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    Hakuaisan(GWT)

    @Hakuaisan

    二次創作てんこ盛り野郎

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    Hakuaisan(GWT)

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    いや、うちの子がいきなりのどっか行くわ社見つけるはお札剥がすわで

    「ったくなんで俺らが」
    「仕方ないじゃん、凛子さん頼まれたんだし」
    「だからってよぉ」
    「文句言わないの。ほら早く終わらせてご飯食べに行こう?」
    「だからって麻人連れて来なくてもいいだろ」
    「5歳児を一人にさせる訳にはいかないし」
    車の中で何気ない会話をする二人。後部座席に座っている麻人はうさぎのぬいぐるみを抱えながら退屈そうに外を眺めている。
    「まぁ、それもそうだな・・・さっさと済ませるか」
    「もうすぐ着くと思うけどな」
    退院してから暁人は俺達の仲間に加わって、暫くが経った。経験は浅いが、『力』の方は俺と比べ物にならないほど強く、保留にしていた依頼をグッと減らすほどだった。仕事時に着ている黒のスーツはあいつから貰い、サングラスと耳飾りと煙管は猫又から貰ったものだ。どちらも退院祝いでなのだがそれにしては豪華すぎる。それは置いといて、麻人の方に目をやると欠伸をして眠そうな顔をしている。その姿を見て俺は苦笑した。
    「眠たいのか?」
    「うん・・・」
    「寝るか?まだ時間あるぞ」
    「うーん・・・」
    不服とでも言いたげな顔だが、すぐに諦めて首を横に振った。
    「じゃあおきてる」
    「無理するなよ」
    抱えているぬいぐるみの頭部を握りしめながら返事した。
    「麻人がご機嫌斜めだぞ」
    「時速100キロ出していい?」
    「公僕の前で法律違反する気か?」
    暁人と軽口を叩き合う。
    「着いたぞ」
    目的地に着くと車を降りる。麻人はぬいぐるみの耳を鷲掴みにして降りてきた。うん、平常運転だ。
    「ここであってんのか?」
    「ここって言われたし」
    「お前の方で何か手に入れたか?」
    「ここの近くで山火事があったことくらい」
    暁人がスマホの画面をこちらに向けてくる。そこにはこの辺りの写真が何枚も貼られていた。
    「これ見てみ」
    指差された場所をみると古い新聞の切り抜き写真だった。記事の内容は山火事のことが書かれている。
    「おい、麻人は?」
    「麻人ならここに・・・」
    辺りを見回すが麻人が見当たらない。嫌な予感が頭を過る。
    「まさか!?」
    「落ち着け!とりあえず探すぞ!」
    「う、うん」
    麻人の名前を呼びながら走り回る。どこに行ったんだ?こんな山奥で迷子にでもなったら・・・
    「あそこにいないか?」
    暁人が遠くを指差しながら言った。確かに小さい影が見える。
    「麻人!」
    呼びかけるもそのまま奥へと進んでいく。麻人の後を追いかけると小さい社のようなものが立っていた。その周りには木が生えておらず、広場のように開けている。年月が過ぎていたのか全体が朽ちて苔も生え散らかしており、扉についている札は今にも剥がれそうだった。
    「いるの」
    「え?」
    「なかにいるの」
    麻人が社を指差しながら言う。確かに『何か』がいる気配を感じる。すると麻人はいきなり札を剥がした。
    「おい!」
    慌てて止めようとしたが間に合わず、衝撃音と共に社の扉が吹き飛んだ。中から黒い煙が立ち込めてくる。
    「ゲホッゴホっ・・・」
    「大丈夫か?」
    「なんとかね・・・」
    咳き込む暁人を介抱しつつ、俺達は社に目を向ける。そこから出てきたものは全身が黒い霧のようなものに包まれた人型の何かだった。眼光が赤く、低い姿勢でこちらを見ている。
    「話が通じる相手じゃなさそうだな」
    唸り声を上げるそれは獣の耳や尾が見えさながら狼男のような姿をしていた。明らかに人間離れしているそれは俺達を敵として認識しているようだった。麻人はというと
    「お前怖くないのか?」
    「ん?」
    何事もなく突っ立っていた。それどころか何かを試したそうにしているように思えた。
    「麻人、下がってて」
    「暁人、俺達のでる幕はないみたいだぞ」
    「でも」
    それが麻人に飛びかかった途端、麻人は手を振り上げるとそれは空中で動きを止め地面に叩き落とされた。落ちたそれに麻人は頭の辺りに手をかざすと何かが出てきた。黒い不定形の塊が浮かび上がると、それは麻人の手に吸い込まれるように消えていった。
    「なくなってる?」
    確かに暁人の言う通り、邪悪な気配がなくなった。黒い霧が晴れたそれは人間に獣の耳と尻尾が生えたような姿だった。
    「これって・・・」
    「妖狐の類いか?」
    麻人は倒れ伏しているそれに近づき、じっと見つめる。それは気絶しているのか動くことはなかった。
    「つれてってもいい?」
    「だめだ」
    「ぶ~そんな~」
    麻人は頬を膨らませて不満を露にする。
    「とにかく駄目なものはダメなんだ」
    「KKが犬嫌いなだけでしょ」
    「妖怪だぞ、安心できるか!」
    「なんで!?ちゃんとおせわするしにげないようにとじこめるから!」
    「それはアウトだ!!」
    閉じ込めるという発言がまずい。しかもこの様子だと監禁は確定だろう。
    「それはだめ」
    「だよな」
    「せめて散歩くらいさせてあげないと」
    「おい!」
    俺の心配を無視して暁人は麻人に提案する。
    「じゃあかってもいい?」
    「もちろん」
    「ちょっと待てぇ!!!」
    二人の会話に思わず割り込んでしまった。
    「とりあえず家にに連れて帰ろう、話はそれから」
    「ったく・・・」
    暁人は上着を着せると麻人の隣の座席に座らせた。長い髪の隙間から顔が見えたが整っていた。
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    32honeymoon

    CAN’T MAKEたまには肉体アリif世界のけけあきちゃんたち。
    ・Kも暁もお互いべた惚れです。あまあま砂糖吐きちゅうい。
    ・常にKおじ視点です。台詞回しに違和感があったらごめんなさい。
    ・特に本編のネタバレはありません。あまいちゃパラレルワールドの2人だと思っていただければ。
    ・えちえちシーンはまた別途。というわけでとても短いです。えち期待してたひと、明日までお預けね。
    『どこまでもふかく、きみと一緒に』「なあ、明日は外食でもしようぜ?たまにはいいだろ」
    ふと思い立ってかわいい恋人をデートに誘ってみたというのに、返ってきたのはつれない答えだった。
    「ごめん、夜コンビニのバイト入れちゃってさ。人足りないって言うから、引き受けちゃったんだよね」
    「はあ?前もンな事言って無かったか」
    「うん。まあ、この時間その分時給もいいしね。明後日は3限からだから、遅くなってもなんとかなるかなって」

    …全く。お人好しも大概にしろよ。折角の誘い断りやがって。
    何となく面白くなくて、オレはふと、こんなことを聞いてみた。

    「なあ。暁人クーン。オレとバイトと、どっちが大事なんだよぉー」
    「…は?」

    突然の言葉に、文字通り目をまん丸くして、皿洗いを終えたばかりでエプロンを外す手が止まる。
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