A_wa_K☆quiet followDONE140文字SSのお題(https://shindanmaker.com/587150)様から。 図書室の猫「猫」 文字を追っていた少年の視線が止まる。 人も少ない夕暮れ時の学園の図書室。 空席ばかりと少年は隣の席に半身を座らせていた。そんな彼の視線の先は、窓際で。 「猫だ」 置かれた鉢植えの影がどことなく、猫に見える。 「少年にもそう見えるか?」 「うん」 不定の影に同じ姿を重ねるふたりは僅かに言葉を弾ませつつ、黒色の猫は身を伸ばすのであった。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow A_wa_KDONE140文字SSのお題(https://shindanmaker.com/587150)様から。瞳は雄弁だ、ナホビノの金の双眸は静やかで美しいが、鋭利な刃物のようである。 「そうかホ?」 新入りの仲魔の意見に対し、ジャックフロストは首を傾げた。 「アッチ、見てみるホ」 促されるまま悪魔が視線を向けると、そこには。 「――アオガミ」 半身の名を紡ぐナホビノの瞳は、甘い蜂蜜のように揺らめいていた。 144 A_wa_KDONE幼い頃に誰かを探し続けていた自分を懐古するアオガミさんと出会った後の少年の独白。探し人 幼い頃、己が頻繁に迷子になっていたことを少年は覚えている。 絵本に熱中している間だけは大人しくしているので、両親が頻繁に本を買い与えていた。尤も、一度読み終わればどこかへ行ってしまう子供だったのだが。 たった一人で、ふらふらと。 何かを求めて探し回るように。 「少年?」 そんな過去の己の姿を思い出しながら、少年は隣を歩むアオガミを見上げた。突然、少年から向けられた視線に彼の半身は首を傾げる。 ――両親に見つけられると、大泣きをする子供でもあった。 自分はそんなに寂しかったのだろうか、と。少年にとっては迷子になっていた理由よりも不思議であった泣いていた理由。今ならば分かる、その原因。 「アオガミがいるなぁって、思っただけだよ」 485 A_wa_KDONEやまもおちもなにもないけど、そんな日常を過ごす少年とアオガミさんを見続けたい。ふたりのなんでもない日常 ひとりだった頃と比べて、少しだけ大きくなった少年の歩幅。 そんな彼に合わせて、歩幅を狭めて隣を歩んでくれる唯一の半身。 少年は、歩くことが好きではなかった。読書に集中できないし、人込みの中を歩くのは苦手だ。けれども、今は歩く時間が心地よく感じていた。なんとなくで、いつもと違う道を選び、遠回りをしてしまうくらいには。 「――あっ」 ふと、少年は足を止める。 何事かと、隣を歩く神造魔人も足を止めた。 「少年」 どうかしたか、と尋ねかけたアオガミであったが、少年の視線の先を見て口を閉ざす。問うまでもなく、己の半身が足を止めた理由が分かってしまったからだ。 「アオガミ」 少年は隣に立つアオガミを見上げる。 「問題ない」 639 A_wa_KDONEサネヨシさんのツイート(https://twitter.com/saaneyoka/status/1677266335456460800?s=20)を拝借して書かせて頂きました。七夕の夜 ――年に数回、弟は目を輝かせて下界を眺める。 黄金の双眸にきらきらと光を灯す青き神は、月の神が手こずる合図であった。 己の力に対する信頼か、周囲の神魔達への信頼か。長い青色の神を靡かせて、彼の神は気軽に世界のあちらこちらに足を運ぶ。 警戒を感じない姿を見る度に、ツクヨミは得たばかりの形のない心がぎゅっと縮まるのを感じた。特にギリシャへと視線を向けた時など。 そんな弟であるが、年に数回のきらきらとした光は、兄を焦らせない輝きであった。 合わせた手の上に顎を乗せ、夜の街をナホビノは見下ろす。 前回は桜満開になった晴れた夜。その前は、寒い冬の夜であったことをツクヨミは思い返す。 そして、今日は七月七日。 528 A_wa_KDONE世界を知るアオガミと、嫉妬する少年の小咄。No Life No... 「アオガミも聴いてみる?」 背筋をピンと伸ばし、寮室内の角で佇むアオガミ。居心地の悪さ故に少年が提案したのは、音楽のサブスクリプションであった。 「だが、それは少年のアカウントではないのか?」 「シェア出来るプランがあるから、それに入るよ」 「しかし」 「あー……えっと、追加分は越水長官とかに請求するからさ」 アオガミの声音から懸念を察知し、少年は咄嗟に自分の上官にあたるであろう男の名前を出した。実際に請求するかは別であるが、自身に負担がないことを告げねば青髪の男は首を横に振ると確信を持ってしまったからだ。 「承知した。私が請求書を提出しておこう」 「わ、分かった」 最も、呆気なく半身に先手を打たれてしまったのだが。 1248 A_wa_KDONE少年とアオガミと、湿度に関する小咄。嫌いが好きに変わるのは 雨が降り、湿度が高い日は憂鬱だった。 空気がじっとりしているし、屋外で読書を嗜むのも憚られる。からっとした晴れの日が恋しくなる。 そんな時間、だったのだが。 「少年?」 俺の視線に気づいたのだろう。アオガミが不思議そうに首を傾げる。じっと向けてしまっていた視線への違和感故に。 「雨も偶にはいいかもって」 嘘を言ってはいない俺の言葉。 どこか腑に落ちない様子であったが、アオガミは再び俺が貸した端末へと視線を落とす。 ――同時に、ぴょんと、小さく跳ねる彼の後頭部の髪。 今まで見たことがない、現在の高い湿度から生まれたアオガミのくせっ毛だ。 (かわいいなぁ) 新たな半身の一面を見られた事に口元を緩ませながら、俺は静かな雨音を心地よく感じるのであった。 335