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    ヒョウ

    @fu_hail

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    ヒョウ

    SPUR ME9月になんとか…書き終わりたいやつ…の導入
    むかしむかし、カムラを見下ろす大社(おおやしろ)の、更にそれを見下ろす切り立った崖の上に一頭の雷狼竜がいた。左眼の下に大きな傷のある雷狼竜は大きな体に立派な毛並みを靡かせて後脚で傷痕をカシカシと掻いた。以前ハンターと対峙した時につけられた大きな深い傷。辛くもそのハンターを返り討ちにしてくれたものの、何年経ってもそこはズクズクと鈍く痛み、忌々しげに雷狼竜はひと吠えした。返ってきたやまびことともに、そよそよと涼しい風が鼻先を擽る。この雷狼竜の棲家となっている場所はその高さ故に登って来られる者などそうそういない。飛竜の類やガブラスや、稀にケルビが岩壁を蹴って上がってくるくらいだ。
    ふと、ばさ、ばさと大きな翼が風を叩く音がした。上を見やれば雌火竜が口にイズチを咥えて飛んでいる。腹が減った、ちょうど良かったと雷狼竜は雷光虫を呼んで花火のように弾けさせた。視界が一瞬白けて方向感覚を失ってしまった雌火竜が吠えてイズチがぼとりと落ちる。既に絶命していたその体は一度跳ねて無惨な格好で投げ出された。そのまま雌火竜に向かって雷(いかずち)を放つと今度は雌火竜がドスンと地に落ちる。激昂した雌火竜はギャアアと咆哮し、ビリビリと空気が振動して崖の岩が小さくパラパラと崩れた。
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