向ける。あの二人が閉じこもっているのはなるほど通常営業だ。
「谷山さんは今日はお休みだと連絡がありました。どうやら風邪を引いたそうで」
「あれま」
「先ほど松崎さんがいらして、そういうことならと谷山さんに差し入れを持っていく算段をしていましたよ。必要ならキッチリ病院連れていくから任せなさい、だそうです」
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