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    creapmilkcrazy

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    creapmilkcrazy

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    五伊地です。虎くんと伊さんの会話。

    #五伊地
    goiji

    片方にはあの人

    アレ?それってピアスの穴?
    無邪気な声が聞こえて、左後ろへ振り返る。
    「ああ、虎杖くん、お疲れさまです」
    ニカッと笑う虎杖くんを見たら、なんだか元気になれた。この業界、挨拶もまともに返してくれない人は大勢いるのです。社会人としてどうなんでしょうね、ハァ……。
    「お疲れさまです!あ〜お腹空いたぁ」
    「どこか寄りますか?」
    「ホント!?やったー!」



    期間限定のハンバーガー3種とコーラにカフェオレ、ポテト、チキンナゲット15ピース、ポテトパイとアップルパイ。
    「ポテトパイ美味いから食べてみ!」
    「じゃあ、アップルパイは虎杖くんが」
    「はい!俺、辛いハンバーガー食べていい?」
    「私、辛い物苦手なので、どうぞ」
    「やった!」
    ニコニコな虎杖くんは真っ赤な包みを開けて、いただきまーすと元気よくかぶりついている。
    伊地知も同じように笑って、タマゴとチキンが入った甘しょっぱいハンバーガーを食べる。
    最近はこんな味があるのか、なんか進んで期間限定品に行かなくなった気もする。老化したのかな?
    「美味しい」
    「こっちも美味い」
    「ファストフード店に行くと思い出すんです。五条さんの伝説の話聞きたいですか?」
    ゴクっと飲み干した虎杖は身を乗り出した。
    「聞きたい」
    「学生時代の事なんですけど、五条さんが初めてファストフード店に行った時、席に着いたそうなんですよ。何してるのって後から家入さんと夏油さんが聞いたら、オーダーを取りに来るのを待ってたらしくて…。笑いまくったと聞きました。先輩から聞いた話なのに、目に浮かぶようで…面白くて」
    「えっ…なんかヤバいね、五条先生」
    あからさまに引いた顔をするから、表情豊かでよろしい。虎杖くんの良いところでしょう。
    「びっくりしました。でも、お坊ちゃまなのは確かなので。御三家の当主ですし…」
    「すごく金持ちなのは知ってたけど、その歳になるまでお店に行った事ないのもびっくりだよ。回転寿司とか驚きそうだね」
    「あ、その伝説もあります。回らない寿司しか知らねーよって言ってました。それにも周りが引いてましたよ。ファミレスも入った事なかったって、言ってましたし…伝説がいっぱいなんですよ。五条さんは…面白くて、可愛いでしょう?」
    可愛い?自販機みたいにデカい男が?
    伊地知はホワホワと笑ったが、虎杖は首を傾げた。
    左耳には小さな小さなピアスホールが空いている。
    「伊地知さん、ピアスしてたの?」
    「あぁ、そういえばその話…してなかったですね。これも伝説なんですが………」
    カフェラテを一口飲んで、学生時代の思い出を語り始めた。




    バチーーンッ!!とものすごい音がして、伊地知は瞬きを何度もした。
    何度見ても、五条先輩が跨って僕の上に乗っている。
    身動きも取れず、なんだか分からないまま、音にビックリして固まっていた。
    枕元の時計の針は5時くらいを指している。
    カーテンレールの隙間から天井へ白い模様が這い出ている時間。
    挨拶をすべきなのか、それとも悲鳴を上げるべきなのか…。
    16歳の僕には分からない事だらけの毎日。
    きっと泣いてしまうだろう、なんだか怖くて、夢から覚めた時に金縛りにあっているみたいだ。
    お布団の上から五条先輩がズッシリと乗っているから、幽霊より物理的で怖い。
    「……ぁ…ァ、」
    寝起きの声が掠れて言葉を紡げない。
    五条先輩の手が僕から引いて、代わりに顔が近付いた。
    左側の耳元に「ソレ、外すなよ」と囁いて、少しだけ指で触った。
    なんだか、耳たぶがじんわりと痛い気も…する。
    でも思っていたような痛みもない。気がする程度で、ビックリしている。それよりも衝撃音の方が驚いた。
    デッカいホチキスのバネが弾けたような、そんな音。
    「……ご、五条先輩?」
    「マキロンで消毒しな。でも外すな」
    「…消毒…えっ」
    耳たぶを触ると、カチリと硬い金属っぽい感触。
    指を見たら、ちょっとだけ血が着いた。
    やっぱり、ピアスってやつかな…?なんで?
    「お前、弱っちいから」
    「……僕、弱いから、ピアス着けるんですか?」
    「そうだよ。悟くん特製だぞ。喜べ」
    「………」
    黙っていたら、五条先輩はムッとして立ち上がって舌打ちをした。
    怖いから「ありがとうございます」と言っておいた。
    「…あっそ、じゃーな」と部屋を出て行ったけれど、どこから入ったのか分からない。
    鍵を開けて、出て行ったから…多分窓かな?
    カーテンを開けると、朝日が入って来た。
    窓の鍵は閉まっていた。
    「密室……!?」
    五条先輩……だからなんだろう。
    五条悟なら出来る、それが理由だろう。
    16年しか生きてない僕には分からない事なんだ。
    洗面台へ顔を洗いに向かう。
    鏡に映った地味な自分と華美なピアスの似合わなさに、顔を歪めた。
    五条先輩のキラキラな瞳みたいな石が着いたピアスが、僕の平凡な顔の隣にある事が嫌だった。
    その後も仕方なく着けていたら、家入先輩に事情を聞かれ、話すと治してやると言われた。
    ありがたかったが、治してもまたやられそうな気もして、断った。
    学長に怒られたらしい五条先輩の頭にたんこぶがサーティワンアイスクリームみたいに乗っていた。
    人の体に勝手にピアスを開けるのは、傷害罪になるだろうか?
    きっとなりそうだ。
    毎日マキロンで消毒して、ピアスホールが出来てしまった。
    不良とか若気の至りなら、なんか面白おかしくなるけど、僕の左耳には似合わない恥ずかしい記憶にしかならなかった。




    「数年後に知ったのですが、あのピアスは呪具で、お守りだったみたいです。おかげさまで無事に生きて来れましたし…」
    五条悟の伝説、ピアス勝手に開ける事件を聞いた虎杖くんはポテトを食べながら引いていた。
    「人の体に勝手にピアス開けるのは、傷害罪じゃない?あと、不法侵入も」
    「あ…そうですよね、不法侵入も忘れてました。あはは」
    伊地知さんは苦笑いした。この雰囲気も庇護欲を誘うのではないかと、虎杖は思った。
    きっと五条先生は伊地知さんが心配だったんだな。でも、心配って…なんでだろう。
    「ピアス、もうしないの?」
    「はい。必要ありませんから…もう、自分の事は自分で守れますし…」
    左側のピアスはもうしてないけれど、今も昔も私はあの人の物ですからねぇ…。
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