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    rio_bmb

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    rio_bmb

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    原稿が煮詰まってるので軽いノリのイチャラブなどを書いて元気になろうとしたんだけどなんだろうなこれ…

    #モクチェズ
    moctez

    夜明けのスキャット/モクチェズ ちぇーずれい、と節をつけるように名前を呼ばれた。こんな気が抜けた声で己を呼ぶのはこの相棒ぐらいのものである。
     僅かに目線を上げると、前を歩いていたモクマがこちらを振り向いて手招きをしているところだった。
     何か興味深いものでも見つけたのだろうか。――こんな寂れた、夜明け前の廃線跡で?
     疑問に思いながらも、チェズレイは相棒のもとへと歩を進める。
     二人が歩いているのはもう使われなくなって久しい古びたレールの上だ。廃駅の地下をアジトとしていたマフィアをひとつ潰した帰り道だった。車を手配しても良かったのだが、廃駅から伸びた線路を眺めながら「少し散歩して帰ろうよ」とモクマが言い出したのだ。夜明け前の涼やかな風が心地よく、相棒の珍しい我が儘に付き合うのも悪くないかと思えた。海中の坑道を走るトロッコを思い出して懐かしくなったというのもある。おそらくモクマも同じことを思い出したのだろう。
     二人が征く道の遙か先は宵闇に飲まれて見えはしない。もしかしたらどこかでポイントを切り替え損ねてしまう日が来るのかもしれなかった。その時は共に地獄行きだ。
    「――何かありました?」
     横に並んで、相棒を見下ろす。口元を覆い隠していたマフラーを緩めながらモクマは上目遣いにチェズレイを見た。
    「ん-、ちょいと耳貸してくれる?」
    「どうして?」
    「いいから」
     内緒話をしようにも、廃線跡には自分たちの他に誰もいない。だから耳打ちをする必要もないはずなのだが、有無を言わさぬ口調でモクマが促す。その意図は不明瞭なものの、これといって拒否する理由もなかった。チェズレイは促されるまま身を屈めて、頬に落ちる前髪を耳にかけた。
     さて、どんな秘めごとを明かしてくれるのやら。
     そう待ち構えていると、ちゅ、と軽やかなリップ音が響いた。同時に頬にふにっと柔らかいものが押し当てられらる感覚――頬にキスをされたのだ、と気づいた時には柔らかな感触は離れていた。
    「…………は?」
     いったい何のつもりなのだろうか。
     咎めるつもりで視線を横に流した時点で、相手の思惑に乗ってしまったようなものだ。それに気付かない程度にはチェズレイも動揺していた。
     振り向いたチェズレイの顎を太い指が擽るように撫でたかと思うと、今度は唇を奪われた。掠めるように触れた唇は、やはりすぐに離れていってしまう。
    「…………」
     惚けたように瞬きを繰り返してから、チェズレイは屈めていた身を起こした。背筋を伸ばしてしまえば、見下ろした先にはいつもどおりの灰がかった髪が見える。こちらを見上げたモクマはエヘヘと締まりのない笑顔を浮かべていた。
     枕を共にし、情を交わす相手だ。つまりは唇で触れられることにいまさら嫌悪はないのだが、不意打ちには驚いてしまう。何よりも舌も入れない口付けがこんなにも恥ずかしいものだとは思ってもみなかった。捕食じみた、官能に火をつけるためのキスならば慣れているのに。性的な意味合いを持たない触れ合いは、チェズレイに戸惑いと羞恥をもたらした。
    「……モクマさん」
    「お、怒った……?」
    「いえ。……むしろあなたこそ、何か怒っていらっしゃる?」
    「へっ?」
     半ば本気で尋ねると、モクマはぽかんとした顔をした。
    「このように辱められるほど、あなたを怒らせた記憶はないのですが」
     ああ、だか、うん、だか煮え切らない声を上げて、モクマは決まり悪そうに頭をかいた。
    「すまんね、お前さんがそんなに照れるとは思わなくって」
    「…………照れているわけではありませんが」
     憮然として反論したものの、軽く笑いながら流されてしまう。モクマはチェズレイの左手を握ると再び歩き出した。仕方なく、チェズレイも隣を並んで歩く。
    「ごめんごめん、チェズレイがあんまり可愛いもんだから、つい」
    「……この私にそんな事を仰るの、あなたくらいのものですよ」
    「そいつは好都合だ。お前の照れた顔なんて、俺以外知らなくていいよ」
     チェズレイはわざとらしくため息を吐いた。それが羞恥を誤魔化すためであることは、きっとモクマにはバレているだろうが。
    「ともかく、不意打ちはやめてください。心臓に悪いので」
     横目でチェズレイを見上げながら、モクマは少し呆れたような顔をした。
    「こういうのって予告された方が恥ずかしいと思うけども」
    「そうは言っても、心構えができたほうがいいでしょう」
    「お前さんがそう言うなら、俺は構わんけどね」
     子供のように手を繋いで、朝焼けの中を並んで歩く。世界征服を目指す二人が、何とも長閑な事だった。
     不意打ちではなく予告するように、という自分の言葉を後日まんまと後悔することになるのだが、それはまた別の話だ。
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    rio_bmb

