ことじか
DONE先日投稿した鈍感なテメのヒカテメ話https://poipiku.com/2175077/9977940.htmlこれの別視点。キスシーンだけ書きたかったのですが思ったより長くなった。
「落ちて、くれたか?」(ヒカテメ)「大丈夫。ヒカリは魅力的だと思いますよ。同性の私から見ても、ね」
想い人はそうにこりと笑った。
ころころと変わる表情で笑いを交えながらも、目を細める。その表情ひとつひとつを見ているだけで胸がいっぱいになり、苦しく思う。
そんな慈しむような、愛らしい表情で思い浮かべて考えているのは俺のこと。いくつもいくつも、俺の良いところをあげてくれてる。それなのに、なぜ。
この想いは通じていないのか。
誰にでも優しいと? 誰にでもこんな言葉を贈ると? 自分だって人間だ。清廉潔白な人間でありたいとは思う。
だが、それでも優しくしたいと思うのも、心からの言葉を贈るのも、それが他の誰でもないテメノスだから、なのに。
それなのに……。
902想い人はそうにこりと笑った。
ころころと変わる表情で笑いを交えながらも、目を細める。その表情ひとつひとつを見ているだけで胸がいっぱいになり、苦しく思う。
そんな慈しむような、愛らしい表情で思い浮かべて考えているのは俺のこと。いくつもいくつも、俺の良いところをあげてくれてる。それなのに、なぜ。
この想いは通じていないのか。
誰にでも優しいと? 誰にでもこんな言葉を贈ると? 自分だって人間だ。清廉潔白な人間でありたいとは思う。
だが、それでも優しくしたいと思うのも、心からの言葉を贈るのも、それが他の誰でもないテメノスだから、なのに。
それなのに……。
ことじか
DONE鈍感なテメのヒカテメ話。思ったより長くなったのと散々迷ってオチが迷子になってしまいました。恋愛相談(ヒカテメ)「好いた相手を振り向いてもらえない?」
相談があると、いつにも増して真剣な表情のヒカリが持ちかけてきたのは恋愛相談であった。
私に恋愛相談とは人選を間違えている気がしないでもないですが、これでも神官の端くれですし、人生の先輩として悩みぐらいは聞きましょう。
酒場の席で向かい合って座る。周りは銘々酔った客だらけで喧騒が心地よい。
少しばかり他人に聞いてほしくないお喋りをするにはちょうど良い場所だろう。
この席には酒は相応しくないと、珈琲を頼む。ここの主人が淹れる珈琲は、酒場であるにも関わらず絶品なのである。
「えぇ、と、それで……?」
ヒカリの話を聞き出してみる。
いわく、彼には好いた相手がいると言うがその相手はまったくヒカリのことが眼中にないのだと言う。自分は魅力がないのだろうかとヒカリは悩んでいた。
3822相談があると、いつにも増して真剣な表情のヒカリが持ちかけてきたのは恋愛相談であった。
私に恋愛相談とは人選を間違えている気がしないでもないですが、これでも神官の端くれですし、人生の先輩として悩みぐらいは聞きましょう。
酒場の席で向かい合って座る。周りは銘々酔った客だらけで喧騒が心地よい。
少しばかり他人に聞いてほしくないお喋りをするにはちょうど良い場所だろう。
この席には酒は相応しくないと、珈琲を頼む。ここの主人が淹れる珈琲は、酒場であるにも関わらず絶品なのである。
「えぇ、と、それで……?」
ヒカリの話を聞き出してみる。
いわく、彼には好いた相手がいると言うがその相手はまったくヒカリのことが眼中にないのだと言う。自分は魅力がないのだろうかとヒカリは悩んでいた。
ことじか
DONE現パロのヒカテメバレンタインのお話。遅刻したけど!
