Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    はるしき

    倉庫。
    反射的にあげてるので誤字脱字は順次訂正。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 81

    はるしき

    ☆quiet follow

    キスの日(李楽)

    ##李楽

    「楽進はっけーん」
    「おや、李典殿。ご無沙汰しています」
    「おう、ご無沙汰。ようやく楽進に会えたぜ」
    鍛錬からの帰り道、楽進は背後から近づいてきた李典の声に振り返ろうと立ち止まりかけたが、首に回った腕がきつくしまり背に体重をかけられてしまい、身動きがとれなくなった。
    李典とはしばらく顔を合わせていなかったため久方ぶりの交流ではあるが、どうも李典の力が強い。
    「り、李典殿、少し苦しいです……」
    「んー」
    李典の様子に違和感を覚えた楽進がそう訴えると、李典の腕の力が少しだけ緩む。ほんの少しだけ緩まっただけで、そこから抜け出すことは力尽くでも難しそうだった。
    「ん、ぅ」
    李典の唇が楽進の首筋に触れ、ひくりと楽進の身体が震え身をよじる。
    首に巻いた布の隙間に触れられるのが、楽進は苦手だった。それを李典は知っているはずだった。
    「がーくしん。楽進。逃げんなよ」
    まずい、と。危険だと頭が告げる。
    李典のゆったりとした声は確実に楽進を捉え、絡め取っていく。
    その声はまるで楽進を寝台に組み敷いたときのようで。
    「なぁ、お前ら……俺の前だからまだ良いけどよ、惇兄や于禁の奴の前ではそれやんなよ……?」
    あらぬ欲がふつふつと湧き始めてしまった楽進を一気に正気へと戻す呆れた声。楽進はその声の方向へなんとか首を向ける。
    そこには先程まで共に弓の鍛錬にいそしんでいた夏侯淵が、声と同じような呆れた表情を浮かべ立っていた。
    「し、しつれい、しました、夏侯淵殿……!」
    「すんません夏侯淵殿」
    楽進の中では一気に血の気が引いたが、李典はあまり動じた様子を見せないまま軽く謝罪の言葉を口にする。李典は夏侯淵がすぐ傍にいることを理解していたためである。
    「いつもの李典らしくねぇじゃねぇか、どうしたんだ?」
    「疲れてんですよ俺。遠征に戦、終わってようやく帰ってきたってのに調練まで入れられてて、疲れてんです」
    どこかふてくされた子供のような口ぶりでこなしてきた任務の数々を羅列する李典に、夏侯淵は腕を組んだままうんうんと頷く。
    「なるほどなるほど?んで楽進にしがみついてると」
    「そういうことです」
    「何故夏侯淵殿は違和感なくこの事態を受け入れられるのでしょうか……」
    「お前らいつもそんなだろ」
    楽進の素朴な疑問には一笑する夏侯淵は見慣れた光景である楽進と李典の言動に動じることは無い。
    恋仲同士である李典と楽進。恋仲になる前から二人は共に在った。夏侯淵はそれをよく承知しており、特段李典の行動に対し違和感を覚えていなかった。
    「つーことで、楽進返してもらいますんで」
    「おう、二人で気の済むまで過ごせ」
    んじゃ、と手をひらりと振った夏侯淵が遠ざかっていく。
    二人きりになる。つい先程、身の内に湧き上がってきた欲が再び頭を出してしまう。
    まずい、と楽進は焦った。思わず夏侯淵を呼び止めようと口を開いていた。
    「あーちなみに!楽進もお前がいなくて寂しがってたからなー!」
    焦っていた楽進に追い打ちをかけるように、少し離れた場所で立ち止まり大きく声をあげたのは夏侯淵。
    ぶんぶんと手を振って、夏侯淵は再び踵を返し去って行った。
    「……そうなの?楽進」
    夏侯淵が残した言葉に、李典の目が鋭く光る。
    あまりの鋭さに、楽進は少したじろいだ。
    「そ、それは……っ」
    口ごもる楽進がその答えを告げている。
    常に隣にいた李典という存在が、恋仲である李典が。数月もの間遠い地へ戦に出た。楽進の心境は火を見るより明らかであった。
    「まぁいいや、後でゆっくり聞かせてもらうからな」
    楽進の背に寄りかかったまま、李典は再び無防備な首筋に口付けた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖🌋🌋🌋☺☺☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    koyubikitta

    DOODLE貴方は時間があるなら『膝枕をして照れている早野のゆかくら』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/524738

    親知らずが痛い皋のためにうどんを柔らかめに茹でる昏見
    #お題ガチャ #男ふたりの色んなシーン https://odaibako.net/gacha/1739?share=tw
     いつも通り昏見は皋宅に忍び込んだ。
     そしていつも以上にむっすりした表情の皋にどうしたのか、と聞いて、返答が返ってきたとき、昏見は泣きそうになってしまった。
    「おひゃしらつがいはい」
     信じがたい滑舌である。
     あの皋所縁が!
     奥歯に物が挟まったような言い方って実際にあるとこんなにフニャフニャなんですね録音して逆タイムカプセルに詰め込んでイケイケだったころの所縁くんに聞かせてあげたいですきっと泣いて喜びますよ、と返してあげると、皋は不機嫌そうな顔をしたけれど何も言わなかった。
    『おひゃしらつがいはい』
     昏見の最新式・皋翻訳機だからこそ意味が分かる。つまり、
    「親知らずが痛い」
     ということである。
    「うーん、親知らずって懐かしいですね。私も昔は毎日屋根の上に投げてましたよ。痛いって事は変な生え方をしているんじゃないですか? はい、あーん」
    1616