『禁じられた遊び』⑥乾青宗 ちいさな青いスコップで土を掘る。固い土は掘りにくく、満足のいく深さを掘るのに、予定外の時間を要した。土を盛って、割りばしで作った手作りの十字架をふたつ刺す。かなり不格好だが、いちおう十字架には見えるだろう。乾はそっと息を吐く。
「それは誰の墓?」
背後に男のひそやかな声があった。
「ココとオレの墓」
ふぅん、と九井が乾の横にしゃがみこむ。高そうな、実際高いのだろう、コートに土につくが、九井は気にした様子もない。先日きた警察に寄れば「存在しない男」だそうだ。おかしなことを言うものだ。九井一がいないなんて、馬鹿なことを言う。
「金魚はもうとっくに土に還っただろ。この中にはなにが入っているんだ?」
「アジトの鍵」
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