あげない、とは言ってませんよ(ヒカテメ)ただいま、と玄関から声がしてしばらくしてリビングの扉が開く。
「おかえりなさい」
「ただいま、テメノス」
まだ寒さが残る2月。鼻のてっぺんを赤くしたヒカリがコートとマフラーをいそいそと外す。
ただいま、おかえりと言い合ってはいるが一緒に住んでいるわけではない。
私の住むマンションに大学が終わってからだったり、バイトの後にヒカリがやってくる。
大学とヒカリの一人暮らしのマンションとちょうど中間地点に我が家があるせいだが、どうしても出席しなければいけない講義が朝早くにあるから起こして欲しいだとか、講義の後にバイトへ行くには家に帰ってからでは間に合わないだとか(ヒカリは地域の剣道教室で先生をしている)そんなお願いを聞くのに泊まらせてあげて、時にはお礼だとか言ってヒカリが私の帰りを待ってご飯を作ってくれたりして。
2186「おかえりなさい」
「ただいま、テメノス」
まだ寒さが残る2月。鼻のてっぺんを赤くしたヒカリがコートとマフラーをいそいそと外す。
ただいま、おかえりと言い合ってはいるが一緒に住んでいるわけではない。
私の住むマンションに大学が終わってからだったり、バイトの後にヒカリがやってくる。
大学とヒカリの一人暮らしのマンションとちょうど中間地点に我が家があるせいだが、どうしても出席しなければいけない講義が朝早くにあるから起こして欲しいだとか、講義の後にバイトへ行くには家に帰ってからでは間に合わないだとか(ヒカリは地域の剣道教室で先生をしている)そんなお願いを聞くのに泊まらせてあげて、時にはお礼だとか言ってヒカリが私の帰りを待ってご飯を作ってくれたりして。
ことじか
CAN’T MAKEヒカリが龍神様なヒカテメ。あんまり深く考えずに読んでください。
ヒカテメ龍神パロ霧深い山奥のそのまた奥深い神のおわす山。私はそこに住まう龍神様に幼い頃からお世話係としてお仕えしていた。
成長し、大人となった私は色々あり、いまは龍神様に嫁入りし、神の伴侶としてこの社に龍神様、ヒカリとともに暮らしていた。
艶々の黒い長い髪を櫛で丁寧に梳かしていく。ヒカリの髪を梳かすのは、幼い頃からの私の仕事である。
「ヒカリ様…、じゃなくてヒカリ」
じっとしてください。髪が梳かせないでしょう、とこちらをちらちら見やる龍神をやんわり咎めると「まだ慣れぬのか」と彼は小さく呟く。
ヒカリ、というのは龍神様の名前である。
神様を呼び捨てするのは私はどうかと思うのだが、名を知る人間は伴侶である私ぐらいしかいないらしく誰も呼ばないのだからそう呼んでほしいと彼が言うのだ。
1423成長し、大人となった私は色々あり、いまは龍神様に嫁入りし、神の伴侶としてこの社に龍神様、ヒカリとともに暮らしていた。
艶々の黒い長い髪を櫛で丁寧に梳かしていく。ヒカリの髪を梳かすのは、幼い頃からの私の仕事である。
「ヒカリ様…、じゃなくてヒカリ」
じっとしてください。髪が梳かせないでしょう、とこちらをちらちら見やる龍神をやんわり咎めると「まだ慣れぬのか」と彼は小さく呟く。
ヒカリ、というのは龍神様の名前である。
神様を呼び捨てするのは私はどうかと思うのだが、名を知る人間は伴侶である私ぐらいしかいないらしく誰も呼ばないのだからそう呼んでほしいと彼が言うのだ。
ことじか
DONEいちゃつくヒカテメぴかぴかのすべすべ(ヒカテメ)湯浴みを終え、寝室へと戻れば寝台に、白い寝巻き姿のテメノスが待っていた。手にしていた本をぱたんと閉じた。
「お疲れ様です」
「すまぬ、待たせただろうか」
「いいえ」
テメノスの風呂上がりなのだろう。頬に赤みがさし、仄かな色香を醸し出していた。
同じ寝台のテメノスの隣へとヒカリが腰を下ろすと良い香りがした。
すん、とヒカリは鼻先をテメノスの首筋へと近づける。
「気が付きましたか?」
新しい香油です、とテメノスが得意げに笑う。
「あなたが好きそうな香りだと思って…」
行商人がやってきたので、気に入ったものをいくつか購入したのだという。
「そうか…良い香りだ。そなたにもよく合っている」
「ふふ、今なら髪も肌もつやつやのぴかぴかですよ」
1688「お疲れ様です」
「すまぬ、待たせただろうか」
「いいえ」
テメノスの風呂上がりなのだろう。頬に赤みがさし、仄かな色香を醸し出していた。
同じ寝台のテメノスの隣へとヒカリが腰を下ろすと良い香りがした。
