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    MASAKI_N

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    毒戦BELIEVER⑧

    ##毒戦
    #毒戦BELIEVER
    #ウォノラク
    wonorak.

    nearmiss 結局二人とも昼まで寝ていた。
     ランチと言うにもやや遅い。
     ラクはキッチンをひと通り眺めた後、固くなったパンをフレンチトーストとガーリックトーストにすることにした。
     ウォノはしばらく様子を見ていたが、冷蔵庫を覗いてから、のそりと隣に立った。
    「邪魔でなければ何か手伝う」
    「え」
    「俺が何か作ってもいい」
    「へえ?」
     刑事なんてドリンク剤、ソジュと焼肉か何かだけでできていると思っていた。捜査会議の時も食事はそんな様子だったから、意外だ。
    「学生時代は飲食店でもバイトしてたし、軍で野営もやってるから、一通りはできる」
    「もっとガテン系かと」
    「それもやった。軍人か警察官になるのは決めてたから、若いうちに色々やりたくて――バイクも欲しかった。さすがにカフェなんかには受からなかったが、出前のあるとこと、ホテルのウェイター、バーテンとかな。潜入捜査にも割と役に立った」
    「じゃあ、カクテルも作れるんですね」
    「クラブに潜入してもバレないくらいには」
     冗談に少しは笑ってくれるようになり、嬉しくなる。
     望んで就いた仕事とはいえ、ウォノからこういう生活を奪っていたのはラクたちなのだろうけど。
    「朝と昼はほぼ冷凍食品です。夜は当番制。本気を出すのは夕食当番の時にお願いします。何を作るか宣言するか、リクエストを聞いて答えるかは自由です。作りたくない時は外食でもデリバリーでもいいですけど、当番の奢りになります。ドンヨンは腕のハンデがあるので、兄妹はセットで」
    「わかった。じゃあ今回は指示をくれ」
     テーブルに飲み物や皿を出す指示をしながら、ラクが動く間はフライパンを任せた。
     冷凍のハッシュドポテトを焼き、卵はスクランブルエッグに。インスタントのスープを添える。
     本人にその気さえあれば、育児だってできるだろうにと思ってから、子持ちの恋人と暮らしていたからこそ慣れている可能性が浮上する。
     昨日の口振りだと潜入捜査官より――ヒモに向いている。
     キラキラしたデートには向かないが性的魅力はあり、生活に馴染む男。男女だとそれは結婚に近いようで、最も遠かったのだろうか。
     浮気もしないが自分に対して本気にはならない男に、本気になってしまうのは辛いのか。
     チームでも慕われていたし、面倒見はいいのだろう。ラクの周りにはいなかったタイプだ。
     こちらの食料品事情を話しながら食べ終わったところで、ウォノは車から荷物を取ってくる、と出て行った。
     入れ替わりに、匂いにつられ起きてきた兄妹が躊躇なく、余った分に食い付いた。
     いつもチル・デイ明けは各自で食べたいものを作って食べているが、多めに用意してあるのはイレギュラーだ。
    『ラク、夜セキュリティ付いてなかった?』
    『ごめん、切ったまま忘れてた』
    『夜中に外に出たのか』
    『ウォノが煙草吸うのに付き合ったから』
     家に戻ってそのままウォノに部屋まで運ばれてしまったから、切ったままだった。
    『なるほどね』
    『何かあったろ』
    『……何も無いわけないだろ』
     隠しても意味はない。ウォノに惚れてしまったのはバレている。
    『もっとゆっくり落とすのかと思った』
    『あのおじさん、スケベそうな顔してるもんな』
    「はは」
     スケベそうかはともかく、ウォノは一般的にも色気はある方だろう。二人の感想を聞く限り、ラクがウォノを好きだから特別そう見えるわけではない。
