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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    かおみさ

    #ガルパ
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    #かおみさ
    loftyPeak

    儚き幸せ家族計画 とある土曜日。その日はこころの家でハロハピ会議の予定だった。
     ところが当日の朝になって、美咲から『家から離れられなくなったので行けなくなった』という旨の連絡が来て。心配したものの、家から離れなければOKとのことだったので、本日のハロハピ会議は美咲の家で行うことになった。四人で彼女の家を訪れ、インターホンを鳴らす。


    「はいはーい。ごめんね急に」


     聞き慣れた声と共にドアが開かれる。その瞬間、思考が停止した。


    「えっ、美咲ちゃん、その子は……?」


     花音が驚いた声で尋ねた。

     美咲の腕の中で、小さな赤ん坊が抱かれていた。真っ白でぷくっとした小さな手が、彼女の服をぎゅっと握っている。美咲には確かに妹と弟が居るが、こんなに小さくはない。
     けれど、その赤ん坊のまだ薄く細い黒髪と、まん丸のブルーグレーの瞳が、美咲の姿と重なって。


    「み、美咲、いつの間に子供を……!?」

    「えっ、み、み、みーくんが生んだの!?」

    「あら、とっても可愛い赤ちゃんね! 美咲の赤ちゃんなのかしら?」

    「ま、待って! 落ち着いて!! 違うから!!」


     蒼褪める私と、顔を赤らめるはぐみと、平常通りのこころ。三者三様な様子を目の当たりにした美咲が、素っ頓狂な声を上げて私と同じように顔を蒼くした。


    「取り敢えず中に入って! ちゃんと説明するから!!」






     どうやらこの赤ん坊は、美咲が親戚から預かったらしい。一日面倒を見て欲しいと。
     高校生一人に赤ん坊の世話を任せるなんてとか、自分はベビーシッターじゃないとか、色々ぼやいてはいるものの、先程から美咲にしがみついて離れないので懐いてはいるようだった。花音が性別を聞けば、女の子だと返ってくる。


    「はー、びっくりしたぁ。はぐみ、みーくんがいつの間にかママになっちゃったのかと思ったよ〜」

    「いや、そんな訳ないでしょ……」

    「あはは……。でも美咲ちゃんによく似てるよね」


     眉を下げるはぐみに、美咲が呆れたように溜息を吐き、花音が苦笑いする。
     かく言う私も肝を冷やした訳なのだが、恋人という立場上それを口に出すと洒落にならないので黙っておく。
     こころは物珍しそうに赤ん坊の頬っぺたをつつき、はぐみがおっかなびっくりな様子で赤ん坊の手を取り、花音が話し掛けるように赤ん坊の顔を覗き込んでいた。
     私は赤ん坊……というより、それを抱く美咲に目が行っていた。いつもより柔らかい笑顔の彼女はまさに母親のようで、なんとも儚いものがある。


    「あ、ハロハピ会議だよね。その前にミルク作って来ていい?」

    「あたしも手伝うわ!!」

    「はぐみも!!」

    「えっ、」

     可愛いお姫様二人の申し出に、美咲は一瞬顔を曇らせた。右に左に目を泳がせた後、花音に赤ん坊を託す。


    「あー……えーと……こころとはぐみは、花音さんと一緒に赤ちゃん見ててやってくれる……? あたしが作ってくるから」

    「わかったわ!」「りょうかい!」


     声を揃えて返事をする二人は、花音の手に渡った赤ん坊に一生懸命話し掛け始めた。
     その様子を見て安堵したように肩をすくめた美咲が台所へ行くので、後を追う。声を掛ければ美咲が驚いた顔をした。


    「わ、薫さん、どうしたの」

    「私は小さな子猫ちゃんを見るように言われなかったからね。美咲を手伝いに来たんだ」

    「小さい子猫ちゃんってもう訳わかんないから……」


     苦笑いする美咲の手には、哺乳瓶と粉ミルクの缶。成る程、これでミルクを作るという訳か。じっと眺めていたら、私が興味を持っていると思ったようで。


    「……薫さん、作ってみる?」


     そんなことを言われてしまった。


    「粉ミルクを入れる量はこれでいいかい、美咲?」

    「いや、多い!! そんなにスプーン大盛りに盛らなくていいんだって!」

    「美咲、温度はどれくらいがいいのだろうか……?」

    「熱ッ!? 火傷するからもう少し冷まして!」


     美咲の付きっきりの指示でなんとかミルクを完成させることが出来た。再び赤ん坊を抱っこした美咲が哺乳瓶を持ってミルクをあげていく。手付きが慣れているように見えるから、きっと何度かやったことがあるのだろう。
     嬉しそうにミルクを飲み切ったと思ったら、今度は泣き出してしまった。どうにも忙しいらしい。元気な泣き声にはぐみが驚く。


    「えっ、さっきまでご機嫌だったのに! どうしようみーくん!」

    「多分眠いんだと思う。おんぶ紐預かったんだけど……どうやればいいんだろ、これ」

    「あっ、私手伝うよ」


     花音の手伝いにより赤ん坊をおんぶ出来た美咲が、ゆらゆら揺れて赤ん坊を寝かし付ける。
     美咲と赤ん坊。その非日常なツーショットをこの目にしっかりと捉えて。


    「……儚いね」

    「……それ、どっち見て言ってます?」


     思わず正直な言葉を漏らせば、じっとりとした視線が向けられた。徐々に目がとろんとしてくる赤ん坊の頭を撫でる。
     その様子を見た花音がくすくすと笑い声を小さく零した。


    「ふふ、なんかそうしてると、薫さんと美咲ちゃん、本当のお父さんとお母さんみたいだね」

    「ほんとだ! なんていうか、いっかだんらんって感じがするよ!」

    「赤ちゃんも、とってもステキな笑顔で寝てるわね!」


     花音の指摘を受けた瞬間、美咲の顔が真っ赤に染まる。その様子が可愛らしくて。


    「嗚呼、美咲となら今すぐにでも幸せな家庭を築けるだろう。どうだい、美咲?」

    「どうもこうもないでしょ!? これ預かった赤ちゃんだから! あたし達の子供じゃないから!」


     真っ赤な顔で否定する美咲だが、私と家庭を築くことに関しての否定は無くて。そのことが余計に頰を緩ませてしまった。








     後日。本気で美咲との子供が欲しくなってフラフラと子供服売り場に吸い込まれていった私は、その現場を千聖に目撃されてしまうのである。
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