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    ことじか

    @kotojika
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    ことじか

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    幸せなキスをするクリテメ。イルゼさんのイラストからss書かせて頂きました!ありがとうございます。
    https://twitter.com/Yiluze/status/1639547773337968641?s=20

    #クリテメ
    critémé

    幸福なキス(クリテメ)「貴方に触れてもよいでしょうか?」
    真剣な眼差しで彼が問う。
    先日、彼から想いを告げられた。好きだとそう言われた。一時の迷いだと切り捨てることができぬほど、彼は真剣で。そして私もまた、彼のことを好きになっていた。
    恋人、となったのだろう。恋人とはなにをするのか見当はつかぬが。恋い慕う相手とこうして逢瀬を重ねるだけで私の心はひどく満たされていた。
    夜の教会での逢瀬。月明かりに照らされたステンドグラスの前でクリックに問われる。
    触れる。そうか、触れてもよいのか。手をそっと握りあう。汗ばんだ手。自分とは違う、所々に硬い豆がある剣を握る剣士の手。指先を絡めあって。ふと、目が合う。
    クリックの瞳がテメノスを捕らえる。深い深い海の色のようにも、どこまでも澄んでいる空の色のようにも思える。目の前の彼の青が徐々に熱を帯びていく。その瞳に映る自分も情欲に塗れた顔をしているのが分かる。
    「クリック、くん…」
    「テメノスさん…」
    名前を呼ぶ。名前を呼ばれる。
    どちらからともなく求めて触れ合って、抱き合う。
    クリックの腕が背にまわる。お互い触れ合ったところから鼓動が伝えわる。どちらのものかも分からない鼓動が早鐘をうつ。
    顔が徐々に近づいてくる。吐息が近い。唇と唇が触れる。
    愛しい。
    あぁ、この愛しさが、この思いが、唇から、触れたところからすべて君に伝わればいいのに。
    触れた唇は甘やかで柔らかく、いつまでもこうしていたいぐらい心地が良かった。
    名残惜し気にゆっくりと唇が離れていく。
    「テメノスさん。僕、幸せです」
    キスってこんなにも気持ちの良いものなんですね。抱き合ったまま、彼が照れながらそう言った。
    「えぇ。私も初めて知りました」
    もう一度いいですか? 彼の頬をするりとひと撫でする。答えは聞くまでもないようで、柔らかな唇がまた私へ愛しさを伝えてくれた。
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    DONE仲間に祝福される、付き合って数年目のクリテメ
    AIUE.かなしい、つらい、くるしい。くらくてつめたい。だれもいない。だきしめてほしい。
    ……あいしてほしい。





    孤児時代、来る日も来る日も飢えと戦っていた。その名残か現在まで食は細いまま。汁菜を好み、口をつける。ひとくちは小さく、消化の速度も遅い。仲間内では比較的ゆっくりと食事を摂るほうだった。最年長のオズバルドと並び、互いにぽつりぽつりと本の内容を確認したり、時には無言で終えたりもする。

    旧友を失って、恩人を失った。その事がより一層食欲の減退に拍車をかけていたのだが、キャスティやオーシュットがやれ健康だの干し肉だのと構うものだから、観念してゆっくりながら量を摂ることに専念していた。
    皆、心配してくれているのだ。その心に報いたい。だが困ったことに胃袋はスープ一杯で満腹を訴える。我ながらほんとうに小さくて辟易するが、こうなるともうひとくちも食べたいとは思えない。口に物を運ぶのが億劫になり、喉奥からははっきりとした拒絶が聞こえる。はあぁ、と深いため息をついて器に盛られた薄切りの肉を持ち上げては置くことを繰り返している。行儀もよくないので、今日のところはギブアップを宣言しようとした時だった。
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