    『あんたには負ける』
    『喰われちまったか』
    『夜中に抜け出して逃げる気かと思ったら、外で煙草を吸うって。このままここにいたらどうなるか訊かれたから、僕はウォノを好きだから嬉しいって言ったら――キスされて、その後、僕から迫った』
     ざっくり説明するだけだと普通の恋愛みたいだが、もっと違う方向にロマンチックだったと思う。
    『ドラマじゃんよ』
    『百想芸術大賞獲得』
    『馬鹿、うるさい』
     冷やかす手振りや音が騒がしい。
     さすがに少し、顔が熱くなる。
    『アジョシ、殺したいほどラクを好きだって気付いたんだ?』
    『好きだから殺せなかったことにもな』
    『それは、僕が指摘してやっと自覚したみたいだ』
     ラクの性格を知る二人には、完全に行間まで読まれた。
     捜査官の情報は持っていた。
     ウォノのチームのことも知っていた。
     ウォノと潜入プランを練る間のやり取りが凄く楽しかったと言ったら、怒られるだろうか。
     あのチームのメンバーはラクを観察し警戒しつつ、人として、母を亡くしたばかりの若者だと労ってくれた。
     チーム長のウォノがそういう人だからだと、すぐに理解した。
     ドンウを死なせてしまったことも、ウォノはこの兄妹ではなく、自分のせいだと悔いているだろう。
     ウォノは、暴力で解決することを望まない。
     誰の話も最後まで聞くのが信条なのだろうと思う。
     そう接してくれていたのに、嘘をついていたと思ったから、ラクを殴ったのだ。
    『誰にも落とせなかったラクがついにねぇ』
    『あのおじさん、やるじゃん』
    『口説き落としたのは僕の方だ』
     罪悪感もあるが、仕方ない。ラクがウォノの世界に行くにはもう手遅れだから、こちらへ落ちてもらうしかない。
    『女はともかく、ろくな奴いなかったじゃん、男は』
    『ソンチャンもキモかったしな』
    「そういや、あいつにこの辺、舐められて――変なこと言われた」
     舐められた感覚を思い出したらつい声が出て、手振りも強くなる。
    『キッッッモ!』
    『あの野郎、舌も切ってやるんだった』
     きゃあきゃあと二人が反応し、ジタバタし始めたところに、コンテナボックスを運び込むウォノが見えた。
    「……ウォノ、お帰り」
    「舐められた?」
     まさか、俺の話か?と目が言っている。
    「パク・ソンチャンが――ウォノがハリム役の時に、エレベーターの中で、この辺を……」
    「あいつ、お前狙いだったのか?」
     ウォノは驚いてから、少しだけ憤っているように見えた。
     もし嫉妬してくれているなら嬉しい。
    「絡まれたけど、口説かれたわけでは――ゲイじゃなくて、ただのホモソーシャル的なマウント行為かと」
     心底気持ち悪いという顔をしたウォノに、兄妹も同調する。
    『キモいよね』
    『キモいな!』
    「キモい?」
    「ソンチャンがね。ウォノのことじゃない」
     さっき手話を少しだけ教えた。二人がよく使うスラングと、挨拶や疑問詞だ。
    「アルファベットと数字と、軍で使うハンドサインぐらいならわかるんだが」
    『あたしらもラクもそれはわかるよ』
    『会話はまだでも、動きの指示ならいけるな』
    「正確に意味を伝え合いたい時は、このアプリでグループトークしましょう。外出時はいつもそうしてるし。二人は打ち込みも速いし、僕とウォノは音声入力もできるから、お互いストレスが少ないかと」
     簡単に使い方を教えながら、ラクの予備端末と、ハンズフリーセットを渡す。
     潜入捜査官なら問題なく使えるだろう。
     兄妹の出力を音声にしてイヤフォンで聞けば、画面を確認できない時も会話が可能だ。精度はまずまずだが、無いよりはかなり楽になる。
