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    fuki_yagen

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    ロくんのほうが年上のΔ/逆転ロナドラです。血まみれなのでグロ耐性ない方は自衛してください! 耐性ある方なら大したことはないです。

    #Δロナドラ
    #ロナドラ
    Rona x Dra
    #ロド
    rhodo

    ロナルドくんとあそぼ 月も無く、星の綺麗な夜だった。
    『ミカエラ君、三時方向から回って本気の挑発して。彼、君の本気好きみたい』
    「その名で呼ぶな。肉体強化を解いていないぞ」
    『君の本気で解かせるのさ』
     吸血鬼は享楽主義なんだ、と囁き笑ったイヤホンの向こうの声にアイサー、と答え、ミカエラはビルの壁を蹴り路地を飛び出し空中で身を捻った。こちらを見もせずに突き出された掌を避け、渾身の刃でがら空きの胴を斬りつける。
     まるで鉄を切ろうとしたかのような手応えと反動をバネに後方へと跳び、アスファルトを蹴って再び迫るとこちらを向いた青い目がにやりと嗤った。その側頭部をマナーのライフル弾が貫く。この一瞬で肉体強化はいくらか解除されたらしい。ただし頭が吹き飛ぶほどではない。
     ど、と切り上げ背骨で止まった刃を引き抜きロナルドにしてはかなり手心を加えたのだろう腕の素早い振りを返した刀で受け止め、ミカエラはそのまま掌から腕をそぎ落とした。びちゃびちゃとこぼれた血はそのままに、肉がばたばたとコウモリとなって即座に本体へと戻る。とん、とひと飛びで後方へと避けると、ロナルドは出会った日のように振り下ろした鋭い爪でアスファルトを削った。あの日のことを思い出してくれたようだ。
    『器物損壊はやめろって言ったのに』
     興奮してくれなきゃ勝ち目がないだろうが、と胸の裡で答え、ミカエラはロナルドの背後から長い癖毛の黒髪を棚引かせ矢のように駆けてきたにく美を視界に捉えロナルドへと向かい斬り掛かる。受け止めた掌は斬れず、けれどぐっと刃を握り締めたその圧で食い込んだのか、血が滴る。にい、と白い牙を剥いて嗤った吸血鬼の首がぐるりと背後を向きにく美を捕えたが、その澄みすぎた妖しい色もものともせず、にく美は隊の誰よりも疾い太刀筋で吸血鬼を背から刻んだ。ミカエラの刀を放そうと緩んだ掌を滑らせるように突き込み、顔を刺すが手応えはない。バラバラと半顔がコウモリとなり、ミカエラへと集った。
     思わず腕で庇い離れると、ロナルドはにく美へと向き直った。肘から先の腕が切り飛ばされ、戻る前に今度は肩から先も飛んだ。
    「みじん切りにしてやるわァ!!」
    「ははっ、怖ェ! アンタこんなに強かったんだな!」
     タンタンタン、と連続で各々の方向からライフル弾が頭と胸と首を撃ち抜く。さすがに視界が途絶えたか一瞬突き出した腕を彷徨わせたロナルドのその残った腕と足をにく美が切り離し、ミカエラは胴を斬りつけた。全て絶つことはできなかったが、にく美の正確な斬撃が塞がろうとする肉を裂きながら同じ場所を潜り、ミカエラの刀の峰を打つ。
    「痛ッテェな!!」
     ごろごろと血に溺れたような声でさすがに叫んだロナルドの頭部は半分吹き飛んだまま、首も半分千切れたままだ。
     再生が間に合っていないのか、と考えながらにく美に合わせ手を止めず斬撃を食らわせると、片足だけで立っていたロナルドがどしゃりと地に伏せた。背から左胸を刺し、お、とぽかんとした声を上げるのも構わず切り裂いたそこへと手を突っ込む。肉と肋に邪魔されながら無理矢理に引き抜いたそれを背後を振り向き力任せに放り投げたミカエラの背を、いつの間にか復活していたロナルドの足が蹴った。軽いモーションだったのに、それだけで数メートルを飛ばされ何度かバウンドして、ミカエラはふらふらとした目で周囲を見る。
     手心を加えることなく斬撃を繰り返し、乗り上げるようにしてロナルドを刺し続けていたにく美を駆け寄った葵ががしりと抱えた。
    「まだやるのよ!! 足りないでしょ!! 動いてんのよ!!」
    「はいはい、二九美君、そこまで」
     作戦成功、と笑った声で呑気に言って、ビル壁に後頭部を預けてまだ起き上がれないでいたミカエラの傍らへ、ドラルクが立った。その手には赤い宝玉のような、ハート型の石がある。
    「ていうか心臓盗られても死なないんだな、ロナルド君。でもこいつにこう、これをね、打ち込んだら、さすがにちょっとダメージあるんじゃない?」
     後ろ手に持っていた鉄の杭を血の海の中に蹲ったまま炯々とした眼で見てたロナルドへと見せ、ドラルクは石をとんとそれの先で突く。
     ライトをいくつも向けているとはいえ夜の闇の中光る吸血鬼の眼はミカエラですらぞっとするほどの無感情で、戦いとなると少々飛んでしまうにく美はともかく正気のままにやにやと嗤っている上役も、なかなかの享楽主義者だ。
    「コウモリにでもなっちゃう前に割ってしま───、」
    「隊長!!」
     ふいにざわり、と石を握るドラルクの手を中心に纏わり付いた黒い霧に、飛び起き駆け寄ろうとしたミカエラは襟首でも掴まれたかのように背後へと倒された。ざざざ、と風の音を立てて渦巻いた黒い霧が、ドラルクの手ごと石を左胸に取り込んで、吸血鬼の姿を象る。
     にや、と嗤った赤い目とその端正な顔を見、先程まで彼が蹲っていたあたりへ鋭く視線を向けると、水溜まりとなるほどだった血痕すら跡形もなく消え失せて、ただ爪が裂いたアスファルトに疵が残るだけだった。
    「チェックメイト、だっけな、ドラルク」
    「………あー、ハハッ」
     引き攣った笑いを見せ、ドラルクは夜は良く光る金の双眸を薄く歪める。
    「凄いな君。普通本体が来るかよ」
    「心臓が逃げるほうがよかったか?」
     がし、と肉に噛まれたドラルクの腕を掴み、青に戻った眼でにんまりと笑ったロナルドがなにか軽口を叩きかけ、は、と視線を巡らせぐいとダンピールの腕を引き抜きそのままミカエラのほうへと放った。倒れ込んだまま痩身を受け止め、ミカエラは路地へと向いたロナルドの背から赤黒い杭がいくつも突き出すのを見た。
    「ロナルド君!?」
    「ドッカーン!! 悪いヤツはぶっ飛ばす!! 大丈夫ですかおまわりさんッ!! 大丈夫! 助かった! 今週も大活躍だガンダマン!!」
     杭が瞬時に引き抜かれ、ハッハハハ!! と笑い声だけを残してばたばたと闇が駆けていく。飛び起きたドラルクが無線に向かって手配をし、駆けてきた葵とにく美が路地へと消えた闇を追った。
    「おい……っ、ロナルド!」
    「あーうん、ちょっとびっくりした」
     吸血されたな、と霧が形を成したときにはきれいに元通りになっていた、再び穴だらけになった衣服に触れ、ロナルドはぼりぼりと後頭部を掻いた。それからミカエラを見下ろし、手を差し出す。
    「わりわり、怪我させんなって言われてたんだった」
    「いや、私は隊長じゃないからな。この程度大したことはない」
    「そういやドラルク……」
    「私を下敷きにしたし、大丈夫だろう」
    「ミカエラ、呑気にしてないで一度署に戻るぞ」
    「追わなくていいのか」
    「他の子たちに頼んだよ。我々は他の班との情報共有だ。他県で発生していた串刺しツラヌキ事件、あれかもしれん」
    「………危険度Aオーバーだな、わかった。ギルドからも何人か来てもらおう。今日は愚兄もいるはずだ」
    「そっちの連絡は頼むよ。それから、ロナルド君」
     ん、と腰に手を当てたまま首を傾げたロナルドの肩を、ドラルクはぽんぽんと叩いた。
    「すまないね。もうちょっと演習を続けたかったんだが」
    「仕方ねえだろ、ヤベエ敵性吸血鬼ならお前らの最優先じゃねえか。俺とはまた遊べよ。……で、俺も探しに行ったほうがいいか?」
    「いや、いったんうちに戻ってジョンを連れて来てくれ。今日は帰れないかもしれんからな。それから、作戦の方針が固まるまでは私の側に」
    「了解」
     いうが早いかバラバラと大量のコウモリとなった吸血鬼は、一直線に夜空へと飛び去った。
    「我々も行くぞ」
    「アイサー」
     頼れる上官の顔をしたドラルクにぴ、と敬礼をし、その背について行こうとして、あいたた、とふいに腰を押さえた貧弱ダンピールに溜息を吐き、ミカエラは肩を貸してずるずると引き摺るようにパトカーへと向かった。
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    fuki_yagen

