社長夫人を推してるモブ社員の話ホテルの大広間を借りた社の創立記念のパーティーは、今年は大きな節目だと言うこともあり一層華やかだった。自分達平社員もなんならその家族も参加して欲しいという豪快な社長の要望により、気怠い社内行事という雰囲気は無く皆着飾って楽しくこのひと時を過ごしているように見えた。彼女もいない独り身の自分はただひたすらに自分では買おうとも思わない高い酒とビュッフェを食べては同じような境遇の同僚たちとそれなりに楽しんでいた。
もちろん肩身が狭い、そもそも騒がしい所が苦手などの理由で参加しない同僚とかもいるのだが、自分にはある目的があるからこういう社内の催しには出るようにしている。
「藻部、食べてるな」
「はい、明日は何も食べなくて良いくらい食べて帰ります」
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