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    mimi_ruru_241

    @mimi_ruru_241

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    mimi_ruru_241

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    ベランダで煙草を吸うkbnと、ひとくちだけ吸っては顔を顰めるdndの話。自覚のある人と、自覚のない人。
    ※別所から移しました。感想等、ありがとうございました!

    #キバダン
    #kbdn

    体に毒だがあまったるい 別にそれを告げる必要はないのだけれど、おれさまはいつも「ちょっと一服」とまるで独り言のようにわざわざ呟いてからベランダへ出る。そうすると、ニコチン中毒でもなんでもなく、その肺はきれいなピンク色であるはずのダンデまでが「おれも、おれも」となにやらコソコソと呟きながら、おれさまの後をひょこひょこついて来るのだ。そうして、いちばん美味しいひとくちめをおれさまが味わったのを見届けると、またもや「おれも、おれも」とまるでエサを求める雛鳥のようにぴーちくぱーちく鳴いておれさまにまとわりつき、まだまだ美味しいふたくちめを奪ってゆく。そのくせ、ちょこっとふかしただけで「にがい。まずい」と顔を顰めては、ほんの数ミリも減っていない一本をおれさまへ突き返すのだ。
    「学ばないねえ、おまえも」と、瞬く間に返却された哀れな不健康を口の端に咥えると、ダンデは再び物欲しげな顔つきになる。その怪しげな表情に気づかないようなおれさまではないので、「もうやらないよ。もったいねえもん」と先手を打てば、目の前の男の唇がたちまちつんと尖る。
    「キミが吸ってるとうまそうに見えるんだ」
    「人のものを欲しがるのはいい趣味じゃないぜ、オーナーさま」
    「そういうんじゃないんだが」と首を傾げ、思いのほか真剣に、己の心の在り方を探し始めたダンデはやがて「キミが咥えた煙草は、甘そうに見える」と言った。
     ふうん、とさりげなく打った相槌の、端に灯った火にダンデはきっと気づいていない。
    「甘いのがほしいんだ?」
    「なんだか口が寂しくて」
     宇宙の果てまで分岐を重ねる選択肢のうち、無意識でも無自覚でも正解にたどり着いてしまうのは、きっとダンデという男が持つ天賦の才だ。恥ずかしげもなくおれさまを真っ直ぐ見つめるその瞳には、恥じらいも照れもない。この男、おそらくただただ「口寂しい」だけなのだと言っている。そういうことだと、思っている。
     火のついた吸いさしを指先でもてあそびながら、おれさまは考える。煙草を吸った後のキスは苦いと、どんな女の子にも嫌がられた。きっと今だってどこもかしこも苦いはずだが、ダンデの舌の上ではどうなるのだろう。おれさまが咥えたものが甘く見えてしまうくらいなのだから、きっと。
     ダンデの肩を掴んで引き寄せれば、無警戒の体はあっけなく胸の中へ落ちてくる。なんだよ急に、と抗議しかけた唇を親指でそっとなぞりながら、おれさまは言う。
    「そんなに欲しけりゃ、たっぷりあげるよ」
     空き缶に突っ込んだ煙草はぬるいコーヒーに溺れ沈黙する。こんな灰色の煙なんかで、おまえは満たされようとしなくていいのだ。
     もっと不健全で、不健康で、それでいていっとうあまったるいものに依存してしまえばいい。それなしではいられない体になってしまえばいい。そうしたらおれさまが、おれさまだけが、もういやってくらいに与えてあげるから。



    (体に毒だがあまったるい/2022.01.07)
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    mimi_ruru_241

    PAST「狂気の合同誌」にて漫画で描いたものの小説版。本のおまけでしたがこちらで供養。
    プロットありとはいえ小説の所要時間は三時間でした。漫画の方は時間かかりすぎて計測できてません。
    初クリスタ、とても刺激的な日々でした。素材とかCGモデルどころかトーンすら使いこなせてなかった。
    狂気の合同誌、本当にお世話になりました。ありがとうございました!
    ないしょのかたっぽ キバナ、イコール、完璧。ガラル中の人々がそう思っている、……らしい。
    「ね、キバナ特集だって」
    「貴重なオフショットも多数、かあ。本屋寄ってみる?」
     壁一面に貼り出された広告を前に、女の子たちが黄色い声を上げている。道端で眠るチョロネコに気をとられていて気づかなかったが、横目でチラと見たそれにはキバナが大写しになっていた。光沢のあるタキシードをかっちりと着込み、腕には大輪のバラを抱えている。ちょっと吹き出してしまいそうなくらいベタな格好だが、その余りあるルックスの良さが全てに調和をもたらしていた。
     すっと通った鼻梁、あまくほどけたまなじり、涼しげな薄い唇。ダークチョコレートの色をしたその横を、おれは立ち止まることなく通り過ぎる。この美しさにほれぼれとするなんて時期は、もうとっくの昔に過ぎ去った。慣れた、というよりも、もっと別のことを知ったから。
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    肴飯のポイ箱

    DONEリクエスト「食べ物」
    食べ物とkbdnの組み合わせは私も大好きです☺️✨🍽🍎どちらが料理得意なのかな?とか、どんな食べ物好きかな?なんて考えているとあっという間に時間過ぎちゃいます😌
    ※結婚後2人が大分一緒に生活している設定
    やっぱり甘いね 青々とした街路樹はすっかり葉を落とし、冷たい風と共に本格的な冬が今年もやってきた。結婚してからとうに片手以上の年数を一緒の家で過ごし、互いの好きな事、苦手な事を知ることも熟知してきたこの頃。寒さが苦手なキバナは毎日気温計を見ては溜息を吐きながらジムへ出勤している。寒さが比較的平気なダンデは、毎朝少しだけ早めに起きてリビングのヒーターの電源を入れ、ナックルジムのユニフォームをヒーター前で温めるように置く事が習慣になっている。
    「うぅー。あったか…。」
     なんて大きな体を縮めながらヒーターの前を陣取って着替える姿が何だか可哀想だが可愛いとダンデは思っている。

     さて、二人が暮らす家を決める時、ダンデが日向ぼっこが好きなポケモン達の為にとリクエストして作ったヴィクトリアンモデルのコンサバトリーは、日差しが暖かい日は多角形の窓から惜しみなく太陽の光を招き入れてくれる。今日は繁忙期の中では珍しく二人揃っての休み。そしてこの時期には珍しく気温も高く、風もない。最高の日向ぼっこ日和ということで、日向ぼっこ好き代表であるリザードンは午前中のトレーニングが終わった後からはいそいそとコンサバトリーへと向かい、一番日当たりの良い場所にお気に入りのラグを引きぐっすりと眠っている。
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