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    藤 夜

    成人⬆️基本は夏五!書くのは夏五!!ほのぼのいちゃいちゃを日々妄想中^ ^

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    藤 夜

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    呪専
    傑の冷蔵庫にあったプリンを食べた悟が、喧嘩に至った理由を硝子に相談しながら気付くまで。お互いに仲良くしたいのよ^^
    GEGO DIG. SUMMERでpixivにて展示した短編集より。

    #夏五
    GeGo

    【常盤緑】 おやつ ひとり机の上に突っ伏して、窓から見えるムカつくほどに上天気な空と青々と茂る木々を睨んでいたらしい。
    「また夏油とケンカしたのか」
     呆れたような声に顔を上げれば、もうひとりの同級生が笑っていた。
    「べっつにぃぃ」
    「私はどうでもいいけど、やたら授業の進みが遅くなるのは迷惑だし、険悪な空気が双方から流れてくるのも鬱陶しい」
     ばっさりと切って捨てるような言い方も、今まで扱われたことがないような雑な対応も、イラついたり憤慨したのも初めの頃だけで、今はすっかり居心地がいい。
    「あんなに怒るとは思わなかったし」
    「その時点で、自分が悪いって言ってるようなもん」
     先を促すように視線を投げられ、渡りに船とばかりに、事の経緯を聞いて貰うことにした。
    「冷蔵庫開けてプリンが入ってたら、食べたくなるじゃん」
    「それって」
     まさか、と問うように尋ねられて、当然のように答える。
    「え、そう、傑の冷蔵庫。アイツ、甘いの殆ど食べないし。傑の冷蔵庫の中にあるスイーツは、俺のものだし」
     今度こそ心底呆れたような、しかめた表情で一瞥され、そんなにいけない事かと少し心配になってきた。
    「オマエの家の事情は知らないけど、世間一般じゃ、人の冷蔵庫は勝手に開けないんだよ」
    「そのぐらいは知ってる。傑に怒られたし。けどその後、傑の冷蔵庫だけは開けてもいいって言われた」
     目を見開いて舌打ちつきで、煙草を吸っていたら確実に落としそうな嫌そうな顔をされた。
    「夏油は五条に甘過ぎだ。過保護にしたって過ぎるだろ」
    「なにがだよ」
    「夏油がいない時に、開けて勝手に食べたんだろ」
     落ち着いた声のトーンに、体を起こして硝子に向けた。多分、ちゃんと聴いた方がいいヤツだ。
    「そう」
    「その時、プリン以外に一緒に入っていたモノ、あっただろ」
     そう言われて目を閉じ、昨日の冷蔵庫内の景色を思い浮かべた。
     あっ、あった。
    「コーヒーゼリー」
    「ふーん」
     納得したように頷いた硝子に、ワケがわからず、傑のことなのに硝子の方が理解しているのが悔しくて、ムカついて、イヤになる自分が、嫌だ。
    「そー言うことだろ」
     不機嫌に黙り込んだ俺を見て、意味あり気に微笑みながら頷かれた。
    「なにがだよ」
    「わかりやすく百面相して。夏油のことは五条の方がよくわかってるよ。私がわかるのは一般常識に照らし合わせてってことだけだ」
     無言で先を促せば、幼い兄弟を諭す声で、謎解きをするかのように質問がくる。
    「夏油がひとりでコーヒーゼリーを食べると思うか」
    「うーん、食べない、な」
    「だろ。でも、実際には入っていたのはどうしてだ」
    「貰った、とか」
    「でも、プリンは五条が好きなプリンだったんじゃないか」
    「うん、俺が好きな、あっ、買ってきてくれた……?」
    「まあ、五条用だろうね」
    「あれ、じゃあ」
    「そう、元々プリンは五条のもので、コーヒーゼリーは」

    「傑が、一緒に食べようと思って用意してたって、こと」

     散らばる考えをまとめるために、きゅっと目を固く瞑ると、硝子の淡々とした声と、傑の笑顔が見えてきた。
    「五条も、夏油が怒ったわけが、わかっただろ」
    「多分」
     椅子から立ち上がり、出入り口に体を向けると、にやりと含み笑いをされた。
    「それなら」
    「謝ってくる」
    「おう。顔見て伝えろよ」
    「硝子、ありがと」
    「オマエが自分で気が付いただけだ」
    「後でひと箱持ってくる」
     きびを返すその前に硝子に礼を伝えると、慣れた教室を後にして走り出した。まだ、帰ってきていないし、太陽は中点だ。よく茂った森を抜けて、コンビニまで行ってこよう。
     
     今日のおやつは傑と一緒に、プリンとコーヒーゼリーを食べるのだ。

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    Replies from the creator

