「お兄ちゃん、起きて」
「やだぁ~」
あれから1ヶ月後、暁人の心は完全に元に戻った。今では以前と同じように生活をしている。のだが
「KKさん困っているでしょ!!」
「しゅ~ん」
なぜか俺も一緒に暮らす羽目になって今は暁人の抱き枕代わりにされている。
「ほら、お兄ちゃん起きて!」
「あぅ~」
「もう!お兄ちゃんのバカ!!私先に学校行くからね!」
「うにゃ~」
そう言って麻里は学校へ行ってしまった。
「むぅ~」
暁人は戻ったと言うよりかは幼児退行した感じになっている。俺にベッタリと引っ付き、無理に離そうとすると泣くことがしばしばあるのだ。まぁ可愛いんだけどな。
「さてと、今日は何しようかな?」
とりあえず俺は暁人の腕を退かすと着替えを済ませてキッチンに行くことにした。
「あー暁人のうまい飯が食いたいなー」
棒読みでそう言うと暁人が布団から飛び起きてキッチンに突撃し、調理を始める。
「今日のご飯はオムライスだよKK!」
「おおーありがとうな」
頭を撫でると嬉しそうな顔をする。この笑顔を見ると頑張れる気がする。
「今日はアジトに行くか?」
「行くよ~」
「じゃあ準備していこうぜ」
俺たちはいつも通りの準備をして家を出て、アジトへ向かう。
「花に水やったか?」
「まだやってないやってない」
ボウルに水を入れ、ベランダに置いてある植木鉢に水をやる。植木鉢にはあの時の青い花が咲いている。部屋の中で生い茂っていたもの一部を植えて、残りは処分した。
「よしっと、そろそろ行こうぜ」
「うん」
俺達はアジトに向かって歩き始める。暁人はまだ眠たそうだ。
「おい、寝るんじゃねぇぞ?」
「大丈夫だよぉ~」
と言いながら暁人は目を擦っている。本当にこいつは子供みたいな奴だ。でもそんな所も含めて好きなんだよな。ただし身長は242cmだがな。デカイ図体で寄りかかろうもんなら押し潰されちまいそうだ。で、今俺は脇腹に抱えられている。
「僕とKKが初めて会った日って覚えてる?」
「お前が怪異扱いされたあの時か」
「あの噂流したの誰なの?」
「少なくとも俺が流したものじゃない。まあ、心当たりならいるが」
「そう?なら落とし前つけてもらわないとねぇ」
「暁人、怖いぞ・・・」
「ふぇっ!?ごめんなさい!!」
急に素に戻るのやめてくれませんかね?心臓に悪いんですけど。
「でも僕は許せないんだよね」
「何がだ?」
「僕のこと何も知らないくせに噂だけ流して馬鹿にしてさ」
「そりゃ仕方ねえよ。だってお前のこと知らなかったんだから」
「それは分かってるけどさぁ」
一方で
「ハックション!なんか噂されてる?」
どこかの少年が盛大なくしゃみをしていたとかいなかったとか。