    MOURNINGけっこう前(6月か7月?)に書いてたけど新情報が出るたびにお蔵入りにせざるをえなかったモクチェズのラブコメ。読み返したら一周回って記念に供養しとくか…という気持ちになったのでお焚き上げです
    同道後のラブコメ「おじさんを好んでくれる子はいないのかなあ……」
     などとわざとらしく鎌をかけてみたこともあったのだが、あの時は正直なところ半信半疑だった。
     何せ相手が相手だ。都市伝説になるような詐欺師にとって、思わせぶりな態度を取るなんてきっと朝メシ前だろう。そう思うのと同時に、自分を見つめる瞳に浮かぶ熱が偽りとも思えなかった。
    (ひょっとして、脈アリ?)
    (いやいや、浮気って言っとったしなあ)
     その浮気相手にあれだけ心を砕く律儀者が、本命を前にしたらやはり相討ちも辞さないのではないだろうか。あなたと違って死ぬ気はないとは言っていたものの、刺し違えれば勝てるとなればうっかり命を懸けてしまいかねない。彼の律儀さはそうした危うさを孕んでいた。だからその時は脈があるかどうかより、ただ復讐に燃えるチェズレイの身を案じていたのだ。約束で縛ることは叶わず、己では彼の重石にはなれないのかとじれったく思ったのも記憶に新しい。
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    DONE相互フォロして頂いている方に約束していた父の日の話です。Father's Day

    [最初の試み]
     ルークがエドワードに引き取られてからほぼ一年経った。いつも笑みを浮かべ暖かく見守ってくれる義父のことを、ルークは尊敬していたし憧れてもいた。もちろん、エドワードだってずっと笑っているわけではない。ルークが危ないことをしたときなどは叱りもする。けれど施設の人達のように冷たく突き放すような言い方ではなく、ルークの身を案じて心配しているのだと分かる言い方をした。今回もそうだった。
    「ルーク、危ないから一人で台所に入ってはいけないと、そう教えただろう?」
     いつもの朗らかの笑みではなく、眉を寄せた真剣な顔でエドワードは言った。少し目線を落としているルークの肩に手を添え、その目をじっと見つめる。ルークはおずおずと父を見、そして小さな声で言った。
    「……ごめんなさい」
     するとエドワードはふっと表情を和らげて、肩を落として明らかにしょげている息子の頭を片手でくしゃりと撫ぜた。穏やかな父の表情に、ルークは目を見開いた。さすがに今回はもっと怒られると思っていたのだ。
    「たしかに、言いつけを守らなかったのは良くないことだ。でもルークがむやみに約束を破るような 1797