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    firesday522

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    firesday522

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    🌊📦にリクエスト頂いて書いた話。お待たせしてすみません!他愛ない短い話ですが一応デュゼオのつもりです。

    ぱんつの話 眠りから醒めた時、自分が何処にいるのかすぐには分からなかった。だが既に見慣れつつある天井の模様と、背を預けているのが冷たく硬い床ではなく毛足の長いカーペットである事が、そして何より身体に触れる人肌の温みが、此処が長い時を過ごした牢獄のような場所ではないのだと教えてくれた。
     触れ合っている胸から腹にかけての部分から伝わる熱が心地良すぎて、気を抜いたらまたすぐにでも睡魔に攫われてしまいそうだ。
     重い瞼を何とか持ち上げると、視界の端に窓から入る午後の陽光を弾く銀色を見つけて、表面だけでなく身体の内側までもが温度を上げたような気がした。
     傍らに他者の温もりがある。それが今までの生活との一番大きな違いだ。人ざらなる者である小さなパートナーの存在は、温もりだけでなく安心感をも与えてくれていた。
     離れ難くて、もっと体温を与えて欲しい、と引き寄せ身を擦り寄せてしまう事も屡々だった。
     徐々に意識がはっきりしてくるのと同時に、眠りに落ちる前の状況を思い出して来る。昼食を摂った後ゴロゴロしているのをゼオンに咎められ、小言が子守唄代わりになったのかそのまま寝入ってしまったらしい。それにしても小言を言っていた本人までもが、一緒に床に転がって寝ているのはどういう事なのだろう。
     ぴったりと身体を寄せたまま未だ起きる気配のないゼオンに視線を向けると、まろやかなラインを描く頬に幾筋かの白銀が貼りついているのに気づく。日が落ちかけた時間の室内はむしろ肌寒さを感じるくらいの気温だが、汗をかいているのだろうか。
     少し湿った髪を指先ではらってやりながら表情を窺うと、白くはあるが普段は健康的な色をした小さな顔が酷く青ざめているのに気づく。いつもは常に忙しなく動き回っているゼオンが、こんな風に昼間から寝入ってしまう事は珍しい。自分の知る限り初めてかもしれない。体調でも悪いのだろうか。明確な答えが欲しいこんな時に限って『答えを出す者』の能力は発動しない。
     思えば彼の寝顔を見た事自体、随分と久しぶりのような気がする。夜は自分の方が先に眠りに落ちてしまうし、目覚めた時にはもう小さな身体で家事をこなしたり、或いはどこかへ出掛けていて暫く帰らない事もある。デュフォーの記憶の中のゼオンは、常に動き回っている活力に満ちた姿ばかりだ。
    だが幾ら魔物とはいえ、ろくに睡眠も取らずに体調を維持できるものだろうか。
    そこまで考えたところで、ゼオンの不調の原因が分かった気がした。自分が毎晩あちこち撫でたり吸ったりされていたせいで、安眠も儘ならなかったのではないか。
     申し訳ないという気持ちがない訳ではないが、この先も毎晩の入眠儀式をやめる気はさらさらない。
     それに自分のせいで寝不足にしてしまって悪かったなどと口に出そうものなら「オレがそんなにやわな訳がないだろうが!」とまたぷりぷり怒るのは目に見えている。怒ったところで、猫が毛を逆立てているかのようで、愛らしく見えてしまうのだが。
     今日くらいはゆっくり一人で寝かせてやるか、それとも温かな体に寄り添って自分ももう一度惰眠を貪るか、少しの間決め兼ねていたが、空が翳って来た事に気づいて仕方なく身を起こした。
     どうやら雨雲が近づいているようだ。降り出す前にベランダに干してある洗濯物を取り込まなければならない。ただでさえ夜尿症の癖のあるこの子供は、下着や寝具を濡らすので頻繁に洗濯する羽目になるのだ。干してある下着を雨で濡らしたりしようものなら、マントの下は全裸で過ごす羽目になってしまう。
     ベランダに出ると、自分のものとそれより何回りも小さなゼオンの服や下着一式が、並んではためいていた。随分と風が強い。気づかずに干したままにしていたら、雨に濡れる前に小さな下着が飛ばされてしまっていたかもしれない。
    「間一髪だったな」
     そう呟くと、デュフォーは素早い動きで次々と洗濯物を竿から外し、無造作に籠へと放り込んでいく。自分の衣類一式を取り込み終え、ゼオンの下着類に手を掛けたところで、一瞬動きが止まった。細く長いが節の目立つ男の手が掴んでいるのは、純白の下着だった。
    「……」
     色んな角度から矯めつ眇めつしてみて、その布の面積の狭さに改めて驚愕する。
     もちろんゼオンの身体が小さい事など百も承知だ。だがそれにしてもこの小さな布の中に、厚みのある人の尻が収まるものだろうか。洗濯カゴに乾いた衣類をポイポイと放り込みながら、自問自答してみる。だが実際収まっているのだから、その問いに対する答えはイエス一択なのだろう。
     それにしてもあの態度のでかいパートナーの尻が、こんなに小さな布に包まれていたなどとは今の今まで知らなかった。
     普段から風呂は一緒に風呂に入っているし夏場はベビーパウダーを叩いてやっていたのでゼオンの身体の隅々まで熟知しているつもりだった。だが着替えをしているところをまじまじと見た事はない。それに気づいた途端、何故か突然ゼオンが小さな尻をこの小さな純白のパンツに収納しているところが見たいという思いが湧き上がって来た。それは自分の裡にそんな強い欲があった事に驚かされるほどの、強い欲求だった。
     思い返せばまだ未成熟な、中身は大人びているとはいえ幼児と呼んでも差し支えない年齢の子供の身体を弄り回している時点で、どう考えても普通ではない。それに加えて生尻が下着に包まれるところが見たいなどと考えている辺り、我ながら完全にイカれている。
     だが自分はあの魔物の子を目の前にすると、どうしても欲求を抑える事ができなくなるようだ。それが性欲なのかすら分からない、不可思議な衝動に駆られてしまう。
     自分の中にあるのは世界への憎悪と、全てを破壊したいという欲求だけだと思っていたのに。どうやらそれだけではなかったようだ。いや、以前は確かにそれだけだったが、今はどす黒い塊だけではなく、何か別のものも胸の中に確かに存在している事を自分は知っている。
     その正体を知る必要はない。それは自分には必要のないものだ。自身にそう言い聞かせて、デュフォーは暗闇の中に差した光を心の奥底に封印した。
     洗濯物を取り込んで部屋へと戻っても、ゼオンが目を覚ます気配はなかった。だが先刻まで蒼白だった頬が、大分血色を取り戻している事に安心する。
     鮮烈な紫を隠している瞼が開いたその時、自分は自らの奥に燻る欲求を叶える為に、パートナーに本心を告げてしまうのかもしれない。それを聞いた時のゼオンの反応を想像した時、デュフォーの表情筋がほんの少しだけ緩んでいたのに、彼自身すら気づいていなかった。
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