すん、とヒカリは鼻先をテメノスの首筋へと近づける。
「気が付きましたか?」
新しい香油です、とテメノスが得意げに笑う。
「あなたが好きそうな香りだと思って…」
行商人がやってきたので、気に入ったものをいくつか購入したのだという。
「そうか…良い香りだ。そなたにもよく合っている」
「ふふ、今なら髪も肌もつやつやのぴかぴかですよ」
ことじか
DONEピロートーク。一応全年齢。終始、布団の中でいちゃついているヒカテメ。夜が明けるまで(ヒカテメ)ひんやり、と。剥き出しになった肌に、冷たい空気が纏わりつく。瞼を緩慢に開けると静謐な空間が広がる。夜半はとうに過ぎ去り、かといって朝というには早すぎる。夜明けはまだ遠い。
ク国といえど、夜は冷える。寝返りをうった拍子にずれてしまった毛布を掛けなおしてやれば、隣に眠る男が目を開く。
「起こしてしまいましたか?」
「……ん、いや…。眠れぬのか?」
「目が覚めちゃいまして…」
冷えたか? とこちらを慮り、ヒカリがテメノスの体を抱き寄せた。身体を重ね、肌を合わせた後の夜。あれほど互いに熱を分け合い、高め合った後のせいか、なんとなく寒く感じられた。
「あなたは、温かいですね」
私より、温かいですとテメノスが掌を合わせる。テメノスの指先は冷たく、裸足の足をヒカリに絡めてやる。
2728ク国といえど、夜は冷える。寝返りをうった拍子にずれてしまった毛布を掛けなおしてやれば、隣に眠る男が目を開く。
「起こしてしまいましたか?」
「……ん、いや…。眠れぬのか?」
「目が覚めちゃいまして…」
冷えたか? とこちらを慮り、ヒカリがテメノスの体を抱き寄せた。身体を重ね、肌を合わせた後の夜。あれほど互いに熱を分け合い、高め合った後のせいか、なんとなく寒く感じられた。
「あなたは、温かいですね」
私より、温かいですとテメノスが掌を合わせる。テメノスの指先は冷たく、裸足の足をヒカリに絡めてやる。
ことじか
DONE以前リクエスト募集したときに『喧嘩するヒカテメ(真剣に怒っているヒカリくん)』というのを頂きまして、ものすごい時間かかったうえにリクとかなりずれているヒカテメ話になりました。なんか、色々とめちゃくちゃで思ったような話になりませんでしたが怒っているヒカリくん書けて満足です。(途中のヒカリの一人称が違うのはワザとです。)
喧嘩するヒカテメ鼻につく酒の香り、そこかしこから漂ってくる香水の匂い。纏わりつくような、むせ返るその香りに酔いそうで。あぁ、気分が悪い。
「あぁ、貴方にこんなところにお越しいただけるなんて…いや、名前を呼ぶのはよそう。さぁ、こちらへ」
「えぇ……。閣下」
内密に、と密やかに囁やきながら人差し指を唇の前に立てる。
画面に隠した涼やかな目線を細めてテメノスは心の中で舌打ちをする。
“異端”を探るためにどうしても必要な情報であった。表向きは慈善事業に熱心な信徒…。しかし裏の顔は人身売買を行っているというとんでもない悪党である。孤児を保護する名目で、行き場のない子どもたちを集め、その子達を商品のように売り捌く…。そしてこの男にはもう一つ趣味があった。男女問わず子ども好きで、それと同じくらい聖職者も好きという。……性的な意味でだ。全く理解できない。
5563「あぁ、貴方にこんなところにお越しいただけるなんて…いや、名前を呼ぶのはよそう。さぁ、こちらへ」
「えぇ……。閣下」
内密に、と密やかに囁やきながら人差し指を唇の前に立てる。
画面に隠した涼やかな目線を細めてテメノスは心の中で舌打ちをする。
“異端”を探るためにどうしても必要な情報であった。表向きは慈善事業に熱心な信徒…。しかし裏の顔は人身売買を行っているというとんでもない悪党である。孤児を保護する名目で、行き場のない子どもたちを集め、その子達を商品のように売り捌く…。そしてこの男にはもう一つ趣味があった。男女問わず子ども好きで、それと同じくらい聖職者も好きという。……性的な意味でだ。全く理解できない。
ことじか
DONE摩訶不思議の舞で幼くなったヒカリのヒカテメのお話。前にちょっと呟いてたネタからの派生です。書きたいことだけ書き散らかしてます。俺の許嫁殿(ヒカテメ)目が覚めた時、あたりは煙に包まれていた。
「大丈夫ですか?」
知らない人の声がする。目の前にいる人だろうか?伸ばされた手が見える。顔を上げると心配そうにこちらを見下ろす人がいた。