    PROGRESS7/30の新刊の冒頭です。前に準備号として出した部分だけなのでイベント前にはまた別にサンプルが出せたらいいなと思うけどわかんない…時間があるかによる…。
    取り敢えず応援してくれるとうれしいです。
    つるみか準備号だった部分 とんとんと床暖房の張り巡らされた温かな階段を素足で踏んで降りてくると、のんびりとした鼻歌が聞こえた。いい匂いが漂う、というほどではないが、玉ねぎやスパイスの香りがする。
     鶴丸は階段を降りきり、リビングと一続きになった対面式キッチンをひょいを覗いた。ボウルの中に手を入れて、恋刀が何かを捏ねている。
    「何作ってるんだい? 肉種?」
    「ハンバーグだぞ。大侵寇のあとしばらく出陣も止められて暇だっただろう。あのとき燭台切にな、教えてもらった」
    「きみ、和食ならいくつかレパートリーがあるだろう。わざわざ洋食を? そんなに好んでいたか?」
    「美味いものならなんでも好きだ。それにな、」
     三日月は調理用の使い捨て手袋をぴちりと嵌めた手をテレビドラマで見た執刀医のように示してなんだか得意げな顔をした。さらさらと落ちてくる長い横髪は、乱にもらったという可愛らしい髪留めで止めてある。淡い水色のリボンの形をした、きっと乱とお揃いなのだろうな、と察せられる代物だ。
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