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    VAZZY227_

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    双聶と双傑のお話 始まりのセリフだけ決めて満足しちゃった

    ##まどそし

    「ねぇ江兄、どうして兄ってわからず屋ばっかりなのかな」

    観音廟で金光瑤の悪事が暴かれたあと四大世家は大変な後始末に追われていた。次期宗主として一人で立つには金凌はまだ幼すぎるとの声が数多聞かれる一方、直系としての血を無視することも出来ないとの意見も根強く蘭陵金氏は大変な騒ぎになっていた。
    また姑蘇藍氏のほうは藍曦臣が閉関してしまい仙督の藍忘機が宗主代理まで担う一大事に発展していた。そして清河聶氏の宗主といえば三不知の聶懐桑である。しかもこれまで彼が頼りにしてきた2人のうち1人は死にもう1人も世俗から身を隠してしまっている。残った雲夢江氏の宗主である江晩吟の肩に様々な問題が降り掛かってくることは火を見るより明らかであった。
    しかし江澄の行動は速かった。藍曦臣の話を聞くとすぐに仙督に蘭陵金氏のゴタゴタを一任し監督するよう各世家ならびに蘭陵金氏を説得しまずは甥の保護に努め、その件がひとまとまりしたのを確認するとすぐさま清河へ向かった。そして懐桑のもとに殴り込みもとい話し合いを持ちかけたのである。
    「聶宗主、単刀直入に言おう。やる気を出してくれ」
    「単刀直入すぎですよ江兄…」
    雲深不知処での座学の頃からの付き合いでありここ数年は宗主としても付き合ってきた。さらには観音廟での一件も共にした相手に遠慮は不要とばかりに江澄は迫った。また懐桑も江澄が甥のこととなればなりふり構わない男であることもよく知っている。やれやれといった表情を浮かべた懐桑はふらりと立ち上がると部屋の隅にある瓶を持ってきて差し出した。
    「積もる話は酒と一緒にね?江兄」

    「…美味いな」
    「そうでしょうそうでしょう!あの商人が取り寄せるものはどれも良いものばかりなんですよ。特にこれは季節限定でしか造られないものらしくて」
    「お代わり」
    「もう?!ちゃんと味わってます?!全く魏兄といい江兄といい雲夢の人達は浴びるように酒を飲むんですから…」
    文句を垂れながらも2杯目が椀に注がれる。昔から何かと美味いものや美しいものを探し出すことに長けた彼のおすすめだけあり良い酒だった。あれやこれやと言いつつ酔いを回していくうちにいつしか話題は過去のことになっていた。過ぎた日の思い出を、怒り以外の感情を持って口に出来るようになったのはごく最近だ。まぁそんな話が出来る相手も目の前のこの男くらいなのだが。
    「あの時の魏兄と江兄ったらほんとに…ふふっ、面白かったですねぇ」
    「たしかにあの時の魏無羨は面白かったな」
    あれよあれよという間に空の酒瓶が増えていく。完全に酔いが回っているのが自分でわかる。けらけらと楽しげに笑いながら飲み続けていた懐桑がふと動きを止めた。
    「ねぇ江兄」
    「どうした」
    「どうして、兄ってわからず屋ばかりなんだろうね」
    ぽつりと零された言葉。俯いた彼の表情は伺い知れなかった。俺には兄なぞいないと、または聞こえなかったフリをすればきっとなかったことになるのだろう。そんな独り言に似た言葉だった。それでも。
    「…」
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