白くて、美しい人だ。緑色の布に包まれた服を身に纏っている。ク国では見たこともない服装だ。月明かりのような銀色の髪が揺れる。丸くて大きな、美しい翡翠色の眼がこちらを見下ろす。吸い込まれてしまいそうだ。
「…美しい」
「へっ」
伸ばされた手を握りしめ、真っすぐに見つめる。
「そなたの名は…?」
「テメノス、と言いますが…」
「そうか。テメノス……良い名だな」
「……はぁ、それはどうも」
「俺と夫婦にならぬか?」
胸が、鼓動が高まる。身体に、熱が帯びる。生まれて初めてのことだ。初めて、目の前の人を欲しい、と。一目惚れというものを経験した。
6861「大丈夫ですか?」
知らない人の声がする。目の前にいる人だろうか?伸ばされた手が見える。顔を上げると心配そうにこちらを見下ろす人がいた。
白くて、美しい人だ。緑色の布に包まれた服を身に纏っている。ク国では見たこともない服装だ。月明かりのような銀色の髪が揺れる。丸くて大きな、美しい翡翠色の眼がこちらを見下ろす。吸い込まれてしまいそうだ。
「…美しい」
「へっ」
伸ばされた手を握りしめ、真っすぐに見つめる。
「そなたの名は…?」
「テメノス、と言いますが…」
「そうか。テメノス……良い名だな」
「……はぁ、それはどうも」
「俺と夫婦にならぬか?」
胸が、鼓動が高まる。身体に、熱が帯びる。生まれて初めてのことだ。初めて、目の前の人を欲しい、と。一目惚れというものを経験した。
ことじか
DONEヒカテメ。「キスするから目を瞑って、とテメノスに言われたヒカリ。その通りにしてやったのに、なかなか口付けてこずに頬をつねったり顎を撫でたりして遊ぶテメノスに痺れを切らして、唇をつついてくる指に軽く噛みついて催促した。」というお題
「キスするから目を瞑ってください」「キスするから目を瞑ってください」
テメノスが普段よりニ割、いや惚れた欲目もあるかもしれないが三割は増した笑顔を見せながらそう言ってきた。
テメノスからそのような積極的な物言いは珍しいな、と思ったのが顔に出ていたのか「たまにはよいでしょ。ね?」と。
素直に目を閉じる。視界は遮断されたがテメノスの気配は感じる。
ふに。
頬に触れられる。唇か、とも思ったがこれは指だ。触れられたかと思ったらそのまま頬を抓られる。柔い力なので痛くはない。
「テメノス?」
「まだ目を開けちゃだめですよ?」
耳元でそっと囁かれる。するり、と顎のあたりに擽ったい感覚。こしょこしょと、まるで猫の顎下を撫でるかのような光景が思い浮かぶ。
なるほど。普段より笑顔だと思ったがこういった悪戯が目的であったか。
1265テメノスが普段よりニ割、いや惚れた欲目もあるかもしれないが三割は増した笑顔を見せながらそう言ってきた。
テメノスからそのような積極的な物言いは珍しいな、と思ったのが顔に出ていたのか「たまにはよいでしょ。ね?」と。
素直に目を閉じる。視界は遮断されたがテメノスの気配は感じる。
ふに。
頬に触れられる。唇か、とも思ったがこれは指だ。触れられたかと思ったらそのまま頬を抓られる。柔い力なので痛くはない。
「テメノス?」
「まだ目を開けちゃだめですよ?」
耳元でそっと囁かれる。するり、と顎のあたりに擽ったい感覚。こしょこしょと、まるで猫の顎下を撫でるかのような光景が思い浮かぶ。
なるほど。普段より笑顔だと思ったがこういった悪戯が目的であったか。
ことじか
DONEヒカリク、感情が昂ったり怒ったときにジブリキャラみたく、髪の毛ぶわって逆立つんじゃないかな〜って思って書いたネタ。こういうのを文字で表すのって難しいですね。怒り(ヒカテメ)「テメノスっ!」
彼の人が倒れ伏したその光景を目にしたとき、自身の目の前が真っ赤になった気がする。
頭のてっぺんから爪の先まで、身体全身を熱が駆け巡る。髪の毛がぶわりと逆立つ。
血液が沸騰したかと思うほど、熱い。
腹の底から湧き上がる、これが怒りなのかとヒカリは理解した。
「……許さん。覚悟しろ」
剣を素早く抜き、ぎりりとを力強く握りしめる。自身の拳に爪が食い込んで、血が滲んだのが分かる。
いや、こんなもの。テメノスに比べればなんてことはない。
法衣を包む白いマントは大きく切り裂かれ赤く染まっていた。
倒れたテメノスを取り囲む賊は数名、全て男だ。
先程、テメノスに助けられたという子供と出会った。白い神官様に救われたのだと。
