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    短い話を放り込んでおくところ。
    SSページメーカーでtwitterに投稿したものの文字版が多いです。
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    甘々狡宜。800文字チャレンジをやろうかなと思って…どうなるかは謎です!
    出会いを語りたがらない宜野座さんと無口なちょっと可愛い狡噛さんとフレ様。
    須郷さんもいる設定ですが出て来ません…。

    #PSYCHO-PASS
    ##800文字チャレンジ

    Boy Meets Girl(天使の話) 狡噛に初めて会った時の話は誰にもしたことがない。そもそも喧嘩でボコボコにされたところを助けられたというのが監視官時代には不恰好に思えたし、同じ上司のもとで対等に働く今となっては笑い話 ともいかないのが俺の駄目なところだった。役噛は多分、出会いを秘密にしたがる俺をからかわないだろう。それに俺がみじめに殴られていた話なんて彼からすることはないだろうし、たとえ俺がしたって乗ってはこないだろうけれど。
     でも、俺は今彼とともに上官と仰ぐ花城に「二人の出会いは?」と真正面から尋ねられていたのだった。それもしたたかに酔っ払って、手がつけられないくらいになった彼女に。また上層部から厄介ごとを押し付けられてしまってやけ酒に走る彼女に。
    「ねぇ、そんなに言いにくい出会い方なの? セックス目的のマッチングアプリなんて今じゃ中学生でもやってるじゃない。恥ずかしがることなんてないわ。それともこの無愛想も話したがらないほどロマンティックなの? 気になるわ……」
     花城は出島のレストランで、カリフォルニアの安ワインを飲みながら、ピンク色のラメが輝く唇を歪めてそう言った。孜噛も同じものを口にしながら、しかし俺の方は見なかった。行きすぎた自己開示は精神医学上自傷だが、こんなふうに酒を飲んでいる夜にはつまみになる。俺はカウンセラーの話を思い出して、少しは秘密の相手の話を友人としては? という凡百の提言の中でもいささかプライバシーに関わるものを思い出した。
    「殴られているところを助けて貰って知り合った。俺は疫噛のことは知ってたが、こいつは俺のことなんて知らなくていつの間にか好きになってた」
    「ワオ、正しいBoy Meets Girlね。しかもあなた最初から恋をしてるじゃない、恋をしていたところに疫噛その人が天使みたいに落ちてきたのね。ラッキーす ぎて笑っちゃう」
     花城がワインを飲む。そうかこいつは俺の元に落ちてきた天使か。そう考えるととてつもなく笑えて、俺は少し耳を赤くした孜噛から視線をそらして笑った。
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    TRAININGお題:「昔話」「リラックス」「見惚れる」
    盗賊団の伝説を思い出すネロが、ブラッドリーとの初めてのキスを思い出すお話です。軽いキス描写があります。
    かつての瞳 ブラッドは酔うと時折、本当に時折昔話をする。
     普段はそんな様子など見せないくせに、高慢ちきな貴族さまから後妻を奪った話だとか(彼女はただ可哀想な女ではなく女傑だったようで、しばらく死の盗賊団の女神になり、北の国の芸術家のミューズになった)、これもやはり領民のことを考えない領主から土地を奪い、追いやった後等しく土地を分配したことなど、今でも死の盗賊団の伝説のうちでも語り草になっている話を、ブラッドは酒を飲みながらした。俺はそれを聞きながら、昔の話をするなんて老いている証拠かなんて思ったりして、けれど自分も同じように貴族から奪った後妻に作ってやった料理の話(彼女は貧しい村の出で、豆のスープが結局は一番うまいと言っていた)や、やっと手に入れた土地をどう扱っていいのか分からない領民に、豆の撒き方を教えてやった話などを思い出していたのだから、同じようなものなのだろう。そしてそういう話の後には、決まって初めて俺とブラッドがキスをした時の話になる。それは決まりきったルーティーンみたいなものだった。
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    TRAININGお題:「花火」「熱帯夜」「一途」
    ムルたちが花火を楽しむ横で、賢者の未来について語ろうとするブラッドリーとそれを止めるネロのお話です。
    優しいあなた 夏の夜、魔法舎に大きな花火が上がった。俺はそれを偶然厨房の窓から見ていて、相変わらずよくやるものだと、寸胴鍋を洗う手を止めてため息をついた。食堂から歓声が聞こえたから、多分そこにあのきらきらと消えてゆく炎を作った者(きっとムルだ)と賢者や、素直な西と南の魔法使いたちがいるのだろう。
     俺はそんなことを考えて、汗を拭いながらまた洗い物に戻った。魔法をかければ一瞬の出来事なのだが、そうはしたくないのが料理人として出来てしまったルーティーンというものだ。東の国では人間として振る舞っていたから、その癖が抜けないのもある。
     しかし暑い。北の国とも、東の国とも違う中央の暑さは体力を奪い、俺は鍋を洗い終える頃には汗だくになっていた。賢者がいた世界では、これを熱帯夜というのだという。賢者がいた世界に四季があるのは中央の国と一緒だが、涼しい顔をしたあの人は、ニホンよりずっと楽ですよとどこか訳知り顔で俺に告げたのだった。——しかし暑い。賢者がいた世界ではこの暑さは程度が知れているのかもしれないが、北の国生まれの俺には酷だった。夕食どきに汲んできた井戸水もぬるくなっているし、これのどこが楽なんだろう。信じられない。
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