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    ことじか

    @kotojika
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    ことじか

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    クリテメ前提のヒカテメみたいなの。テメノス3章後前提。クリテメ前提と言ってますがクリとテメが恋人関係だったとか付き合ってたのか好き合ってたのかはみなさんの想像にお任せします。

    #ヒカテメ

    いっそ泣いてくれたほうがましだった。「うっ…ぅ…」
    熱に魘されているのか。眠るテメノスが小さく呻き声をあげている。そっと、その肩に触れて大丈夫かと問いかける。
    「んっ、」
    あまりに細い肩だと。あまりに弱弱しいと。その時、初めてそう思った。
    「あぁ、」
    ぼんやりと視線がこちらを見やる。テメノスは肩に触れている自分の手をするりと取ってふわりと笑う。
    「よかった、クリック君。怖い夢を見たんです。君が死んでしまう夢を……でも、夢だった」
    手に指を絡めて、そのまま頬を摺り寄せる。温かい体温でも求めるかのように。
    「……生きてる。よかった……」
    はっきりとテメノスが目を開けた。その瞬間、翡翠色の瞳が硝子玉のように空虚な色にみるみる変わっていった。迷子の子どもみたいに、いまにも泣き出しそうな顔で。でもテメノスは泣かなかった。声なき悲鳴が聞こえた気がした。
    「寝ぼけてました」
    そう、テメノスが告げる。取り繕うかのように変わる表情を見たくなくて、掴まれたままの手を引き寄せて、強く抱きしめる。
    「……っ……」
    なにか言おうとしたその口をそのまま、唇で塞ぐ。逃げられないように強い力で。でも、テメノスは逃げようとしなかった。動こうともしなかった。瞬きすらしなかった。
    いっそ泣いてくれたほうがましだった。
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    ことじか

    DONE以前リクエスト募集したときに『喧嘩するヒカテメ(真剣に怒っているヒカリくん)』というのを頂きまして、ものすごい時間かかったうえにリクとかなりずれているヒカテメ話になりました。
    なんか、色々とめちゃくちゃで思ったような話になりませんでしたが怒っているヒカリくん書けて満足です。(途中のヒカリの一人称が違うのはワザとです。)
    喧嘩するヒカテメ鼻につく酒の香り、そこかしこから漂ってくる香水の匂い。纏わりつくような、むせ返るその香りに酔いそうで。あぁ、気分が悪い。
    「あぁ、貴方にこんなところにお越しいただけるなんて…いや、名前を呼ぶのはよそう。さぁ、こちらへ」
    「えぇ……。閣下」
    内密に、と密やかに囁やきながら人差し指を唇の前に立てる。
    画面に隠した涼やかな目線を細めてテメノスは心の中で舌打ちをする。
    “異端”を探るためにどうしても必要な情報であった。表向きは慈善事業に熱心な信徒…。しかし裏の顔は人身売買を行っているというとんでもない悪党である。孤児を保護する名目で、行き場のない子どもたちを集め、その子達を商品のように売り捌く…。そしてこの男にはもう一つ趣味があった。男女問わず子ども好きで、それと同じくらい聖職者も好きという。……性的な意味でだ。全く理解できない。
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    たなかんぼ

    DONE仲間に祝福される、付き合って数年目のクリテメ
    AIUE.かなしい、つらい、くるしい。くらくてつめたい。だれもいない。だきしめてほしい。
    ……あいしてほしい。





    孤児時代、来る日も来る日も飢えと戦っていた。その名残か現在まで食は細いまま。汁菜を好み、口をつける。ひとくちは小さく、消化の速度も遅い。仲間内では比較的ゆっくりと食事を摂るほうだった。最年長のオズバルドと並び、互いにぽつりぽつりと本の内容を確認したり、時には無言で終えたりもする。

    旧友を失って、恩人を失った。その事がより一層食欲の減退に拍車をかけていたのだが、キャスティやオーシュットがやれ健康だの干し肉だのと構うものだから、観念してゆっくりながら量を摂ることに専念していた。
    皆、心配してくれているのだ。その心に報いたい。だが困ったことに胃袋はスープ一杯で満腹を訴える。我ながらほんとうに小さくて辟易するが、こうなるともうひとくちも食べたいとは思えない。口に物を運ぶのが億劫になり、喉奥からははっきりとした拒絶が聞こえる。はあぁ、と深いため息をついて器に盛られた薄切りの肉を持ち上げては置くことを繰り返している。行儀もよくないので、今日のところはギブアップを宣言しようとした時だった。
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