    『マイク付けっぱなしでサカらないようにね』
    『俺らは別に構わねぇけどな』
     ひやかされ、昨晩のことが二人に知れたのを悟って、ウォノは目線を寄越す。ラクにだけわかる程度に一瞬だけ、照れた表情を見せた。
    「うるせぇな。お前らがログを切っとけ」
     ラフに話すウォノは、やはり不良生徒の面倒を見る教師のように思えた。
    『ソンチャンは顔キレイなのにキモかったけど、おじさんはキモくないよ。かわいい顔してるし。変態にモテそう』
    『髭剃ったらそんなにおじさんでもねぇしな』
    「そりゃどうも」
    「まだ実際若いよ」
     ラクがそう言うと、兄妹はどこからか手に入れたらしいウォノの個人情報を手早く表示して舌を出した。
     ウォノは驚かない。
     お互いの能力も素性も、調べがつく範囲ならもうわかっている。
    『おじさん、もし警察に見つかって、うちらと共謀してたとかって疑われたらどうする?』
    『潜入してたことにすりゃ良くねぇか?』
    「できるだけ迷惑はかけたくないが、状況による――必要ならすぐ俺を即見捨ててくれ。お前らは犯罪者扱いされても気にならないだろうし、俺のフォローなんて要らないだろ。爆弾でも作って脱獄すりゃいい」
     予想より吹っ切れている。法律に縛られるのをやめたのか。元々、傭兵タイプではあるだろう。
     現時点で何もしてこないなら、こちらの動きが不穏でない限り、どの組織からもしばらくは放っておかれそうだ。
    「僕はブライアンの手先が心配かな。直球で命を狙ってくるだろうし、どこの誰を雇うかわからない」
     買収され汚職に染まった輩が、金目当てで仕掛けてくる可能性はある。
     でも全員、生き延びる根性も知恵もある。
    『ウォノ、俺とも遊ぼうぜ!射撃場行こ』
    『あたしと狩り行くのが先だから』
    「買い物が先」
    『そっか、ウォノの分マシマシで色々買っとかないとね。いっぱい食べそうだし』
    『やっと酒が普通に買えるな。俺らだけだと、アジア系の食料品店に行かねぇと、子どもだと思われて揉める。こっちはビールもアホみてぇに高いしよ』
    「食料も酒もあるぞ」
     三人で顔を見合わせる間に、ウォノはケースを開け、中身をテーブルの端に並べていく。
    『チョコパイだぁ』
     こっちにも売ってはいるのだが、定番の菓子は嬉しい。
    『ソジュ!』
    「……煙草もあります?」
    「煙草は俺が吸ってる銘柄だけだ。調味料はある。できるだけ日持ちするものと、こっちで買えなかったり、高かったりするものは一通り……昔のツテを頼って非合法なこともしたから、結構、制限を誤魔化せた」
     一応、こちらでも自作できるものはしているし、定期的にアジア系の食料品店に注文しているのだが、あまり量は確保できずにいたのだ。
     通信販売はセキュリティ上、制限がある。
     金はあっても、不自由は多い。
    『犯罪者に超向いてる』
    『最強だな』
    「料理、結構やるんですね」
    「繊細で面倒な料理はあまり知らんが、嫌いじゃない。刑事やってると外食で済ますけど、今は時間があるからな。ジビエも多少はできるぞ」
    『これ、あたしらも使っていいやつ?』
    『すぐ無くなっちまうな』
    「車にもまだ積んでる。日用品は少なめにしたから、下着以外の着替えは少ないが」
    「じゃあ、足りない着替えは僕のを貸すか、買いましょう。サイズはほぼ一緒だし」
    『着せ替え人形にされるよ』
    『俺の服じゃちいせぇしな』
     幸い、ウォノの食べ物やツマミの好みは三人とも合う。細かい嗜好品やどうしても手に入らなかったメーカーの商品を見つけては、歓喜の声を上げることになった。
    『ウォノ、センスいい』
    『神だな』
    「大事に食べないと」
    「逃亡生活なんてするからそうなる」
    『檻の中でうちらが大人しくすると思う?』
