ドレッサーの鏡越しにモクマと目が合う。今日だけで何度目になるだろうか。チェズレイは嘆息した。
ベッドの縁に腰掛けて足を投げ出している男は、チェズレイの身支度が終わるのを黙って待っている。
他にやることもあるだろうに、モクマはチェズレイの顔面の変化に興味津々のようだ。
数種類のパウダーやジェルを塗り重ねる度にチェズレイの左目に咲いていた醜い徒花は消えていく。元の皮膚と境目が混じり合って肉眼では見分けがつかないところまで完璧にメイクし、チェズレイは振り向いた。
琥珀色の熱い視線へ絡みつく。
チェズレイの顔を眺め、モクマの眦が柔らかく下がった。
「や〜、何度見ても素敵だ。キズがあるなんてここからじゃちっとも分からんよ」
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