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    ムー(金魚の人)

    @kingyo_no_hito
    SS生産屋

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    POIPOI 61

    モクチェズワンライ0709「太陽」で参加です。
    モさんの熱視線に灼かれるチェの話。

    #モクチェズ
    moctez

    照射される熱に肌を焼かれる。
    白光の下に晒された肌が熱を帯び始める。
    真っ白な雪原の上に淡いピンク色の華が咲き乱れる。首筋を走り撫でる珠雫の汗は華の露に似ている。
    熱せられた空気が肺から押し上げられ、喉を駆け抜け、浅い呼吸となってチェズレイの口から飛び出る。
    興奮と高揚が形になった吐息がチェズレイの前髪を揺らした。
    目視では決して捉えられない不可視の光が白い肌に惜しげもなく注がれる。
    それを防ぐ術はない。
    身を覆う布はすべて取り去った。もちろん、己の意思で。

    今日、「太陽」に肌を晒すのは2回目だと言ったら、モクマはどんな顔をするだろうか――
    茹だった頭で夢想する。

    日中、チェズレイはモクマと共にプライベートビーチへ降り立った。
    島まるごとひとつが今回の拠点だ。南国の小さな人工島にひっそり建つ白い洋館の裏側には砂浜が広がっていた。穏やかな波に太陽光が反射して煌めいている。
    ここへやって来てから太陽は毎日顔を出している。流れる白い雲を窓から眺めるモクマは、海に出たがっていた。チェズレイを誘うか迷う瞳を見て、チェズレイは自らビーチへ出たいと口にした。
    陽の光に肌を晒すのは苦手だった。体質ゆえか白磁の肌は太陽光線ですぐに赤くなってしまう。毛先まで愛でる髪は傷んでしまうし、なにより暑さが体力を奪う。
    だから夏季が訪れる国に夏季真っ盛りに来ようなんて考えてこなかった。モクマに出逢うまでは。
    海に安寧を抱く彼の顔を観察出来るのならば、自分の身体的忌避感など些末だ。

    ビーチへ出たふたりを太陽は熱烈に歓迎する。
    熱をもった光が肌をさす。
    (あつい……)
    砂へ足跡を付ける前から分かりきっていたことを、それでも考え、恨まずにいられない。
    「チェズレイ!」
    暫く砂浜を散策した後、岩陰で休んでいたチェズレイのもとへモクマが小走りでやって来た。
    「ピーチジュース作ってきたよ。冷たくて美味しいよ」
    飲むかどうかも尋ねず、モクマはグラスをチェズレイの手へ押し付けてきた。
    透明なガラスに張り付く珠雫がチェズレイの指を伝い走る。ひんやりした感触が気持ち良い。
    黄色いストローに唇を付けて、息を吸い込む。冷えた桃の果汁が喉を通って胃へ落ちていく。
    くどいようで優しい甘さと冷たさは熱せられた身体には有り難かった。鼻から抜ける白桃由来のフルーティーな香りが、暑さに参っていたチェズレイを癒やす。
    「まだお昼も回ってないってのに、ここの太陽は元気いっぱいだねえ」
    「ほんとうに。白い砂地に眩い光が反射して眼まで灼かれそうですよ」
    「ほんとぉ?」
    モクマが首を伸ばしてチェズレイの顔を凝視する。
    視線が絡む。
    体温が上昇する。
    「…………――」
    唇が軽く合わさった。
    それでおしまい。
    暑さにやられた頭が自分より低い位置にある艶々した唇に喰い付いただけ。それだけだ。
    チェズレイは空になったグラスを持って踵を返した。屋敷へと早足で進む。
    こんな熱いところにじっと立っていられなかった。
    「……いい桃だったろ」
    後ろからモクマの笑う声が追いかけてきていた。



    太陽が地平線へ帰って数時間後――
    今度は、白いシーツの波間にチェズレイは身を委ねていた。
    覆いかぶさるモクマの目がチェズレイの顔を、首筋を、胸を、腹を、つぶさに検分する。
    ひとつひとつがチェズレイの体温を上げていく不可視の熱光線となっていく。
    「……うん、日焼け止めたっぷり塗ったから、日焼けしてないね。よかったあ」
    「えェ、執拗にオイルを塗りたくってくれたお陰ですよ、守り手殿」
    「じゃあ、続けるね。チェズレイ……」
    「ぁ……」
    飲まされたピーチジュースよりも甘い声がチェズレイの脳を揺らした。
    眩む心。
    茹だる頭。
    オイルで守られていた肌は、モクマの熱視線を受けていともたやすく紅色に染まる。
    これまで愛され、これからも愛される身体はモクマが撫でるだけですぐに熱くなった。
    ここには涼む岩陰もなく、紫外線を遮断する日焼け止めクリームも効能を果たさない。
    熱する身を防ぐ術はないのだから、モクマの与える熱は太陽よりも質が悪い。
    だけど、とチェズレイは微笑む。
    愛を煮詰めたその熱が一等心地良い。
    どうぞ心ゆくまでこの身を焼き尽くして!
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    ☺💖💘💘💘🍑🍑🍑💖💖
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    AmatsuBmb

