「あっ雪だ!」
はしゃぐルカの声でしんしんと降る雪に気づく。今にも飛び出して行こうとするルカに苦笑しながら防寒具を装備させる岳を見て翔が微笑んだ。
「僕は雪は慣れっこだから」
「ご家族が雪国なんだっけか」
そうそうと頷いた翔は雪合戦を始めた岳とルカを窓越しに微笑ましく見つめていた。
そんなメンバーの様子を見ながら玲司の脳裏にはある冬の日の思い出がかすめていた。
VAZZYのメンツに絡まれ結局12人総出での雪合戦大会を終え寒さに震えながら歩は部屋に戻った。かじかむ手をストーブの前で擦り合わせていると玲司がやってきた。
「歩、大丈夫か?」
「問題ない、それより何の用だ」
「いや、ちょっと昔話でもしようかと」
そう言って笑う玲司の言葉に歩も心当たりがあった。あの日も今日のように昼前から雪が降っていた。
1982