Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌠 🐣 🍩 💕
    POIPOI 301

    なりひさ

    ☆quiet follow

    カノマト

    #カノマト
    kanomato

    また会える日の約束を「いつまで泣いてるつもりだい」
     カノンは縮こまった背中に向かって言った。マトリフは里の隅で膝を抱えている。マトリフはカノンよりいくつか歳上なのだが、修行が上手くいかないとすぐに逃げ出す。そうして誰も来ない里のはずれで膝を抱えて泣くのだ。
    「お父様はもう怒ってないって」
     カノンの父であり師でもあるバルゴートは厳しい。マトリフは特にバルゴートに見込まれていることもあって、特に厳しく修行をつけられていた。
    「師匠はおれのことが嫌いなんだよ」
     グズグズと鼻を鳴らしながらマトリフは言う。その情けない姿にカノンは我慢の限界だった。
     カノンはマトリフの隣に座るとずいと顔を寄せる。マトリフはぎょっとして身を引いた。
    「わたしは泣き言を言う奴が嫌い」
     カノンの迫力のある声に、マトリフはグッと息を詰めた。鼻からは鼻水が垂れる。
    「わたしに嫌われてもいいの?」
     マトリフは小さく首を振る。目尻にはじわりと涙が滲んでいた。
     カノンは懐からハンカチを出すとマトリフの顔めがけて投げた。
    「いくよ」
     カノンは返事も聞かずに立ち上がって歩き出す。マトリフは顔を拭くとカノンの後についていった。
     それからマトリフは泣くのも弱音を吐くのもやめた。逃げ出しそうになるとカノンの言葉を思い出した。嫌われたくない一心で修行にも励んだ。そうして師匠にも認められるほど強くなっていった。
     次にマトリフが泣いたのはカノンに置いていかれたときだった。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👍👍👍👍👍☺☺☺☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
    7747