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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    カノマト

    #カノマト
    kanomato

    また会える日の約束を「いつまで泣いてるつもりだい」
     カノンは縮こまった背中に向かって言った。マトリフは里の隅で膝を抱えている。マトリフはカノンよりいくつか歳上なのだが、修行が上手くいかないとすぐに逃げ出す。そうして誰も来ない里のはずれで膝を抱えて泣くのだ。
    「お父様はもう怒ってないって」
     カノンの父であり師でもあるバルゴートは厳しい。マトリフは特にバルゴートに見込まれていることもあって、特に厳しく修行をつけられていた。
    「師匠はおれのことが嫌いなんだよ」
     グズグズと鼻を鳴らしながらマトリフは言う。その情けない姿にカノンは我慢の限界だった。
     カノンはマトリフの隣に座るとずいと顔を寄せる。マトリフはぎょっとして身を引いた。
    「わたしは泣き言を言う奴が嫌い」
     カノンの迫力のある声に、マトリフはグッと息を詰めた。鼻からは鼻水が垂れる。
    「わたしに嫌われてもいいの?」
     マトリフは小さく首を振る。目尻にはじわりと涙が滲んでいた。
     カノンは懐からハンカチを出すとマトリフの顔めがけて投げた。
    「いくよ」
     カノンは返事も聞かずに立ち上がって歩き出す。マトリフは顔を拭くとカノンの後についていった。
     それからマトリフは泣くのも弱音を吐くのもやめた。逃げ出しそうになるとカノンの言葉を思い出した。嫌われたくない一心で修行にも励んだ。そうして師匠にも認められるほど強くなっていった。
     次にマトリフが泣いたのはカノンに置いていかれたときだった。


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    なりひさ

    DONEガンマト「時の砂」その後の蛇足。弟子に会いたくて未来へ来ちゃったバルゴート
    なにこれ修羅場じゃん ポップは焼きたてのパイを持ってルーラで降り立った。アバンの料理教室で作った自信作である。折角なのでマトリフと一緒に食べようと温かいうちに持ってきた。
    「師匠ぉ〜ガンガディアのおっさん〜お邪魔するぜ」
     呼びかけながら入り口をくぐる。しかしいつもなら返ってくる返事がなかった。人の気配はするのに返事が無いとは、来るタイミングが悪かったのだろうか。ポップはそろりと奥を覗く。
    「えっと、これどういう状況?」
     ポップは目の前の光景に頭にハテナをいくつも浮かべながら訊ねた。
     まずガンガディアがマトリフの肩を抱いている。優しく、というより、まるで取られまいとするようにきつく掴んでいた。ガンガディアは額に血管を浮かべてガチギレ五秒前といった雰囲気だ。そのガンガディアに肩を抱かれたマトリフは諦念の表情で遠くを見ている。そしてその二人と向かい合うように老人が座っていた。ポップが驚いたのはその姿だ。その老人はマトリフと同じ法衣を着ている。かなりやんちゃな髭を生やしており、片目は布で覆われていた。その老人がポップへと視線をやると立ち上がった。
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