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    短い話を放り込んでおくところ。
    SSページメーカーでtwitterに投稿したものの文字版が多いです。
    無断転載禁止。

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    練習問題③ 追加問題
    問2書いてみた長い文を変則的な節や言葉遣いを用いてみる。

    #PSYCHO-PASS
    ##文体の舵をとれ

    埋葬されたスプーンその2 宜野座がスプーンを落とすのはそう珍しいことでもなかったが、そう握力が弱いわけでもなかったので、狡噛が病室にやってきても驚きはしても動揺はしないと思っていたけれど、いざ顔を見たらステンレスのスプーンを落としてしまっていたーー狡噛は煙草を吸いながらこう言った、この部屋少し暑すぎやしないかと、ただそれだけのことを宜野座に伝えたいわけでもなかろうに、そんなありきたりなことを言って場を繋いだーー天気の話題よりマシか、そう宜野座は思いつつ、そっちの方がマシな場合もあるだろうと思ったーー狡噛は訳の分からない引用をすることが多々あり、宜野座はその度に彼が好む哲学書から古い漫画までデバイスで調べねばならなかったーー俺はドラえもんじゃないんだぜ、仕事の最中に言われたあの言葉は屈辱だったというか、お前がそんなに役に立ったことはないだろうと宜野座は思わずにはいられなかったーー確かに狡噛は有能な捜査官だったが、あの青い猫型ロボットのようには自分を慈しんではくれなかった、じゃあキスをしよう、そう宜野座は思い、狡噛の腕を引っ張った、狡噛は何も抵抗しなかった、俺が何も馬鹿なことをやらかさないことを知っているのだろうと宜野座は思い、苛立ったがそれでも酒や煙草の味がするキスを楽しんだ、途中で看護師や医者がやってきたが無視してキスをしたーーキスを止めたのは花城がやってきて、迷惑をかけないでちょうだいと言われた時だったーーこれくらい位じゃないか、そう狡噛は言い、また煙草をつけ、任務で負傷しベッドに横たわる宜野座に覆いかぶさってキスをした、花城はもう何も言わなかった、恋人が危険な状態にあったのだ、仕方がないと思ったのだろう、けれど宜野座は彼女を少しかわいそうに思って、そうして彼女が話し出すであろう新しい捜査情報に耳を傾け始めたのだった。
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    TRAININGお題:「昔話」「リラックス」「見惚れる」
    盗賊団の伝説を思い出すネロが、ブラッドリーとの初めてのキスを思い出すお話です。軽いキス描写があります。
    かつての瞳 ブラッドは酔うと時折、本当に時折昔話をする。
     普段はそんな様子など見せないくせに、高慢ちきな貴族さまから後妻を奪った話だとか(彼女はただ可哀想な女ではなく女傑だったようで、しばらく死の盗賊団の女神になり、北の国の芸術家のミューズになった)、これもやはり領民のことを考えない領主から土地を奪い、追いやった後等しく土地を分配したことなど、今でも死の盗賊団の伝説のうちでも語り草になっている話を、ブラッドは酒を飲みながらした。俺はそれを聞きながら、昔の話をするなんて老いている証拠かなんて思ったりして、けれど自分も同じように貴族から奪った後妻に作ってやった料理の話(彼女は貧しい村の出で、豆のスープが結局は一番うまいと言っていた)や、やっと手に入れた土地をどう扱っていいのか分からない領民に、豆の撒き方を教えてやった話などを思い出していたのだから、同じようなものなのだろう。そしてそういう話の後には、決まって初めて俺とブラッドがキスをした時の話になる。それは決まりきったルーティーンみたいなものだった。
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    TRAININGお題:「花火」「熱帯夜」「一途」
    ムルたちが花火を楽しむ横で、賢者の未来について語ろうとするブラッドリーとそれを止めるネロのお話です。
    優しいあなた 夏の夜、魔法舎に大きな花火が上がった。俺はそれを偶然厨房の窓から見ていて、相変わらずよくやるものだと、寸胴鍋を洗う手を止めてため息をついた。食堂から歓声が聞こえたから、多分そこにあのきらきらと消えてゆく炎を作った者(きっとムルだ)と賢者や、素直な西と南の魔法使いたちがいるのだろう。
     俺はそんなことを考えて、汗を拭いながらまた洗い物に戻った。魔法をかければ一瞬の出来事なのだが、そうはしたくないのが料理人として出来てしまったルーティーンというものだ。東の国では人間として振る舞っていたから、その癖が抜けないのもある。
     しかし暑い。北の国とも、東の国とも違う中央の暑さは体力を奪い、俺は鍋を洗い終える頃には汗だくになっていた。賢者がいた世界では、これを熱帯夜というのだという。賢者がいた世界に四季があるのは中央の国と一緒だが、涼しい顔をしたあの人は、ニホンよりずっと楽ですよとどこか訳知り顔で俺に告げたのだった。——しかし暑い。賢者がいた世界ではこの暑さは程度が知れているのかもしれないが、北の国生まれの俺には酷だった。夕食どきに汲んできた井戸水もぬるくなっているし、これのどこが楽なんだろう。信じられない。
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    TRAINING眠れない宜野座さんのお話。
    800文字チャレンジ53日目。
    歌を聞かせて(眠り歌) なかなか眠れない日が続いて、花城にまで心配されて、俺は一日の休暇を与えられた。原因はとても簡単な話で、父の命日が近づいてきていたからだった。俺と似ているらしい目元は力を失い閉じられて、鍛えられたたくましい体は血に塗れて冷たくなっていった。腕をなくして出血が酷かった俺も頭がくらくらして、それほど悲壮感はなかった。現実味がなかったと言ってもいい。悪い夢を見ているとはこれだな、と思ったのも覚えている。でもあれは夢ではなかった。悪い夢でもなければいい夢でもなかった。父は俺を愛していると言外に言って、俺の目元を眺めた。幸せだった頃もそうだった。父は俺を愛してくれたけれど言葉が少ない人で、古い人だったのもあるだろうけれど、背中で語る人だった。そんな人に愛されたいと思ったのが間違いだったのかもしれない。人はそう変わらない。今だって俺は言葉少なな男を愛している。彼は滅多に愛していると言わず、セックスの最中も言葉は少ない。けれど彼は時折どうしようもなくなった時、俺に歌を歌ってくれる。眠れない俺が眠れるように、静かに歌を歌ってくれる。放浪の旅で覚えた各地の歌を、俺に歌ってくれる。
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