    『脱獄されるなら、捕まえない方がいいっしょ』
    「金はあるんだろ。自分らで輸入すりゃいい」
    「それだと密輸絡みの仕事に発展してしまうので、慎重にやらないと」
    『調味料は成分がわかれば作れるけど、材料はいるし』
    『難しいのはこういう、工場で作るような菓子だな』
    「ったく。自業自得だろ。どうせもう納屋で、薬物と酒は密造してんだろうが」
     まだ、自分たちで使う分だけだ。
     オンラインで交流していたハッカーやデフのコミュニティを足掛かりに、安全なコミュニティの構築をしているところだった。
    『ウォノの昔のツテってどんな連中?』
    『犯罪者?役人?』
    「元警官で闇落ちしたり、足抜けさせて逃がした情報屋だ。このままいけば俺もそうなるわけだが」
     ウォノは疲れた顔でそう言って、自嘲した。
    「潜入捜査って、どんなのやったんですか」
     単純に興味がある。
    「お前らも自白するんなら話してやってもいい」
    『録音して証拠にする気だろ』
    『まだ諦めてないの?それとも照れ隠し?』
    「密売組織系?人身売買とか」
    「人身売買絡みの潜入捜査には向かない。現場の惨状でキレる自信がある」
    『わかる』
    『超わかる』
    「わかります」
    「わかるなよ」
     本当のクズしかいない現場でないと、義憤や情に流されて失敗しそうだ。
    「薬物だけですか?」
    「お前らが勢いに乗る前は、銃の密輸も追ってた。花札賭博とカジノと……ファイト・クラブ系の八百長賭博に潜ったり、エスコートサービスの真似事もした」
    『八百長は向いてるかもな』
    「エスコートサービス?」
    「取引があるホテルに、その振りをして潜る」
    『やだ、待って』
    『なんだよ。買う気か?』
     何かを思い出すようにしながら、彼女はウォノの顔を指さしたまま、まじまじと見つめている。
    『見たことあると思ってたんだ!』
    『買ったのか』
    『買ってない。あたしがホテルで清掃員の振りして、試作したヤク売り始めた時、会ってる』
    『いつだよ?』
    『十年は前。十六くらいん時?ビーナス何とかってホテルあったじゃん』
    『あそこの無法地帯か』
    『銃撃戦に参戦するか迷って隠れてたら、危ないから裏口から逃げろって追い出された』
    『そんな話してた覚えあるな』
     グループトークで拾い切れず、かいつまんでウォノに伝える。
    「あぁ……あの時逃がした子か」
    『女とそれらしい感じで入ってくのに、部屋はきれいだし、最初は女売るヤクザかと思ってた。あそこは特にどこのシマってわけでもないけど、殺し以外は何かしらやってるから、手っ取り早く手柄上げたい落ちこぼれ刑事も来るし、潜入捜査官もウロついてた』
    『へー』
    「そっちの仕事はしてなかったってことですか」
    「しないで済むこともあったが……」
    『事務所とか空き部屋でオーナーの愛人とヤッてんのは見かけた』
    『おい、やるなおっさん』
     二人とも、ウォノに言いたいことだけテキストにすることにしたようだ。
     仕方なくラクがところどころ補足する。
    『他の従業員も食ってたかも。あたしは無視されたけど』
    『熟女趣味か』
    「ロリコンじゃないだけだ。まだ今ほど鼻も利かなかったから、清掃員はただのバイトだと思った」
    『年は知らないけど、みんな結構いい女だった。そこそこ上手いんだろうね。メンタル弱い女にモテそうだし』
    『役得だな』
    「従業員と?」
    「それが本題だ。出入りしてた組なんかを知りたかったから」
    『口止め料とチップは多めにくれたよ』
    『いい奴じゃん』
    『源氏名はマックス』
    『でかそうだな』
    「マックス?」
    「うるせぇ」
