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    UsaUsa_mitumaki

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    やべぇ女王陛下とやべぇ3月うさぎがお話してるだけ

    とあるサーカス団の秘密獣たちの息遣い、屋台や見世物たちから流れる音楽、それを見て話すお客の声。そんな音という音が響き渡る空間の真ん中に居座る巨大なテント。サーカスのショーを行うメイン会場の更に置くの演者たちの控室にて、男と女の小さな話し声が聞こえてくる。
    椅子に座った女は長い三つ編みにピンク色のバニーガールのような衣装に身にまとい、目を閉じていてもわかる端正な顔立ちをしていているが、あらゆる関節についている球体が、彼女を人間ではないと語っている。そんな彼女の前に立つ男もまた目鼻立ちがよく、上下真っ黒な服を身にまとっていてもわかる美しさを持っている。そんな彼は濡羽色の髪をサラリと揺らしながら、女の顔と向き合い、淡々と手を動かしていた。
    「………ほら、終わりだよ。ミミィ」
    男がそう告げると、目の前の女性はゆっくりと目を開き、鏡を見る。
    「わぁ!すてき!さすがだわ!こんなかわいく仕上がるなんて!!」
    右を見たり、左を見たり、あらゆる角度でメイクされた自身の顔を見た女性……ミミィは感嘆の声をあげる。白い肌よりもより白く塗られたベースに、うさぎの顔のようなメイクを施されてミミィは立ち上がって、くるりと回ってみせる。
    「まったく…ショーの前にやってきたと思えば、不敬にもほどがあるよ……。俺も準備があるから、とっとと出てってくれ」
    と男は深くため息をつきつつも、その顔は優しさを滲ませている。
    「ふふっだって、この身体で初めてのショーだもの。クイーンの祝福があったら、うまく行きそうじゃない?」
    そう笑う人形にクイーンと呼ばれた男は大きくため息をついて、自身の衣装の前に立つ。
    「そうだね、ミミィ。がんばるといいよ。次は事故なんて起こさないでね」
    「あら……」
    クイーンのそっけない返事にミミィは、首を傾げる
    「もう『私のアリス』って呼んでくれないの?」
    いたずらっぽく声をかければ、クイーンの着替える一瞬手が止まる。ミミィはそれを見逃さず、いつもの可愛らしい声で言葉を紡ぐ。
    「ねぇクイーン。我らの女王陛下。わたし知ってるの。私があの綱渡りから落ちる時に、あなたが笑っていたことを。あなたが『アリス』にどんなことをしてるのかも。あのショーの直前にわたしをその名で呼んだことも」
    1歩、1歩、ミミィはクイーンに近づいて問いかける。その広い背中に向けて祈るように口を開く。
    「そんなに『恋したわたし』は美しかった?」
    そこまで言えば、クイーンはくくっと笑いをこぼす。ちらりとミミィが見上げても、クイーンの表情は見えないが、きっとそこにはあの日の女王がいるのだろう。
    「あぁ、あぁ、とても美しかったとも」
    クイーンはトルソーからドレスをとり、着替えながら口を開く
    「あの日のラストショー。お前が引退する日。あの男から与えられた花に身を包み、愛おしさで目を輝かせていたあの日。華やかなショー、煩い観客、それを見つめるアイツの顔。お前を取り巻く全てが美しかった」
    背中のチャックをあげ、クイーンはミミィを見る。ミミィは宝石でできた瞳でクイーンを睨む。それを見て、更に笑みを深くする
    「だからその全てが壊れた時……ふ、ふふふふ、あの時の興奮ったらない。きっとあれを超えるほどの快感はしばらく味わえないわ」
    そう言ってクイーンはミミィの首を絞める。ミミィは苦しそうな表情をすることなく、ただただクイーンを見つめている。ギシギシと木でできた身体が悲鳴を上げるだけだ。
    そんな姿を見てクイーンはつまらなさそうに、手を離す。
    「さて、こんなことを知ってどうするつもり?ここをやめる?警察にいう?」
    大きく息を吐きながら、どうでも良さそうにクイーンは言う。しかし、ミミィは首を横に振る。
    「いいえ、そのどれでもないわ。わたしはお礼を言いたいの」
    「は?」
    「だって、『自分が死んででもわたしを蘇らせたい』だなんて、とっても愛されてるってわかったんだもの。」
    クスクス笑う人形に、クイーンは目を見開いて、すぐに嬉しそうに笑う
    「最高に狂ってるな」
    「あら、あなた様ほどではないわ。女王陛下」
    そうして二人はクスクスと笑い合い、今宵もショーの幕が上がる。
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