「お前子供いたのか」
「お前にまで言われるとは思わなかった」
麻人の七五三のために神社に来たが宮司にまで言われると思わなかった。「宮司の知り合いがいるならそっちで済ませようか!」と暁人が言い出したので行った結果がこれだ。
「まあ、再婚相手の連れ子だけどな」
「写真撮るよ~!」
当の本人は我が子の晴れ姿を一眼レフとスマホに収めようとしているところだ。女の姿になってカメラを連写している。
「あれが再婚相手か」
「暁子って名前だ」
「あ、初めまして~KKの妻の暁子で~す」
暁人は麻人を連れて宮司に挨拶をする。
「ダメよ麻人、人の股間を狙うなんて」
麻人がいつものように相手の股間を狙おうとしたので、暁人が麻人を羽交い締めにしてそのまま上げる。
「で、俺の息子だ。麻人って言うんだ」
「連れ子にしてはお前に似てないか?」
「気のせいだろ」
「はなせ」
「だーめ」
降ろせと足をバタバタさせていた麻人だが、暁人の一声で大人しくなる。大人しくなったところで地面に降ろす。
「奥さんの尻に敷かれてそうだな」
「なんだと」
「間違いじゃないけどね」
暁人の視線が俺に刺さる。そういや財布の紐握られていたわ。月の小遣い5万円。
「それだけ愛されているということじゃないか」
「だからといって束縛はNOだ」
「愛と呪いは似たようなものだしな」
「最近はやけに麻人と俺にベタベタしてくるが」
「えーそうかなー?」
暁人が俺に抱きつき、後ろから柔らかい触感が伝わってくる。
「お前そういうとこだぞ」
「これでもかってのは伝わってきた」
「暁子、引かれてるからやめてくれ」
「減るもんじゃないし~」
宮司が引くほどの愛を見せつけているという時点で俺も引いてんだよ。
「それはそうと。KK、彼女から妙な気がしないか?化けの皮を被っているように見えるんだ」
「・・・へぇ、分かるんだぁ」
暁人が不適な笑みを浮かべて俺から離れると女の姿から元の男の姿に戻る。
「これは驚いた」
「騙している訳じゃないんですけどね」
「改めて紹介するが」
「KKの愛人の伊月暁人で~す」
「はぁ!?」
女の姿の口調で言うから驚いた。てか堂々と愛人言うな。
「お前な・・・」
「だって本当のことだし」
「この様子だとその子供もただの子供じゃないだろうな」
「あーそうだよ!!」
収集がつかなくなり半ばヤケクソになる。
「信じられないと思いますけど麻人は僕が産みましたし。だってこの子は僕の大切な子供なんですからね♡」
暁人は死んだ目で麻人を後ろから抱きしめ、麻人も嫌がる様子も見せずに身を委ねている。
「・・・寒気しないか?」
「奇遇だな。俺もだ」
宮司とお互いに背中がゾクッとした。その後七五三のお祓いの最中、心霊現象が起きたのは言うまでもない。