顔がいい。ポッキーゲームがしたいというリオンのお願いを承諾したラスが、リオンはこっち食べてねとチョコがついた方を差し出して。リオンがパクッと食らいつくと、持ち手側にラスが食い付き食べ始めた。
お互いにポリポリと食べ進めていく。しかし、リオンは早くもポッキーゲームをお願いしたことを後悔していた。
いつも口付けする時は目を閉じるし行為で舌を絡ませる時もこんなに至近距離でじっくり見たことが無い。ラスも落ち着いた様子でリオンを見つめている。
大好きなラスの顔がどんどん近付き、ドキドキと心臓が飛び出すほど高鳴り、リオンの顔に熱が集まっていく。自然とポッキーを食べる口が止まる。
そうしている内にラスが最後の一口を噛り、ちゅっと愚痴に軽く口付けた。
「ご馳走さま。君の顔が果実のように赤くなっていくのは最高に可愛いね。」
そんなことを言われたら、もっとしたくなってしまう。
「……もっかい。」
「いいよ。今度は君が食べてね。」
「う……。私がラスの顔が好きなの知ってるくせに。見つめられたら何も出来ない……。」
「じゃあ、俺からは何もしないから。ほら。」
そう言うとポッキーのチョコ側を咥えて、ん、と目を閉じてリオンに持ち手側を向ける。それをパクりと噛って、ポリポリと食べ進めていく。
しかし。このラスの目を閉じた、いわゆるキス待ち顔が綺麗だ。顔がいい。良すぎる。
それでも負けじと、ドキドキしながらもゆっくり食べ進めていき、最後の一口を噛ってちゅ、とラスの唇に軽く口付けた。ラスが目を開けて、ニヤリと笑いながらリオンの腰に腕を回して抱き寄せる。
「…ご馳走さま…。」
「美味しかったかい?」
「それどころじゃなかった。ラスの顔が良すぎる。大好きだ。」
「顔だけ?」
「まさか。声も、瞳も、髪も、手も、身体も、ソウルイーターに魂を盗まれる危険も無いところも、優しいところも、ラスの過去もひっくるめて全部好きだ。」
「俺も、君の声も、朱色の瞳も、青みがかった黒髪も、えっちな身体も、普段の毅然とした冷血な態度も、本当は寂しがりなところも、俺にだけ甘えてくれるところも、俺の不甲斐なさを全て受け止めてくれるところも、全部が好きだ。愛してるよ、リオン。」
「ね、ラス。えっちな身体だから、足りない。もっとちゅう、して?」
「仰せのままに、我が妻。」
どちらともなく口付け絡ませた舌からは、チョコの味がした。
終わり。