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    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

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    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

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    幽霊けっけの続きです👻

    #K暁

    「KKってさ、もしかして…獏だったりする?」
    『……はぁ??』
    寝る前に突然何を言い出すかと思ったが、暁人は真剣なようだ。
    『なんでそう思ったんだよ』
    「最近、夢を見なくなったんだよね」
    『よく眠れてるってことだろ、いいことじゃねぇか』
    「そうなんだけどさ…思い返してみれば、KKが帰ってきたころからなんだよね。それまでは良い夢よりも怖い夢ばっかり見ていたのに今ではパッタリ見なくなったんだ」
    不思議だろ?と暁人が笑うと、KKもつられて笑う。
    『獏か…ま、妖怪に例えられるってのは悪い気はしないねぇ』
    「ははっ、妖怪なら何でもいいの?」
    『バカ言え、どうせなら強くてカッコイイのがいいよ』
    KKと会話していると、段々と眠くなってきて暁人の返答が曖昧になる。そろそろ寝た方がいいぞ、とKKが促すと暁人は眠気に抗うことなくそのままスヤスヤと寝始める。
    しばらくして、KKがふよふよと霊体の姿で暁人の体から抜け出す。じっ…と静かに見下ろすと、次第に暁人の表情が苦しげなものになる。
    ああ、また干渉してきやがったな、とKKは顔を顰めた。再び暁人の身体に戻り、今度は夢の中に入り込む。
    夢の中ではマレビトたちが暁人を追いかけていた。
    「ったく、好き勝手しやがって…」
    夢の中というのはとても都合がよくて、KKがイメージすればその通りになる。だからここでは思う存分生前のように戦える。KKが右手を構え、風のエーテルを指に宿すと暁人に襲いかかろうとするマレビトを一撃で仕留める。
    「オレの相棒に手を出すんじゃねぇよ」
    次々に現れるマレビトたちをKKは一掃していく。最後のマレビトを仕留めると、KKは夢の中の暁人に近づいていく。
    「KK……助けてくれてありがとう……」
    「なぁに、このくらいは余裕だよ」
    KKが暁人の頭を軽く撫でながら「ほら、いいから寝とけ」と言えば、夢の中の暁人は安心して眠りにつく。悪夢を見る度、KKはこうして暁人を守っていた。
    再び暁人の体から抜け出し寝顔を見ると、それは穏やかなものに変わっていた。暁人のその穏やかな寝顔を確認して、KKは普段通り暁人の身体の中へと戻る。暁人は獏と言っていたが、似たようなものだろうとKKは思った。暁人が悪夢にうなされればKKはすぐさまその原因を叩く。暁人の安眠のためもあるが、夢の中にでも干渉してこようとするマレビトたちをKKは許容できなかった。
    現実では戦えなくとも夢の中でなら暁人を守れる。それはあの事件に巻き込んでしまった、自身の力を与えてしまったせめてもの罪滅ぼしのつもりでもあった。
    不思議と、暁人は夢を見た事さえも忘れてしまうようでそこはKKにとっても好都合だった。夢の中でこんなことをしているとわかれば、暁人の性格上申し訳ないと思うだろう、そこまで気を遣わせるつもりも感謝の言葉が欲しい訳でも無かった。

    翌朝、いつも通り金縛りで暁人を起こす。もうすっかり起こされるのに慣れたのか、最近では文句も言わずすんなり起きるようになった。
    「おはよう、KK」
    『おう、おはよう』
    暁人がふふっと笑いながら「今日は久しぶりに良い夢を見たんだ」と言った。
    『ほぉー、どんな夢だ?』
    「KKが僕を助けてくれる夢」
    もう何度も悪夢から救ってはいるが、朝になってまで覚えていたのはこれが初めてだった。
    「やっぱり、KKは獏だったね。怖い夢を食べてくれたんだろ?」
    『さぁ、どうだかなぁ。オレじゃないかもしれないぜ?』
    「僕がKKを見間違えるとでも思う?」
    ありがとうKK、と暁人が小さく呟いて
    「これからも怖い夢から守ってくれる?」
    暁人が素直にお願いするものだから、感化されてKKもつい『当たり前だろ』と素直に答えてしまった。
    気にかける必要はなかったな、とKKが少し安堵すれば暁人が得意げに笑う。
    「KKのことだから、巻き込んだ責任だとか力を与えた罪滅ぼしとか考えてたんだろうけど、そんなこと気にするなよ」
    舐めないでよね?と暁人が言うと、KKは
    『随分と頼もしくなったなぁ、暁人』と少し嬉しそうな声色で返した。

    それから吹っ切れたのか、良い夢にもちょくちょく現れるようになったKKは、敢えて朝まで記憶に残るようなことまでするようになり、それはそれで暁人を悩ませることになるのはまた別の話。
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    32honeymoon

    CAN’T MAKEたまには肉体アリif世界のけけあきちゃんたち。
    ・Kも暁もお互いべた惚れです。あまあま砂糖吐きちゅうい。
    ・常にKおじ視点です。台詞回しに違和感があったらごめんなさい。
    ・特に本編のネタバレはありません。あまいちゃパラレルワールドの2人だと思っていただければ。
    ・えちえちシーンはまた別途。というわけでとても短いです。えち期待してたひと、明日までお預けね。
    『どこまでもふかく、きみと一緒に』「なあ、明日は外食でもしようぜ?たまにはいいだろ」
    ふと思い立ってかわいい恋人をデートに誘ってみたというのに、返ってきたのはつれない答えだった。
    「ごめん、夜コンビニのバイト入れちゃってさ。人足りないって言うから、引き受けちゃったんだよね」
    「はあ?前もンな事言って無かったか」
    「うん。まあ、この時間その分時給もいいしね。明後日は3限からだから、遅くなってもなんとかなるかなって」

    …全く。お人好しも大概にしろよ。折角の誘い断りやがって。
    何となく面白くなくて、オレはふと、こんなことを聞いてみた。

    「なあ。暁人クーン。オレとバイトと、どっちが大事なんだよぉー」
    「…は?」

    突然の言葉に、文字通り目をまん丸くして、皿洗いを終えたばかりでエプロンを外す手が止まる。
    1529

    na2me84

    DOODLE #毎月25日はK暁デー
    参加させていただきました。お題は『匂い』
    厭世的で嫌煙家の暁人くんのお話。
    sensory adaptation 雨の夜が明け家族とも一夜の相棒とも別れて、僕は日常に戻ってきた。妹を取り戻すことは出来なかったから、今までと全く同じという訳にはいかないだろうけれど、とにかく僕は一人生き残ったわけだ。それに意味があるかはまだ分からない。それでも、とりあえず僕がやらなければいけない事がまだ残っている。向こうで両親と共に旅立つのを見送った妹の現世での抜け殻に病院で対面し、身体も両親の元へと送り出した。その日は青空にふわりと薄い雲が浮かぶ、良く晴れた日だった。この世のしがらみを全て捨てて軽くなった妹は、きっと両親と共に穏やかに笑っているだろう。そうであって欲しい。

     追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。
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