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    ムー(金魚の人)

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    モクチェズワンライ1226 「まつりのあと」
    ホリバ DISC2Trac4フィナーレ ネタです。
    バディオラも踏襲してます。

    #モクチェズ
    moctez

    ※ホリバ クリスマスカウントダウンイベント中

    歌姫スイの新曲を皮切りに始まったミカグラ島のクリスマスカウントダウンイベント及びクリスマスライブはフィナーレを迎えようとしていた。
    バックダンサーという懐かしい大役を任された四人はバックステージにスタンバイする。
    会場であるメテオフロート頂上からはロイヤルスイミン(スイたちの熱狂的ファン)はじめブロッサムやマイカの人々が銘々のペンライトを振ってこちらを見上げていた。それはチェズレイの真上で煌めく星々と同等の眩い輝きを放っている。あるいは、星雲のようにも見えた。
    「チェズレイ」
    鈴を転がしたような声が近づいてきて、チェズレイは振り返った。
    「はい、なんでしょう。モクマさん」
    「フィナーレ前に物思いに耽ってるみたいだからさ。どったの? ヴィンウェイで負った傷、疼くかい?」
    相方の少しの不調も見落とすまいとするモクマの真剣な瞳にチェズレイは気恥かしさとうっとおしさを感じつつ、首を横に振る。
    「いいえ。ご心配なく」
    強がりでも嘘偽りでもない。自己催眠を用いらずとも痛みは全く感じていない。偏に隣の忍者の献身のおかげだ。
    「先程のあなたの言葉を思い返していました。今年のクリスマスは平和だなと」
    「ははは、だよねえ!」
    モクマが大口を開けて笑うのにつられて、チェズレイも頬を緩める。去年のクリスマスは隣の男と敵のアジト爆破で迎えたのだ。
    火薬の匂いも悪逆非道を為す腐った人間の悲鳴ももはや懐かしい。
    「南の国で3週間、そこからミカグラ島に飛んで今日で1週間。およそ1ヶ月も世界征服活動を休んでしまいました。この間にどれだけの闇組織が跋扈してしまっていることやら……」
    「そりゃあまた、ゆっくり祭りのあとの余韻に浸ってる暇は無さそうだねえ」
    「えェ、寂しさなど感じようもない程これから忙しくなりますよ、モクマさん。1ヶ月休んだ分、あなたにはモリモリと馬車馬のように働いて頂かなくては。お付き合いいただけますよねェ?」
    ニッコリと愉悦たっぷりに問いかける。
    怠惰な男は「やなこった」と返すだろうと踏んでいた。だけど、実際返ってきた返事は――
    「ああ、よろこんで」
    「……………………」
    また、この返事だ。とチェズレイは思った。
    以前ならば「りょーかい」とただ承服していた男が、同じ声音で「よろこんで」と笑顔で返す。まるで自分も同じ気持ちだよと告げられているみたいで、こそばゆい。意欲的なのは好ましいはずなのに。
    人心掌握に長けていると自負していたチェズレイでも、最近のモクマの心情の変化は読み切れない。
    しかし、チェズレイにはそれに対する焦りや不安は無かった。

    『みなさん、お待たせしました!最後の曲――Meteorite 一緒に楽しみましょう!』
    「そいじゃあ、行こうか。チェズレイさんや」
    「はい、モクマさん」

    スポットライトが降り注ぐステージへ、同じ方向へ足を踏み出す。足の大きさも歩幅も靴の形も何もかも違う二人の人間の足跡が重なる。

    (モクマさんの心情の変化については、あとでじっくり聞かせてもらいましょう)
    (どのみち私たちは、ずっと同じ道を行くのですから)
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    💤💤💤

    INFO『KickingHorse Endroll(キッキングホース・エンドロール)』(文庫/36P/¥200-)
    12/30発行予定のモクチェズ小説新刊(コピー誌)です。ヴ愛前の時間軸の話。
    モクチェズの当て馬になるモブ視点のお話…? 割と「こんなエピソードもあったら良いな…」的な話なので何でも許せる人向けです。
    話の雰囲気がわかるところまで…と思ったら短い話なのでサンプル半分になりました…↓
    KickingHorse Endroll(キッキングホース・エンドロール)◇◇◇
     深呼吸一つ、吸って吐いて——私は改めてドアに向き直った。張り紙には『ニンジャジャンショー控え室』と書かれている。カバンに台本が入ってるか5回は確認したし、挨拶の練習は10回以上した。
    (…………落ち着け)
    また深呼吸をする。それでも緊張は全く解けない——仕方がないことではあるけれど。
     平凡な会社員生活に嫌気が差していた時期に誘われて飛び込んだこの世界は、まさに非日常の連続だった。現場は多岐に渡ったし、トラブルだってザラ。それでもこの仕事を続けてこられたのは、会社員生活では味わえないようなとびきりの刺激があったからだ——例えば、憧れの人に会える、とか。
    (…………ニンジャジャン……)
    毎日会社と家を往復していた時期にハマってたニンジャジャンに、まさかこんな形で出会う機会が得られるとは思ってもみなかった。例えひと時の話だとしても、足繁く通ったニンジャジャンショーの舞台に関わることができるのなら、と二つ返事で引き受けた。たとえ公私混同と言われようと、このたった一度のチャンスを必ずモノにして、絶対に絶対にニンジャジャンと繋がりを作って——
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