    藤 夜

    DONE生徒たちのクリスマス会からの、ふたりだけで、一緒に過ごす、しあわせな時間。
    離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    キヨシキョシ 悟視点 
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆五◆ 好き クリスマスケーキにシャンメリー、ケンタのチキンをメインにデリバリーのデリカが所狭しと並んでいる。悠仁と恵が飾り付けたのか、壁や天井に星を始めとした色とりどりのポップな装飾がなされ、楽しげな雰囲気満載だ。
    「先生も食べていけばいいのに」
     当然だと言わんばかりに声を掛けてくれるのは優しい悠仁ならではで、当然嬉しくもあるけれど、それはそれで少々困る時もある。
    「こういうのは学生だけの方が盛り上がるよ、ね、憂太」
    「ええっと、でも先生も」
    「気を遣うことないって。どうせこいつはさっさと帰りたいだけだろ」
     同じく優しさの塊と言いたいところではあるけれど言い切れない乙骨が、助けを乞うように視線を向け小首を傾げて微笑むと、隣にいた真希に、冷ややかな視線と共にばっさりと切り捨てられた。それでも目の奥が笑っているので、僕たちふたりの様子を見慣れた彼女たちは、またかと呆れているだけだろう。憂太に頷いて貰う前に角が立つことなく帰れるからいいけれど。
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    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師if 伏黒視点 
    例年別々に過ごすイブを、珍しく伏黒姉弟と一緒にケーキ作りをする夏五のお話
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆三◆ スカイブルー「それじゃ、僕と一緒に恵たちとケーキ作ろうぜ」
     故あって保護者の真似事のようなことをしている姉妹が私にはいて、毎年クリスマスには彼女たちと一緒にケーキを作ってささやかなクリスマス会をし、サンタクロースの真似事をしていた。それが今年は、
    「私たちだけで作ったケーキを夏油様に食べて貰いたいから準備ができるまで他所のお家で遊んできて」
     と言われてしまった。成長が喜ばしくもあり、寂しくもあり、ならば非常勤として働いている高専で事務仕事を片付けようと思っていた所に、悟に声を掛けられた。
     彼にも保護者と言うより後見人として面倒を見ている姉弟がいる。こちらはクリスマスに一緒にいても鋭い目つきで邪険にされるそうだが、それは表面上だけで、それなりに楽しんでくれているみたいだから、と毎年ケーキやらプレゼントやらを携えていそいそと出掛けていく。紆余曲折があった上でクリスマスは一緒に過ごしたい間柄になったにも関わらず、優先すべき相手がいることに互いに不満を言うことはない。私はそんな悟だからこそ大切だし、悟だって私のことは承知している。それでも世の浮かれたカップルを見れば羨ましくなるのは当然で、イブじゃなくてクリスマスに一緒に過ごすようになった。
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    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師×教師 虎杖視点 
    クリスマスプレゼントにまつわる惚気のひと幕

    【雪が融けるまで725秒】の開催、おめでとうございます&ありがとうございます♪
    ひと足先にサンプルがわりに第1話を掲載します^^
    ◆一◆ 久遠「しょうがない、伏黒が迎えに来るまではここで寝てなよ」
     そう言って家入は空いているベッドを指差した。申し訳なさに仕事は、と問えば、
    「仕事納めはまだ先だから、私のことは気にしなくてもいいよ」
     積み上がった書類の奥で目元を細めて頷かれた。閉じたカーテンの向こう側にあるベッドに寝転ぶと、冷えたシーツが火照った肌に心地よく、横たわれば楽になった体に、疲れていたのだと実感した。
     クリスマス明け、最後の任務に出掛けたところでやけに暑いと感じたら、伏黒に思いっきりどやされた。どうやら珍しく風邪を引いたらしい。ただ、風邪なのか、呪霊に中てられたのか、イマイチ判断がつきかねるからと、怒鳴った伏黒に連れられてやってきた医務室で様子見と相成った。まあ、伏黒が俺の代わりにまとめて報告書を作成して、提出してくるまでの間、寝て待っていろ。と言うのが正しいのだろう。年末だから年内に提出しとけって言うなら、こんな年の瀬に駆り出さなくてもと思わなくもないけれど、年の瀬だからこそ、刈り取れる危険は摘んでおけと言う理屈も当然理解はできる。猶予があるからとクリスマスに予定を入れられなかっただけで、御の字なのだろう。
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    たんごのあーる

    TRAINING16巻の衝撃にうなされるようにしてひとつ。ショートショート。目が覚めたら、まだ真夜中だった。隣で眠っていたはずの傑がいない。悪夢の続きかと思うと、鼓動が不規則に激しくなり、呼吸が乱れる。
    とりあえずひとつ深呼吸して、周りを見渡す。薄いカーテンの向こうのベランダで、ホタルのように明滅する小さな光を見つけ、慌ててベッドから降りると、引き寄せられるようにその広い背中に縋り付いた。
    「悟?どうした?目、覚めちゃた?」
    肩口に頭を乗せて、うなじから傑の香りを確かめる。くすぐったいよ、と頭を優しく撫でられると、少し落ち着いた。
    「まだ早いよ。どうしたの。」
    「…ヤな夢を見た。」
    「どんなの?」
    「言いたくないくらい、ヤなやつ。」
    5月の月のない夜は、虫の声もせず、ひどく静かでなんだか仄暗い。
    「そっか。でも、夢でよかったよ。」
    そう、傑はポツリと言う。
    「なんで?」
    「夢は『夢』だからさ。良い夢見たときは、いい夢見られてよかった。悪い夢の時は、夢でよかった。現実じゃなくてよかった、ってこと。」
    煙草を消して、携帯灰皿をポケットに仕舞うと、正面から抱きしめられる。Tシャツ越しに伝わる傑の体温が自分より少し低いのに気付いて、なんだか切なくなる。
    「身体、冷えて 573