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    hauntedxmansion

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    調パス&ともぬい(囚墓)が出会うおはなし

    ⚠調パス同居設定、別世界線の囚墓(ともぬい)が同時に存在しています!

    #囚墓
    prisonersTomb
    #lucadrew

    こっち向いて、チェリー。❖ ❖ ❖ ❖ ❖


    ソファの上には小さな生き物が我が物顔で鎮座していた。

    「……は?」

    思わず漏れた声に、キッチンにいたパストが気付いてパタパタとこちらへ歩み寄ってくる。

    「おかえり、ルカ。今日は早かったんだな」
    「あ、ああ、思っていたよりも依頼が早く済んでね…いや、そうでなくて…これ…」

    これ、と指を指した先にいるのは、私達に良く似た顔のぬいぐるみのような生き物。
    片方はパストと同じアルビノに黒のインバネスコートを着ており、もう片方は左目に痣があり囚人服のようなものを着ている。
    何よりも目を引かれるのは頭頂部と尻だ。丸い頭のてっぺんには折れた丸い耳と尖った三角形の耳、尻にはふさふさとした尻尾が生えている。所謂「猫の姿」の二匹(呼称が正しいかはさておき)は、ソファの上で仲良く毛繕いをしているのだ。
    パストはその仲睦まじくじゃれ合っている二匹の隣に座るとクスクスと笑った。悪戯っぽく笑う幼い顔がたまらなく可愛い。

    「びっくりするよな。僕もトゥルースさんから、暫く預かっていて欲しいって言われて、手渡された時はすごく驚いた」

    そう言ってパストは毛繕いの終わった二匹を膝の上に乗せて、彼らの顎や頭を優しく撫でている。
    羨ましい、正直私もパストに膝枕をされたい。

    「ともぬい?って言うんだって。この子はアンドルー・クレスって言って、こっちはルカ・バルサーっていう名前なんだ。すごいよな、僕のファミリーネームとルカのフルネームが全く一緒なんだよ」

    へぇ、と相槌を打ちながら、目をきらきらとさせて嬉しそうに喋るパストの隣に座り、その「ともぬい」とやらを観察する。
    急に知らない人間が近付いて来て怯えているのか、パストに似ている方のアンドルーは膝の上で丸まったまま固まって警戒してしまっているようだ。
    対して、私に似ている方は興味を引かれているのか、彼の膝からこちらに向かって身を乗り出して忙しなく匂いを嗅いでいる。
    好奇心旺盛で知的欲求の強いところもなんとなく似ていて、なんだか複雑な気持ちだ。
    というよりも…

    (小さい「私」、えらくパストにくっついていくな…)

    余程彼の膝の上が心地よいのか、小さな私は気持ち良さそうにくつろいでは時々撫でてくるその手をぺろぺろと舐めている。(アンドルーの方はソファの隅に避難したようだ)
    熱心に手を舐めていた彼とバチリと目が合う。一呼吸置いてフン、と小さく鼻を鳴らし、ゴロゴロと甘えた声を出して手に擦り寄り始めた彼を見て、私はらしくもなくカッとしてしまった。
    甘え始めた小さな体をパストの手から極力優しく奪い取り、ソファの隅で微睡んでいたアンドルーの隣に寄り添わせるようにそっと置いた。
    その一連の行動をきょとんと見ているパストに少しだけ居心地が悪く感じながら、肩が触れ合ってしまう距離まで近付いて彼の手を握る。あまりの情けなさに、彼の目を見ることはできなかった。

    何かに気付いたようにパストはふわりと笑い、そうして私の手をきゅっと握り返してくる。
    こういう時だけ変に察しの良いパストに観念して、私は拗ねた子供のように口を開いた。

    「ヤキモチを妬いたんだ…私もパストに撫でられたくて」

    真っ赤になって熱くなる頬に、彼の小さな唇が触れるまで、あと数秒。


    ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
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    hauntedxmansion

    DONE月一お題企画!(もはや月一ではない)
    2月のお題は【バレンタイン】です🍫⛓️⏳️
    ミルクチョコレートみたいに甘い囚墓を書きたかったはずなのに、どういう訳かカカオ80%くらいのビターなものに仕上がりました。
    どうしてこうなった。
    何だかじめっとしていますが、誰がなんと言おうとこれは囚墓です。
    A Form of Accepting Love❖ ❖ ❖ ❖ ❖


    小さな村で迫害を受けてきた痩せぎすな墓守の男と、没落し自分を失った囚人の私。
    おおよそ生きている中では出逢わなかったであろう二人が、荘園という奇妙な箱庭で邂逅を果たし、何の因果か恋仲にまで発展したのは此処では珍しい話ではないようだ。
    人の好意的な感情や恋愛沙汰に酷く疎い私達は、付かず離れずの距離を保ちつつ、今日まで恋人としての関係を続けられている。

    そんな私を含むサバイバー陣営の者達が生活を送る居館にて、すれ違う女性陣の浮足立った様子に「はて」と思考を巡らせる。
    足を運んだ食堂から漂ってくる仄かなカカオの香りに「ああ、今日はバレンタインの日だったな」とふと思い出した。
    私や恋人のアンドルーが此処に来る以前から、毎年バレンタイン等のイベント事がある日はご馳走やお菓子を作ったり、贈り物を贈ったりと思い思いの一日を過ごしているようだった。
    2993

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