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    chartreuse

    @chartreusa

    夏五と膝髭

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    chartreuse

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    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21965986の夏五

    #夏五
    GeGo

    ここにある宇宙 雲ひとつない青空が見える。
     一色の絵の具でキャンバスを塗りつぶしたような晴天。ベッドに横たわったまま、その空をぼんやりと見つめていた。

    「悟」

     呼ぶ声に隣を見ると、伸びてきた手に頭を撫でられた。少し硬い指先が、慈しむように髪を梳いていく。

    「何考えてたの」

     静かに問う傑の瞳はどこか憂いを帯びていた。
     大方、僕が外に出たいと思ったんじゃないかとか、そんなことでも考えて鬱々としてきたのだろう。特に何を考えていた訳でもなかったのだが、事実をそのまま伝えても恐らく傑の気持ちは晴れない。受け答えとして不自然にならず、かつ気が逸らせるような話題を探す。空の色だとか、空の高さだとか——

    「宇宙のこととか」

     思いつきにしては中々良い話題ではないだろうか。遥か昔に授業で学んだ以上の知識は無いが、雑談にはうってつけだ。

    「宇宙の果てって本当に無いのかな」

     宇宙は絶えず膨張して無限に広がり続けているらしい。だから宇宙の果てに行くことは不可能だと言われている。でももし、膨張する速度より速くその先へ行けたら。なんて馬鹿げたもしもの話を遮るように、傑は僕の胸に顔をうずめた。

    「……行かないで」

     思わず笑いそうになった口元から、ふ、と息だけが漏れた。

     さすがに宇宙の果てには行けねぇよ。僕のことなんだと思ってんの?

     けれどそう笑い飛ばしてしまうには忍びない、あまりにも切実な、祈りのようだったから。

    「行かないよ」

     傑の頭を包み込むように抱きしめる。

     一体、何をそんなにも憂えているのだろう。僕の全てはここにあるのに。

     安心させるように優しく頭を撫でた。長い髪に指を絡めて滑らせる。傑の少し硬い、艶やかな黒髪が好きだ。まだ見ぬ宇宙より、目の前の漆黒が遥かに愛しい。
     何か言いたげに見つめてくる傑に微笑みかけた。まるい額に唇を落とすと心地良さそうに瞼が閉ざされ、その瞼にもキスをする。

     人類の観測可能な宇宙の外側。行くことは疎か、見ることも叶わない果てなき宙。いつの日かその場所を旅することができたなら、最果てを目指してみるのも悪くないかもしれない。
     でも、その時はきっとオマエも連れて行く。

    「傑と一緒じゃなきゃつまんないよ」
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