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    オサハタ

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    オサハタ

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    の続き

    #半サギョ

    Knights of Night⑧「朕は一族最後の吸血鬼なのじゃ」
    「は 急になんだよ!」
    「そなたらと結んだ取り決めに従って事の経緯を明かしておるだけじゃが?」
    「そういうことかよ! ……いやそれにしても!」
    歩き出してすぐ、突拍子もない話を始めた吸血鬼は、どうやら『事情は道すがらに話す』という自分の宣言に従っているらしい、けど──
    「入りが重い!」
    「仕方なかろう? 事実じゃ」
    「……じゃあ家族、は、いないってこと?」
    「うむ」
    「……ふぅん」
    吸血鬼に寿命はない、けど弱点はあるから不死身じゃない、それにゴビーみたいに偶発的に吸血鬼化する場合もある、その辺りは知ってる、だから天涯孤独でも不思議じゃない。
     だけど、こいつは今『一族』って言い方をした、だからきっと、少なくとも何代かは続いていて肉親に当たる吸血鬼は複数いたはずなんだ。
     それが今はいない、という、こと。
    「朕の一族は故あって同族から畏れられていての、それを屠ったとなれば名を上げられると意気込んだモノたちに、みな葬られたのじゃよ」
    「え、な……吸血鬼同士で?」
    「珍しいことではない、人間同士でもあるじゃろう? まぁここ最近は大分減ったようじゃがのう」
    「……箔付けか」
    そう言ったのは僕じゃない、少し前を歩いている先輩だ。
    「己より高名な相手を討って成り上がる、確かに人の歴史の中にもそれが盛んだった時期がある」
    「そう、名だけが一人歩きしてこれといった能力も持たぬ我が一族はその格好の餌食となったわけじゃ」
    「え、ちょっと待ってよ、能力もなしに名前だけ有名だったの?」
    今度は僕が聞くと吸血鬼はからからと笑った。
    「そういうこともあるのじゃよ、ただただ血が強いのじゃ」
    「血?」
    時に立ち止まり、気配の方向を確かめるためかあたりを見回してからまた歩き出す先輩に付いている僕ら──いや僕の身体だから僕ひとりと言ってもいいんだけど一応さ──は、繁華街の外れまで来ていた。
    「吸血鬼同士の争いはの、噛み合って強い血を持つものが相手を支配するのじゃがな──」
    「うん」
    それは聞いたことがある。
    「朕の一族は何故かこれまで一度の負けも無しの強さなのじゃよ!」
    「わざわざ立ち止まって胸張ってまで主張したいくらいに?」
    両手を腰に当ててふふんと鼻を鳴らしている隙に先輩はすたすたと先を歩いている。
    「そうじゃ。──そしてそれが仇となった」
    一転、両掌を天に向けてやれやれと首を振った吸血鬼は先輩の後に付く歩みを再開した。
    「己が眷属に出来ぬなら滅ぼしてしまえと、そういった考えのもとに結託した者たちの手に掛かったのじゃ」
    僕は何も言えなかった。この吸血鬼の言うことをどこまで信じていいのかは分からない、疑ってかからなきゃいけない、そう思ってはいても。
    「初めに突然消息を絶ったのは朕の大叔父であったな、来るたびに朕を外に連れ出しては昆虫や植物の話をしてくれた、外の世界をこよなく愛していた吸血鬼であったよ」
    立てた人差し指をくるくると回しながら語る吸血鬼。僕らはやがて人気のない丘を登り始めていた。
    「それからさして日を置かず、次に姿を消したのは朕の祖母、己に髪質が似ていると嬉しそうに笑ってはよく頭を撫でてくれた穏やかな吸血鬼じゃった──ぬぅ、道が悪くなってきたのぅ」
    気配を頼りに歩いている先輩と少し間が開き始めた。
     草が伸び放題の丘、確かに舗装された道よりは傾斜もあるし歩きづらいだろうけどそんなにか? と呆れていた僕を他所に吸血鬼は声を張った。
    「のぅ、ダンピールのぬし、待ってくれ」
    呼びかけに応じて足を止めて、身体半分振り向いた先輩にのんびりと追いついた吸血鬼が
    「手を引いておくれ」
    そう言って返事も聞かずに先輩の袖口を引いたからさすがにそれまで黙ってた僕も声が出た。
    「そんなにやわじゃねぇよ僕の身体はぁ!」
    「それは分かっておる、じゃがのぉ」
    「お前貧弱すぎ!」
    がなっても吸血鬼は手を離さない。先輩は僕の銃まで背負ってて大変なのに!そのせいなのか何なのかは分からないけどよく見たら先輩の顔──マスクしてるから見える範囲は少しだけど──がいつもより赤い気がする、そりゃそうだ、こんな状況での焦りもあるだろうし、と、申し訳ないなと恐縮半分吸血鬼への思い出し怒り半分で僕は内心地団駄を踏んだけど、
    「……夜明けまで時間がない、行くぞ」
    先輩は袖口を摘んでた手を掴んでまた歩き始めた。
    「うむ助かる」
    「お前の話が本当だとすれば多少の同情はするけれどもそれにしてもちょぉっと態度デカくない?ねぇ??」
    「そうかのぅ?」
    天然なのかわざとなのか分からない、大袈裟に首を傾げる動作がまた鼻について腹が立つ。身体が自由だったらこめかみの血管が破裂しそうな僕を知ってか知らずか吸血鬼はまた自由に話し始めた。
    「そういえばダンピールのぬし、そなたの名前を聞いておらん、名はなんという?」
    そうか、僕は先輩を先輩としか呼んでない、だからこいつ知らないんだ。
     でも別に、現状困ってないんだから知らなくてもいいだろうに。
     なんて思ってたけど
    「……半田だ」
    先輩があっさり名乗ってしまったので、なんだかがくっと拍子抜けしてしまった僕は、もうどうにでもなれよとまた少し拗ねた。
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