    DONE守ってあげたいDomなモと、構って欲しいsubなチェのどむさぶパロです。
    前半モ視点、後半チェ視点。

    画像(新書ページメーカー版)はツイッターで↓
    https://twitter.com/AmatsuBmb/status/1424922544155414530?s=20
    https://twitter.com/AmatsuBmb/status/1432684512656310281?s=20
    Dom/subユニバースなモクチェズ***

    「私たちもそろそろ、パートナーになることを考えませんか」

     二人が生活するセーフハウスの一室でなされたチェズレイの提案に、モクマは思考も動作も停止した。
     夕食を終え、二人は並んでソファに座っている。時折晩酌に付き合ってくれる相棒に、今日は酒は無し、と言われていたので、何か大事が話があるのだろうと思ってはいたのだが。
     パートナー? 俺たちは、すでに唯一無二の相棒だと思っていたのだが、違ったのだろうか。落胆しかけてすぐに、いや、違う意味なのだとわかった。

    「……おじさん、これでもDomなんだけど」
    「それが何か問題でも?」
    「へっ? ってことは――お前さん、subだったの!?」
    「ええ」

     男や女という身体的あるいは精神的な性別の他に、人間は第二の性別をもつ。それが、DomとSubだ。一般的に、Domは支配したい性、subは支配されたい性、と理解されている。欲求が満たされない状態が長く続くと、Domもsubも抑うつ症状などの体調不良を起こすため、特定のパートナーがいない場合は、一時的なパートナーとの行為に及ぶか、抑制剤を服用する場合が多い。
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    rio_bmb

    MOURNINGけっこう前(6月か7月?)に書いてたけど新情報が出るたびにお蔵入りにせざるをえなかったモクチェズのラブコメ。読み返したら一周回って記念に供養しとくか…という気持ちになったのでお焚き上げです
    同道後のラブコメ「おじさんを好んでくれる子はいないのかなあ……」
     などとわざとらしく鎌をかけてみたこともあったのだが、あの時は正直なところ半信半疑だった。
     何せ相手が相手だ。都市伝説になるような詐欺師にとって、思わせぶりな態度を取るなんてきっと朝メシ前だろう。そう思うのと同時に、自分を見つめる瞳に浮かぶ熱が偽りとも思えなかった。
    (ひょっとして、脈アリ?)
    (いやいや、浮気って言っとったしなあ)
     その浮気相手にあれだけ心を砕く律儀者が、本命を前にしたらやはり相討ちも辞さないのではないだろうか。あなたと違って死ぬ気はないとは言っていたものの、刺し違えれば勝てるとなればうっかり命を懸けてしまいかねない。彼の律儀さはそうした危うさを孕んでいた。だからその時は脈があるかどうかより、ただ復讐に燃えるチェズレイの身を案じていたのだ。約束で縛ることは叶わず、己では彼の重石にはなれないのかとじれったく思ったのも記憶に新しい。
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    💤💤💤

    MAIKINGヴ愛後のモクチェズ。モ母を捏造してるよ。モがぐるぐる要らないことを考えたものの開き直る話。
    間に合えば加筆の上で忍恋2の日にパス付きでR18部分を加えて展示します。
    【モクチェズ】その辺の犬にでも食わせてやる 何度か画面に指を走らせて、写真を数枚ずつスライドする。どんな基準で選んでるのか聞いてないが、選りすぐりです、と(いつの間にか傘下に加わっていた)"社員"に告げられた通り、確かにどの子も別嬪さんだ。
    (…………うーん、)
    けど残念ながら全くピンと来ない。これだけタイプの違う美女を並べられてたら1人2人くらい気になってもいいはずなんだが。
    (…………やっぱ違うよなぁ)
    俺はタブレットを置いてため息をつく。


     チェズレイを連れて母親に会いに行ったのはつい数日前のことだった。事前に連絡を入れてたものの、それこそ数十年ぶりに会う息子が目も覚めるような美人さんを連れて帰ったもんだから驚かれて、俺の近況は早々に寧ろチェズレイの方が質問攻めになっていた。やれおいくつだの、お生まれはどちらだの——下手すりゃあの訪問中、母とよく喋ったのはチェズレイの方だったかもしれない。それで、数日を(一秒たりとも暮らしてない)実家で過ごした後、出発する俺達に向かって名残惜しそうにしていた母はこう言った——『次に来る時は家族が増えてるかもしれないわね』と。
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