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    ムー(金魚の人)

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    モクチェズワンライ0917「暗躍」で参加です。ルクと通話するモクチェズ。

    #モクチェズ
    moctez

    『モクマさん、チェズレイ、こんばんは!あれ、でもそっちは陽が差してるみたいだから、こんにちは、かな?それとも、おはようございます?』
    タブレット画面いっぱいに映されたルークの顔が、右に左に揺れ動く。些細なことで頭を悩ませているボスの愛おしい様子に、モクマとチェズレイは頬を緩めた。
    「おはようございますこんにちはこんばんは、ボス」
    「ははは、攪乱させとる。こんにちは、ルーク。こっちはお昼になったばかりだよ」
    モクマがひらひらと手を振る。根城にしているホテルの窓から注ぐ陽射しが、モクマの手を白く照らしていた。
    モクマたちがいる国はルークのいるエリントンとは半日の時差がある。ここは昼時だが、エリントンは深夜だ。
    ルークはTシャツ姿だった。風呂上がりなのだろう。髪が少しボリュームを失っていた。
    『お昼時にすみません。お邪魔になってませんか?』
    とんでもない、とすかさずチェズレイが答えた。
    「ボスとの通話はたとえ槍が降ろうが銃弾が降り注ごうが何より優先すべき事項ですので、お気になさらず。ところで、仕送りは無事に届きましたか?」
    チェズレイが水を向ける。ルークは『そうそう、その話がしたかったんだ』と前置きし、続けた。
    『いつもありがとう。野菜以外も、その、助かり過ぎててさ。こないだ君が送ってくれた詐欺グループの資料が決め手になって、無事に犯人を捕まえることができたんだ』
    「そして、ボスは無事に昇格したと。おめでとうございます、ボス。警視総監へのステップを確実に昇られておられる」
    チェズレイが慈しむように目を細めたのを、モクマは横目で捉え、微笑んだ。
    『どこでそれを!?って、今更驚かないよ。今回の昇格には少なからず君とモクマさんの支えがあったからこそだと思ってる。だから、その御礼を伝えたくて電話したんだ』
    「フ、ボスの健闘あってこそですよ」
    「そうそう。あの詐欺グループの悪行にはこっちも困ってたんだ。捕まえてくれてありがとね、ルーク」
    モクマは笑顔を浮かべた。あの情報を得るにはそこそこ骨が折れたが、ルークが頑張ってくれたお陰で報われた思いだ。

    ルークとの通話を終えた後、チェズレイはモクマへと向き直った。凛とした瞳には明るい星が瞬いている。
    「さて、今夜もひと仕事お願いしますね、モクマさん。我々のターゲットが持つ情報のひとつに、ボスが追っている事件が関わっているのです」
    モクマが心得たと頷き返す。
    「あいよ。光あるところに闇あり――」
    「――ボスの栄華の影には忍びと詐欺師あり、ですからね」
    「ははは、暗躍もほどほどにね」
    モクマは苦笑した。
    きっとチェズレイはルークが警視総監になるその日まで影から手厚く支え続けるつもりだ。
    モクマもまた、そんなチェズレイに付き添い続ける覚悟である。

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    ぱんつ二次元

    DONEED後時空で海と雪原のモクチェズのはなし。雪原はでてこないけど例の雪原のはなし。なんでもゆるせるひとむけ。降り積もる雪の白が苦手だった。
     一歩踏み出せば汚れてしまう、柔らかな白。季節が廻れば溶け崩れて、汚らしく濁るのがとうに決まっているひとときの純白。足跡ひとつつかないうつくしさを保つことができないのなら、いっそ最初から濁っていればいいのにと、たしかにそう思っていた。
     ほの青い暗闇にちらつきはじめた白を見上げながら、チェズレイはそっと息をつく。白く濁った吐息は、けれどすぐにつめたい海風に散らされる。見上げた空は分厚い雲に覆われていた。この季節、このあたりの海域はずっとそうなのだと乗船前のアナウンスで説明されたのを思い出す。暗くつめたく寒いばかりで、星のひとつも見つけられない。
    「――だから、夜はお部屋で暖かくお過ごしください、と、釘を刺されたはずですが?」
    「ありゃ、そうだっけ?」
     揺れる足場にふらつくこともなく、モクマはくるりと振り返る。
    「絶対に外に出ちゃ駄目、とまでは言われてないと思うけど」
    「ご遠慮ください、とは言われましたねェ――まぁ、出航早々酔いつぶれていたあなたに聞こえていたかは分かりませんが。いずれ、ばれたら注意ぐらい受けるのでは?血気盛んな船長なら海に放り出すかもし 6235

    rio_bmb

    MOURNINGけっこう前(6月か7月?)に書いてたけど新情報が出るたびにお蔵入りにせざるをえなかったモクチェズのラブコメ。読み返したら一周回って記念に供養しとくか…という気持ちになったのでお焚き上げです
    同道後のラブコメ「おじさんを好んでくれる子はいないのかなあ……」
     などとわざとらしく鎌をかけてみたこともあったのだが、あの時は正直なところ半信半疑だった。
     何せ相手が相手だ。都市伝説になるような詐欺師にとって、思わせぶりな態度を取るなんてきっと朝メシ前だろう。そう思うのと同時に、自分を見つめる瞳に浮かぶ熱が偽りとも思えなかった。
    (ひょっとして、脈アリ?)
    (いやいや、浮気って言っとったしなあ)
     その浮気相手にあれだけ心を砕く律儀者が、本命を前にしたらやはり相討ちも辞さないのではないだろうか。あなたと違って死ぬ気はないとは言っていたものの、刺し違えれば勝てるとなればうっかり命を懸けてしまいかねない。彼の律儀さはそうした危うさを孕んでいた。だからその時は脈があるかどうかより、ただ復讐に燃えるチェズレイの身を案じていたのだ。約束で縛ることは叶わず、己では彼の重石にはなれないのかとじれったく思ったのも記憶に新しい。
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