1329彼の人が倒れ伏したその光景を目にしたとき、自身の目の前が真っ赤になった気がする。
頭のてっぺんから爪の先まで、身体全身を熱が駆け巡る。髪の毛がぶわりと逆立つ。
血液が沸騰したかと思うほど、熱い。
腹の底から湧き上がる、これが怒りなのかとヒカリは理解した。
「……許さん。覚悟しろ」
剣を素早く抜き、ぎりりとを力強く握りしめる。自身の拳に爪が食い込んで、血が滲んだのが分かる。
いや、こんなもの。テメノスに比べればなんてことはない。
法衣を包む白いマントは大きく切り裂かれ赤く染まっていた。
倒れたテメノスを取り囲む賊は数名、全て男だ。
先程、テメノスに助けられたという子供と出会った。白い神官様に救われたのだと。
ことじか
DONE「ヒカリに今日は何をしても許すと言ってみたら、顔や身体を何度も白濁で汚されたテメノス。こんな願望があったのかと呆れつつもひどく興奮してしまった。」というお題より。ヒカリ目線。短い。思いっきり事後。王子だってむっつりかもしれない!「たくさん出しましたね」(ヒカテメ)「ん」
テメノスが緩慢な動作で身体を起こす。服はすべて脱ぎ捨てられ、生まれたままの姿の彼の白い素肌は外気に晒されている。
「たくさん、出ましたねぇ」
身体を見下ろしながら、テメノスがそうつぶやく。掠れた声で少し語尾が伸びていて、呆れも滲んでいる。
「すまない」
「いいえ。…許す、と言ったのは私ですし……」
テメノスの自分よりも白い肌は、情事の名残を残してほんのり赤らんでいる。そして、その美しい人は今は白濁で汚されている。汚したのは、紛れもない自分である。
『今日は何をしても許します、好きにしてもよいですよ』
テメノスの発した言葉、情事の前の睦言はあまりにも甘美な誘惑であった。事が始まって、茹った頭でふと浮かんだのはテメノスを汚してみたい、という自分の歪んだ欲であった。
1204テメノスが緩慢な動作で身体を起こす。服はすべて脱ぎ捨てられ、生まれたままの姿の彼の白い素肌は外気に晒されている。
「たくさん、出ましたねぇ」
身体を見下ろしながら、テメノスがそうつぶやく。掠れた声で少し語尾が伸びていて、呆れも滲んでいる。
「すまない」
「いいえ。…許す、と言ったのは私ですし……」
テメノスの自分よりも白い肌は、情事の名残を残してほんのり赤らんでいる。そして、その美しい人は今は白濁で汚されている。汚したのは、紛れもない自分である。
『今日は何をしても許します、好きにしてもよいですよ』
テメノスの発した言葉、情事の前の睦言はあまりにも甘美な誘惑であった。事が始まって、茹った頭でふと浮かんだのはテメノスを汚してみたい、という自分の歪んだ欲であった。
ことじか
DONEお題ガチャより。『テメノスとの行為を思い返して己を慰めているとヒカリに聞かされてから、最中にふと「今日のことも使われるのかも」と考えるようになったテメノスだが、それで気が散るなんてことはなく、むしろ一層酔っている。』というのでヒカテメで書きました。ほんのりえっち 1438ことじか
DONEヒカテメ、初夜直後のお話。初めての夜のあと(ヒカテメ)「テメノス」
包まった布団の中からでは外の声がぼんやりとしか聞こえない。
「テメノス、大丈夫か?」
いま私は布団に包まって、そこに立てこもっている。外からはヒカリが私を気遣って優しく声をかけてくる。
昨夜ヒカリと恋仲になって、初めて身体を重ねた。
恥ずかしながらこの年になるまで、そういった経験はなく、性欲というものも比べたことはないが他者よりはきっと薄いだろうという自覚はあった。
そんな自分が男同士、そして相手を受け入れる立場というものになったのだ。
正直なところ経験はなく、ヒカリを満足させられるかすら不安であった。彼は王子だ。きっと引く手数多だったろうし、そういった経験も聞いてはいないがあったかもしれない。30も過ぎて、柔い体も豊かな膨らみもなく、硬いばかりの面白みのない男の身体では準備とやらも大変で面倒ばかりだったろう。
2159包まった布団の中からでは外の声がぼんやりとしか聞こえない。
「テメノス、大丈夫か?」
いま私は布団に包まって、そこに立てこもっている。外からはヒカリが私を気遣って優しく声をかけてくる。
昨夜ヒカリと恋仲になって、初めて身体を重ねた。
恥ずかしながらこの年になるまで、そういった経験はなく、性欲というものも比べたことはないが他者よりはきっと薄いだろうという自覚はあった。
