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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    浬-かいり-

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    かおみさ(大学1年×高校3年)

    #ガルパ
    galpa
    #かおみさ
    loftyPeak

    においから分かる二人の関係性について 私と花音が大学へ進学してしまってから、頻度は減ったもののまだハロハピとしての活動は続けている。
     大学の講義が終わった後、そのままこころの家へと直行すれば、既にこころと花音が待っていた。他の二人はどうしたかと問えば、はぐみは忘れていた宿題を居残りでやっていて、同じクラスの美咲はそれに付き合ってやっているらしい。こころも同じクラスではあるが、大学へ花音を迎えに行く為に別行動だったようだ。


    「あはは……。はぐみちゃん大丈夫かな」

    「受験生の自覚がーって、美咲が怒ってたわ」


     苦笑いの花音に、こころが楽しそうに答える。


    「そう言えば、はぐみと美咲は今日うちで一緒に夕食を摂るの。花音と薫もどうかしら?」

    「わぁ、嬉しいな。じゃあご馳走になろうかな。薫さんは?」

    「うん、私もお言葉に甘えようかな」

    「本当!?」


     花音も私も、大学進学を機に一人暮らしを始めている。毎日自炊をするのがなかなか大変で、母親の有難さを日々実感している。
     ……なので、こうして食事に呼んでくれるのは正直有難い。
     花音と揃って了承の返事をすれば、こころは嬉しそうに私たちに抱き着いてきた。無邪気な笑顔がとても可愛らしくて、私も嬉しくなる。


    「五人で食事できる機会もなかなか無くなってしまったから、とーーっても嬉しいわ! ……あら?」


     抱き着いてきたこころが、鼻をすんと鳴らす。
     すんすん。真顔で動物のように鼻をひくひくさせるこころが、私の服や髪の匂いを嗅いでいる。


    「……こころ?」


     何かを探るような様子に、不安になって声を掛ける。


    「わーー!! 遅れてごめんなさい〜〜!!」

    「お疲れ様でーす」


     そこへドアが勢いよく開き、はぐみと美咲が入ってきた。その二人に気を取られ、こころは私から離れていった。よく分からないが、助かった……? のだろうか。


    「はぐみ〜〜〜!! 美咲〜〜〜!! 久し振りね!!」

    「わぁい、こころん久し振り〜〜〜!!」

    「いや朝から放課後までずっと一緒に居たじゃん……」


     こころがはぐみと美咲に抱き着きにいく。快く受け止めるはぐみと、呆れ顔の美咲。見慣れた光景だ。
     ふと、こころが動きを止める。どうしたのかと思ったら、おもむろに美咲の首筋に顔を埋め出した。


    「ちょ、なに、こころ!?」


     動揺した美咲が顔を赤くして、こころの肩を掴み引き剥がす。
     剥がされたこころは何か考え込むようにその場に立ち尽くした後、すぐにぱっと顔を輝かせた。


    「分かったわ!!」

    「……はい? 何が?」


     一人合点がいった様子のこころに、美咲を含め全員が首を傾げる。
     すんすん。こころの鼻が美咲の着ている制服へ近付く。そこでようやく私は、こころが美咲の匂いを嗅いでいたのだと気付いた。


    「今日の美咲、なんだか知っているにおいがしたの。いつもの美咲じゃないにおい」

    「は!? あんた今日一日そんなこと思ってたの!?」

    「でも今分かったの!」


     聞いて、と美咲が小さく文句を零す。
     私はというと、こころが言いたいことにいち早く気付いてしまって背中を冷や汗が伝った。


    「これは薫のにおいだったのね!!」


     爆弾が落とされた瞬間、察したはぐみと花音が顔を赤くして手で口元を押さえた。美咲本人に至っては心配になるくらい、熟れた林檎のように耳まで真っ赤だ。
     こころの追い討ちは続く。


    「最近たまに、美咲からいつもと違うにおいがするから何かしらって思ってたの。覚えがあるけど思い出せなくて……薫だったのね!!」


     疑問が解けたこころだけが、すっきりと爽快な笑みを浮かべていた。けれどここは美咲風に言うなら、勘弁してくださいこころさん、だ。


     私が一人暮らしを始めてから、恋人である美咲が家をよく訪ねてくるようになった。
     先程は親の有難さを語ったが、親の目や気配を気にせずに恋人と触れ合えるのはやっぱり幸せで。週末だけでなく平日も学校の後に訪れ、勉強を教え、一緒に夕食を食べ、そのまま泊まっていくという流れがここ最近の日常となりつつあっていた。


     泊まる、ということは。
     美咲が入浴の際に使うシャンプーも、服を一緒に洗濯する時に使う柔軟剤と洗剤も、勿論同じ物な訳で。
    ともすれば、美咲の纏う匂いが私と同じなのも頷ける。……頷けるが、問題が。


    「どうして美咲から薫のにおいがするのかしら? とっても不思議ね!」

    「……そうだね……、」


     こころのキラキラの瞳を直視できない美咲が、真っ赤な顔のまま小さく声を絞り出して俯く。

     私と美咲は、恋人同士であることをまだ公言出来ていない。私自身は可愛らしい美咲のことを自慢したい気持ちもあるのだが、美咲はまだ恥ずかしさの方が強いようなので、言い出せる時が来るまで待っているのが現状だ。


     美咲の視線が泳いだ後、私と目が合う。助けを求めるような、縋るような目だった。
     私は肩を竦めると、彼女の肩を抱く。


    「私が答えよう。こころ、はぐみ、花音。聞いてくれるかい?」


    実は———、


     真剣に耳を傾けてくれる三人に、私は美咲の関係性と、最近の付き合いについて語り出した。
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