しゃぼんだまとあおいそらしゃぼんだま とんだ
屋根まで とんだ
屋根まで飛んで
こわれてきえた
おそらく、子供の頃、多くの人が耳にしたことがあるだろう、うた。
それは彼も同様で。
キャビンで千空たちがしゃぼんだま遊びをしていた、とコハクに聴いてからなんとなく懐かしくなって、甲板で口ずさんでいた。
……なんだかもの悲しくて、ちいさい頃はあまり好きではなかったけれど。
ふわふわして、見目鮮やかで、人目を引くけれど薄っぺらで壊れやすくて。
……中身は、からっぽ。
なんだか自分を見ているようで。
からっぽな自分が嫌いなわけではないけれど、たまにふぅっと胸の中の空洞を自覚してしまうことがあって、そんな時はひどく寂寥感に駆られた。
……柄にもなく感傷的になっているのだろうかと、苦笑してしまう。
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