そんな自分が男同士、そして相手を受け入れる立場というものになったのだ。
正直なところ経験はなく、ヒカリを満足させられるかすら不安であった。彼は王子だ。きっと引く手数多だったろうし、そういった経験も聞いてはいないがあったかもしれない。30も過ぎて、柔い体も豊かな膨らみもなく、硬いばかりの面白みのない男の身体では準備とやらも大変で面倒ばかりだったろう。
ことじか
DONE血色の悪さを隠すために化粧するのっていいなって思って。たぶんふたりともいっぱいいっぱいの頃。口紅(ヒカテメ)コンコンとノックの音がする。どうぞ、と声をかければ扉がガチャリと開き、ヒカリが顔を出す。
「テメノス、少しいいか?…っ、すまない。まだ身支度中だったか」
「ヒカリ、おはようございます。構いませんよ。もうすぐ終わりますので」
鏡の前に立つテメノスが服を整えながらヒカリに挨拶をする。
「もう少しだけ準備が必要なので待っていて頂けますか?」
鏡台の前に座りなおしたテメノスが、懐からなにかを取り出す。それは黒い丸いものだった。掌に乗るぐらいの大きさで、不思議そうに見つめるヒカリに気付いてかテメノスが「紅ですよ」と蓋を開けて中身を見せる。中から赤い色が見える。
「ソローネくんに借りたのです」
指先で紅を取り、唇に乗せていく。テメノスの色のない唇が色づいていく。
786「テメノス、少しいいか?…っ、すまない。まだ身支度中だったか」
「ヒカリ、おはようございます。構いませんよ。もうすぐ終わりますので」
鏡の前に立つテメノスが服を整えながらヒカリに挨拶をする。
「もう少しだけ準備が必要なので待っていて頂けますか?」
鏡台の前に座りなおしたテメノスが、懐からなにかを取り出す。それは黒い丸いものだった。掌に乗るぐらいの大きさで、不思議そうに見つめるヒカリに気付いてかテメノスが「紅ですよ」と蓋を開けて中身を見せる。中から赤い色が見える。
「ソローネくんに借りたのです」
指先で紅を取り、唇に乗せていく。テメノスの色のない唇が色づいていく。
ことじか
DONE文字書きワードパレットより文字書き練習。馬に乗ってでぇとするヒカテメのふたり。8.フィエスタ 振り向く 緑 休息
遠乗り(ヒカテメ) 木々から零れてくる木漏れ日が爽やかな森の中をゆっくりと歩いていく。
普段より高い視線も、揺れるこの場所も落ち着かず不可思議な感覚だ。生き物に乗る、というのは考えてみるとあまり経験したことはなかったかもしれない。
「テメノス、大丈夫か」
「そうですね、思ったよりも緊張しますね」
「そう固くなるな。こやつはそなたを振り落としたりはしない」
ヒカリに遠乗りに誘われて、今は森の中を馬に乗って歩いている。森林浴、といったところか。なかなか贅沢な休息の取り方だ。
馬にひとりでは乗れないし、乗った経験もなかったので馬に跨るテメノスの後ろにぴったりとヒカリがいて、手綱を操る。
「テメノスは馬に乗るのは初めてか?」
「えぇ。巡行の旅は大体徒歩か乗り合いの馬車に乗ることが多いので。今まで機会はありませんでしたね」
1362普段より高い視線も、揺れるこの場所も落ち着かず不可思議な感覚だ。生き物に乗る、というのは考えてみるとあまり経験したことはなかったかもしれない。
「テメノス、大丈夫か」
「そうですね、思ったよりも緊張しますね」
「そう固くなるな。こやつはそなたを振り落としたりはしない」
ヒカリに遠乗りに誘われて、今は森の中を馬に乗って歩いている。森林浴、といったところか。なかなか贅沢な休息の取り方だ。
馬にひとりでは乗れないし、乗った経験もなかったので馬に跨るテメノスの後ろにぴったりとヒカリがいて、手綱を操る。
「テメノスは馬に乗るのは初めてか?」
「えぇ。巡行の旅は大体徒歩か乗り合いの馬車に乗ることが多いので。今まで機会はありませんでしたね」
ことじか
DONE唇についた赤がキスによって相手に移るシチュが好きです。陰っぽいけど、陰はヒカの一部なので。気が昂ったヒカが陰と混ざってる、みたいな解釈。紅(ヒカテメ)森の中で魔物の群に襲われて仲間たちと分断された。
襲い掛かる魔物にテメノスは素早く詠唱し、あたり一面に光が満ちて魔物が霧散していく。
「終わりましたね」
ふぅ、とひとつ息を吐いてテメノスは傍の木にもたれかかる。
