眠れない夜は美味しいものを食べるに限るやけに静かな夜。
パチリと目を開く。目の前は暗闇。布団から頭だけ出して周りを伺う。
世界から音が消えた、というわけではい。同じ部屋に仲間達の寝息は聞こえている。
ぐっすり寝ているようで、起こすわけにはいかなとなるべく音を立てずに布団から抜け出した。
部屋の外に出ると、ひんやりとした空気が肌を刺してきた。
冬は寒い。まだ春には程遠いと言っているようだった。じわじわと足先から冷えてくる。
「明日も朝早いのにな……寝なくちゃいけないのに、寝れなくなっちゃうや」
村雲江は小さくため息を吐いて空を眺めた。どうにもまだ寝るということに慣れないようで、度々寝床を抜け出して庭を眺めて時間を過ごす日ができてしまう。どうしようと、呟きながら、少しばかり悴み始めた指先を擦る。
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