    「ふぅん」
    「……ラク?」
    「はい」
    「どうした」
     気まずそうなウォノの様子をうかがっていただけだ。
    「いや、別に」
    「今更だろ」
    『嫉妬だよ。ジェラシー』
    『いいじゃん、床上手だったろ』
     嫉妬はしているのだが、最後に選んだのが自分だと思えれば別にいい。
    「結構充実した性生活だったんだね。ドラァグとも寝て」
    『ドラァグ?』
    『玄人モテはそこからか』
    「バラすな」
     いや、バラすなら多分、今がベストだ。
     兄妹の心をつかみ始めている。
    『待って待って、あの辺でドラァグって言ったら、あそこのショーパブじゃない?』
    『何だ、またかよ』
     ウォノは長年ラクたちに近い組織を洗っていたのだから当然だが、行動範囲と管轄が重なっているようだ。
    『あんたが好きだった、ハスラーズクラブだよ。バーテンと仲良くて、照明やるとこに入れてもらって観てたじゃん。ほら、トミーがいた……やだこの人、トミーじゃん?マジで?マックスとトミー、同じ人?』
    『俺ファンだったんだよ!夢芝居!』
     ウォノ自身がドラァグとして潜入していたとは――予想していなかった。
    「え、ウォノもショーに出る方だったの?」
    「あぁ……」
     通訳せずとも何がバレたのかは察したようだ。
    『結構イケてたよな。ゴージャスで良かった』
    『割と売れてたと思う。洋装の時も美脚だったし。あたしらはわかんないけど、多分歌が上手かったはず』
    「歌が上手いんですか?」
    「……まぁな。日本で『夢芝居』歌ってる梅沢富美男って女形がいて、真似して塗ったら予想以上に化けられたんだ。だから、こっちの時代劇風にアレンジして演ってた」
     この男はラクと同じだ。
     人生が秘密でできている。
     おかしくなって、笑いが込み上げる。
     兄妹は、急に目の前に現れた昔の「推し」にはしゃいでいる。
    『流し目が綺麗でさ、凄い化粧映えすんだよ。この鼻筋の細さと、顎から首の線が良くてさぁ。あの頃の方が肉付き良かったけど、まだイケそうじゃん』
     ウォノの顔を指で示しながら熱弁してくれる。確かに、流線が上品な骨格ではある。唇の形も綺麗だ。男臭さの大半は、髭や表情で補っている。
     日本の女形をベースにした時代劇の踊り子のような芸風なら、ハマりそうだ。
    「痩せたんですか?」
    「お前らを追うようになって、やつれたんだ」
     恨めしげに睨まれる。
    『俺、店無くなる前に撮った動画コピーしてROMに焼いてある。あんまり画質は良くねぇけど。十年ちょっと前かな』
     本当に推しだったらしい。そうなると三人とも、ウォノのファンということになる。
    「僕も見たい」
    「俺は見たくない……なんでそんなもん撮った」
     エスコートサービスのくだりではまだ元気だったのに、完全に弱みを握られた顔である。
    『こいつ、好みのタイプがそういう感じなんだよね』
    「確かに。今の恋人もウォノくらいのサイズ感だもんね」
     彼はデフのコミュニティの延長で知り合ったドラァグクイーンに一目惚れして、少し前から付き合っている。一八〇センチ以上で更にヒールを履いている。
    『デカくて派手でゴージャスなオンナが好きなんだ。性自認とポジションは問わない。潜入のためだったんなら、トミーのことはいい思い出として胸にしまっとく』
    「しまうな。葬れ」
    『今度、彼女のショーにも行こ』
    『俺、トミーの話もして動画も見せてたから、あんたレジェンドだぜ』
    「え、僕もトミーのショー、生で観たい」
    「やらねぇぞ!」
     グループトークは荒れに荒れ、ウォノはまた、煙草を吸うと言って外に逃げ出した。
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