思ったよりも深追いしていたようであたりに他の仲間たちの姿はない。まだ戦闘をしているようなら加勢に向かうほうがよいだろう。
元来た道を戻ろうとテメノスが、歩き出そうとしたところで暗い森の向こうから音がする。テメノスは、じっと耳をそばだてる。魔物の気配ではない。足音……人のものだ。鉄臭い、いや、これは血の匂いだ。人数はひとりだろう。
「ヒカリ」
テメノスが様子を伺っていると、茂みの向こうから現れたのは見知った姿であった。ヒカリは血でしとどとなった剣を鞘には納めずにそのまま持ち、歩いた後には赤黒い雫がぽたぽた落ちている。
1331襲い掛かる魔物にテメノスは素早く詠唱し、あたり一面に光が満ちて魔物が霧散していく。
「終わりましたね」
ふぅ、とひとつ息を吐いてテメノスは傍の木にもたれかかる。
思ったよりも深追いしていたようであたりに他の仲間たちの姿はない。まだ戦闘をしているようなら加勢に向かうほうがよいだろう。
元来た道を戻ろうとテメノスが、歩き出そうとしたところで暗い森の向こうから音がする。テメノスは、じっと耳をそばだてる。魔物の気配ではない。足音……人のものだ。鉄臭い、いや、これは血の匂いだ。人数はひとりだろう。
「ヒカリ」
テメノスが様子を伺っていると、茂みの向こうから現れたのは見知った姿であった。ヒカリは血でしとどとなった剣を鞘には納めずにそのまま持ち、歩いた後には赤黒い雫がぽたぽた落ちている。
ことじか
CAN’T MAKE口移しってロマンがありますよね。あんまり上手くかけなかったのでまたリベンジしたい。ヒカテメ腹を抉った魔物の爪は、鋭いものだったが回復魔法はなんとか間に合い傷は塞がった。しかし、傷と魔物の毒が原因による熱はテメノスを容赦なく襲った。
横たわらせた寝台でテメノスは真っ赤な顔をして魘されていた。
「あ……ぅ…う…はっ……」
焦点が合わない。息も苦しげで、震えている。なのに、ひどく熱い。
「テメノス、しっかりしろ」
ヒカリは、テメノスの半身を起こして、汗ばんだ身体を支えてやる。杯にあるのはキャスティが調合した薬である。それをテメノスの口元に持っていき、ゆっくりと傾ける。
「……っ……ぁッ…」
うまく飲み込めず、テメノスの口の端から液体がだらだらと零れ落ちていく。
返事がないと分かりつつもヒカリはテメノスに呼びかける。
1036横たわらせた寝台でテメノスは真っ赤な顔をして魘されていた。
「あ……ぅ…う…はっ……」
焦点が合わない。息も苦しげで、震えている。なのに、ひどく熱い。
「テメノス、しっかりしろ」
ヒカリは、テメノスの半身を起こして、汗ばんだ身体を支えてやる。杯にあるのはキャスティが調合した薬である。それをテメノスの口元に持っていき、ゆっくりと傾ける。
「……っ……ぁッ…」
うまく飲み込めず、テメノスの口の端から液体がだらだらと零れ落ちていく。
返事がないと分かりつつもヒカリはテメノスに呼びかける。
ことじか
DONE眠っているテメノスを見て触れたくなるヒカリ。ヒカリはテメノスが眠っていたらその隙にこっそりキスをするのではなく、起こしてからわざわざしそうだなって考えていたネタを書いてみました。
が、思ったより方向性が変わりました。(本当はもっとギャグっぽいオチになる予定だった)
触れてみたい(ヒカテメ)食事の時間だから、テメノスを呼んできてくれとキャスティに頼まれる。テメノスの泊まる宿の一室の扉の前に立つ。
「テメノス?」
扉を何度か叩いても返事はない。
「失礼する」
そっと扉を開くと、鍵は閉まってはいなかった。部屋の中を覗くと、窓辺の椅子にテメノスが座っていた。部屋に足を踏み入れるとすぅすぅと、規則正しい寝息が聞こえてくる。
手元には開きっぱなしの本と書きかけの書物。恐らくなにかの作業中に寝落ちてしまったのだろう。そっと、その手の中の本に栞を挟んでぱたんと閉じる。
テメノスは眠っていた。ヒカリが近づいても彼は起きる気配はなかった。
テメノスは人の気配に聡い。
警戒心が強いからなのか元来の質なのか分からないが人が近づけばどんなに眠っていても彼はすぐさま瞳を開けて行動に移すぐらいの人間であったのに。野営の見張りのときなんか交代の頃に近づけば「おや、もうそんな時間ですか」とこちらが声をかける前に起きていたのに。
3196「テメノス?」
扉を何度か叩いても返事はない。
「失礼する」
