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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    かおみさ

    #ガルパ
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    #かおみさ
    loftyPeak

    ハッピーラッキーバレンタイン「あ、薫さんもう来てたんだね」


     CiRCLEのラウンジへ行けば、既に薫さんがソファに座っていた。私達に気付くと、片手を挙げて微笑む。


    「やあ花音、はぐみ、こころ。おや、今日は美咲は居ないのかい?」

    「美咲ちゃんは少し部活に顔出してからこっち来るって。すぐに追い付くって言ってたよ」


     事情を話せばそうなんだねって頷く薫さんは少し寂しそうだ。この二人が付き合ってるってことは、直接は聞いていないけど二人の持つ態度や雰囲気でなんとなく察している。こころちゃんも、よく周りを見ているから気付いているんじゃないかなぁ。
     美咲ちゃんが言いたがらない感じだから、黙ってはいるんだけど。


    「薫くん、その紙袋なに!? すんごいたくさんあるね!」


     薫さんの両隣を陣取るのは大量の紙袋。その中には、綺麗に可愛らしくラッピングされた箱や袋がこれでもかと詰め込まれていた。
     今日は2月14日、バレンタインデー。薫さん風に言えば、つまりそういうことなんだろう。


    「これは子猫ちゃん達から貰った愛の証さ。嗚呼……儚いね」


     紙袋の中はなんとも色鮮やかで、華やかで。
     去年も薫さんが貰ってきたチョコの数は凄かったけど、今年はそれ以上なんじゃないかなあ。


    「そうなのね! じゃあこれ、あたしからよ、薫!」

    「はぐみも〜!」

    「あっ、私も……!」


     高級感溢れるラッピングのこころちゃん。可愛らしいラッピングのはぐみちゃん。リボンの形がちょっと上手くいかなかった私。
     それぞれ用意してきたチョコを差し出せば、薫さんは本当に嬉しそうな笑顔を見せて受け取ってくれた。


    「ありがとう。大事に食べるとするよ。……実は、ハロハピのみんなにだけは、今年は用意してきたんだ」


     薫さんはそう言って、紫色のラッピングに包まれた小さな箱を渡してくれた。
     きっとファンの人たちには、ホワイトデーでお返しをするんだろうけど。バレンタインでチョコを貰えたのはハロハピだけっていうのが、薫さんの中でもハロハピは特別なんだって分かって、なんだか嬉しくてくすぐったくなる。
     こころちゃんとはぐみちゃんも同じことを思ったみたいで、満面の笑みでお礼を言いながら薫さんに抱き付いている。


    「すみません、遅くなりました……っ!」


     そんな中、ラウンジのドアが開いて小走りの美咲ちゃんがやって来た。
     まだ練習始めてないから大丈夫だよって言いながら、視線は彼女の持つ紙袋へと。


    「あれ、美咲ちゃん。それって……、」

    「あ、これですか?」


     がさりと紙袋が音を立てる。
     覗いてみれば、中には薫さんと同じく可愛らしくラッピングされたチョコレートらしきものが詰め込まれていた。


    「テニス部の後輩達から貰ったんです。今日は顔出して欲しいって頼まれたから何かと思えば、これを渡したかったみたいで」


     眉を下げて苦笑いする美咲ちゃんは、困ったような口調だけれど、内心は嬉しそうだった。
     メッセージカードが添えられてる物もあって、普段美咲ちゃんが後輩から慕われているんだなぁって実感した。

     ただ、薫さんだけが目に見えて動揺していた。さっきまであんなに嬉しそうな笑顔を見せていたのに、シュンって眉が情けなく下がって、視線の先は美咲ちゃんの紙袋。尻尾があったらきっと垂れ下がっていることだろう。
     これはあくまで私の予想だけど。きっと、美咲ちゃんが思ったより人気だったから、それで焦りとかヤキモチとかを感じているんじゃないかな、と思う。
     私でも分かるくらいだから、きっと美咲ちゃんはもっと分かった筈。


    「美咲は…………その、人気者なんだね」

    「いや、それ薫さんが言います?」

    「美咲〜〜!! ハッピーバレンタイン〜〜!!」


     ぽつりと零した薫さんに美咲ちゃんが苦笑いをして、その背中にこころちゃんが突撃していく。
     それにはぐみちゃんが加わって、紙袋の中にそれぞれ用意していたチョコの箱を投下していた。贈り物に気付いた美咲ちゃんが、眉を下げて笑う。


    「ん? あー、ありがと。あたしも、はい。あとこれはミッシェルから」

    「えーー!! ミッシェルのもあるの!? ありがとうみーくん!」

    「ミッシェルったら、直接渡してくれても良かったのに、残念ね」


     少し不満げにこころちゃんが頰を膨らませると、美咲ちゃんは苦笑いをした。ミッシェルは友達のミッシェル達とバレンタインするみたい、といつもの台詞で誤魔化すと私の方へやって来る。


    「はい、花音さんも」

    「わぁ、ありがとう。……あれ、私もミッシェルからの分貰っていいの?」


     勿論ですよって美咲ちゃんが笑ってくれたので、有り難く受け取ることにした。
     美咲ちゃんの青い箱と、ミッシェルのピンクの袋。二人分律儀に手作りしてくるあたり、美咲ちゃんらしい。きっと中身も違うのだろう。家に帰って開けるのが楽しみだな。


    「薫さんも。ハイこれ」


     しょぼくれていた薫さんの目が急に輝く。なんなら尻尾が振られている幻覚まで見えそうだ。なんだか大型犬みたいだな、なんて思っちゃったり。
     美咲ちゃんも美咲ちゃんで、素っ気ない口調で渡す割に青い箱が私たちにくれたものより心なしか大きい気がする。……のは、気のせいじゃないと思う。


    「……いいのかい?」

    「…………薫さんに、作ってきたんで」

    「……! そうか、ふふ。私も、作ってきたから受け取ってくれないか」


     紙袋いっぱいのチョコレートを貰った二人が、顔を赤く染めながら手作りのチョコレートをお互いに交換する光景はなかなか異様だったのかもしれない。
     でも、二人とも幸せそうだし、笑顔だからそれで十分かなって。
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