そっと扉を開くと、鍵は閉まってはいなかった。部屋の中を覗くと、窓辺の椅子にテメノスが座っていた。部屋に足を踏み入れるとすぅすぅと、規則正しい寝息が聞こえてくる。
手元には開きっぱなしの本と書きかけの書物。恐らくなにかの作業中に寝落ちてしまったのだろう。そっと、その手の中の本に栞を挟んでぱたんと閉じる。
テメノスは眠っていた。ヒカリが近づいても彼は起きる気配はなかった。
テメノスは人の気配に聡い。
警戒心が強いからなのか元来の質なのか分からないが人が近づけばどんなに眠っていても彼はすぐさま瞳を開けて行動に移すぐらいの人間であったのに。野営の見張りのときなんか交代の頃に近づけば「おや、もうそんな時間ですか」とこちらが声をかける前に起きていたのに。
ことじか
DONEヒカテメでほんのりえっちなお話。声を押さえるのに肩を噛ませるのいいなって思って。噛む(ヒカテメ)雪崩れ込むように宿屋の一室へと入る。ガチャ、と部屋のドアの鍵がかかる。
「……っ……はっ……」
こんな時まで律儀な男の行動になぜだか笑ってしまいそうになる。
戦闘後、興奮して昂ったままになることもままあるという。そんなことを聞いたことがあったなと唇を喰らわれるような勢いの口づけを受け止めながらぼんやりとテメノスは思った。
壁に身体を押し付けられ、逃げ場はない。逃げる気も特になかったが。
「…っ、テメノス」
荒い息のまま、貪るような接吻の合間にヒカリが名を呼ぶ。黒々とした瞳の奥には熱が爛々と燃え盛る。
ヒカリは昂っているのだろう。テメノスはそういった質ではなかった。寧ろ淡白な方であったと思う。それでも、ヒカリと付き合い、肌を重ねるようになってそういう風に作り替えられてしまった。
2037「……っ……はっ……」
こんな時まで律儀な男の行動になぜだか笑ってしまいそうになる。
戦闘後、興奮して昂ったままになることもままあるという。そんなことを聞いたことがあったなと唇を喰らわれるような勢いの口づけを受け止めながらぼんやりとテメノスは思った。
壁に身体を押し付けられ、逃げ場はない。逃げる気も特になかったが。
「…っ、テメノス」
荒い息のまま、貪るような接吻の合間にヒカリが名を呼ぶ。黒々とした瞳の奥には熱が爛々と燃え盛る。
ヒカリは昂っているのだろう。テメノスはそういった質ではなかった。寧ろ淡白な方であったと思う。それでも、ヒカリと付き合い、肌を重ねるようになってそういう風に作り替えられてしまった。
ことじか
DONEクリテメ前提のヒカテメみたいなの。テメノス3章後前提。クリテメ前提と言ってますがクリとテメが恋人関係だったとか付き合ってたのか好き合ってたのかはみなさんの想像にお任せします。いっそ泣いてくれたほうがましだった。「うっ…ぅ…」
熱に魘されているのか。眠るテメノスが小さく呻き声をあげている。そっと、その肩に触れて大丈夫かと問いかける。
「んっ、」
あまりに細い肩だと。あまりに弱弱しいと。その時、初めてそう思った。
「あぁ、」
ぼんやりと視線がこちらを見やる。テメノスは肩に触れている自分の手をするりと取ってふわりと笑う。
「よかった、クリック君。怖い夢を見たんです。君が死んでしまう夢を……でも、夢だった」
手に指を絡めて、そのまま頬を摺り寄せる。温かい体温でも求めるかのように。
「……生きてる。よかった……」
はっきりとテメノスが目を開けた。その瞬間、翡翠色の瞳が硝子玉のように空虚な色にみるみる変わっていった。迷子の子どもみたいに、いまにも泣き出しそうな顔で。でもテメノスは泣かなかった。声なき悲鳴が聞こえた気がした。
531熱に魘されているのか。眠るテメノスが小さく呻き声をあげている。そっと、その肩に触れて大丈夫かと問いかける。
「んっ、」
あまりに細い肩だと。あまりに弱弱しいと。その時、初めてそう思った。
「あぁ、」
ぼんやりと視線がこちらを見やる。テメノスは肩に触れている自分の手をするりと取ってふわりと笑う。
「よかった、クリック君。怖い夢を見たんです。君が死んでしまう夢を……でも、夢だった」
手に指を絡めて、そのまま頬を摺り寄せる。温かい体温でも求めるかのように。
「……生きてる。よかった……」
はっきりとテメノスが目を開けた。その瞬間、翡翠色の瞳が硝子玉のように空虚な色にみるみる変わっていった。迷子の子どもみたいに、いまにも泣き出しそうな顔で。でもテメノスは泣かなかった。声なき悲鳴が聞こえた気がした。